#1:晴登と楓
夏休みも始まって2週間ほど過ぎた8月某日。
僕は自分の部屋で夏の暑さから逃れる為にクーラーをつけて涼しんでいた。
「やっぱり文明の機器って素晴らしいね」
これは僕の台詞ではないので独り言だとか思わないでほしい。今の発言は僕の幼馴染である志田 楓のものである。ちなみに僕の名前は錦戸 晴登だったりする。
「楓、どうでもいいけどどうして僕の部屋にいるの?」
「私の部屋のクーラーが壊れちゃったの」
「・・・昨日は普通に動いていたじゃないか」
「・・・とにかく壊れたの。だから、晴登の部屋に来たの」
「そっか」
どうせ何を言っても無駄なのは経験上良く分かっているので黙っておく事にする。生まれてからの付き合いは伊達じゃないのさ。
「伊達じゃないのさって格好つけてるね」
「楓、僕の心を読むのは止めてくれないか。プライバシーという言葉を知っているだろ?それから格好つけたつもりなんて全然ないから」
「別に勝手に読んだわけじゃないよ。読む前に心の中で晴登にちゃんと伝えたよ」
「次からは口にしたほうがいいよ。生憎、僕は読心術には長けてないんだ」
「簡単なのになぁ。と言っても、私も晴登の心しか読めないけど」
どうしてピンポイントで僕のみなのかは大いに気になるところだが、考えても答えは出ないに決まっているので幼馴染だからということにしておく。
便利な言葉だな。
「何が便利な言葉なの?」
「また読んだな。しかも中途半端な場所だけ。答えるのも面倒くさいから読むなら最初から全部読んでよ」
「じゃあ、これからはずっと晴登の心読んでるね」
「ごめんなさい。前言撤回です」
「えぇ。男に二言はないんだよ」
「たまにはあるんだよ」
他愛もない日常。
この物語は僕と楓を中心としておくるほのぼのとした日常の話。
作者の月飼いです。
読んでくれてありがとうございます。
こちらは、かなりゆったり更新になると思います。
気が向いたら書く程度でいくつもりなので。
一話を1000字以内に抑えるので簡単に読めるとは思います。
最後までお付き合いいただければ嬉しいです。
それでは。