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(^ω^)【ようです】のようです

【西部劇でミルクを頼んで馬鹿にされるのは様式美】(^ω^)のようです

作者: 日曜日夕



 1870年、アメリカ。世はまさに西部開拓時代!



 大陸横断鉄道が開通し、多くのアメリカ人がフロンティアスピリットと共に西へ向かった時代!



 ここニューメキシコの小さな宿場町の酒場も、一攫千金を狙うアウトローやギャングで溢れかえっていた!



 ある日、一人の男がそんな酒場の扉を開けた。



(^ω^)「……」ギギィ



 カウボーイハットを深く被ったその奇妙な流浪人を、酒場に入り浸りのアウトロー共が良く思うはずもなかった。



  ('A`)「なんだァ?見かけねぇ顔だな……」



 流浪人をジロジロと見る無頼者をよそに、酒場のマスターが彼に話しかける。



(・∀・)「いらっしゃい。何にしようか?」



(^ω^)「……ミルクを」



  ('A`)「おいっ!聞いたか皆!このよそ者、ミルクなんて頼みやがったぜ!!」



 彼の言葉と共に、店内は笑い声の渦に包まれる。

 

 

  ('A`)「誰だか知らねぇが。ここはガキの来る場所じゃねぇぞ?はっはっは!」



(^ω^)「……」



 しかし、男は顔も動かさず、神妙な面持ちで黙りこくるばかりであった。



  ('A`)「……チッ!シカトしてんじゃねぇよ!おい!」



(・∀・)「おい、ちょっと」



  ('A`)「ん?なんだよマスター。別に注文は無いぜ?」



(・∀・)「いや、何お前ミルク馬鹿にしてんの?」



  ('A`)「……はぁ?」



(・∀・)「だからさ。お前今ミルク馬鹿にしただろ。俺の店の」



  ('A`)「そりゃ馬鹿にするだろ。酒場に来てミルク頼む奴なんか」



(・∀・)「は?なんでメニューにミルク載せてると思ってんだ」



  ('A`)「知らねぇよ」



(・∀・)「注文されるからに決まってんだろーがァァ!!!」



  ('A`)「ちょっ!おいバーテン何キレてんだよ!!?」



(・∀・)「需要があるからメニューにミルクがあんだよ!ミルクを頼む奴を馬鹿にするってことは、俺を馬鹿にしてるってことだよなぁ!!?ああっ!?」



  ('A`)「ち……違ェよ……そこまで考えてねぇよ……」



(・∀・)「考えてから口に出せやノータリンがよぉ!!」



  ('A`)「ゴホッゴホッ……ミルク如きでそんな怒んなよ」



(・∀・)「如き?」



  ('A`)「なんでもないです」



(・∀・)「まぁいい。教えてやろう。この店のミルクはな、俺の妹夫婦が営んでる牧場から直接仕入れているモノでな。濃厚かつスッキリとした味わいが特徴の、妹自慢の一品なんだ」



(・∀・)「それも妹は、毎日十数キロも離れた牧場から運んでくれるんだ。良い女だろう?」



  ('A`)「お……おぉ、そうか」



(・∀・)「お前らみたいなクズのアウトローにも、新鮮なミルクを飲んでほしいと妹は言っていた。泣けるじゃねぇか」



  ('A`)「……」



(・∀・)「それをお前らは毎日毎日酒ばっかりかっ食らいやがって!!ミルク飲めミルクを!!」



  ('A`)「す、すまん!すまんかった!だからその拳銃を閉まってくれ!」



(^ω^)「……」



  ('A`)「分かったよ……じゃあ、俺もミルク一つ」



 彼の言葉を皮切りに、その場にいた全員がミルクを注文した。



(・∀・)「それでいいんだよ、それで」



(^ω^)「……」



(・∀・)「おっと、待たせてしまったね。はい、特製のミルクだ」



(^ω^)「……ありがとう」



(・∀・)「っと、これはサービス。ウチの店自慢のローストチキンだ。是非味わってくれ」



(^ω^)「……いいのか?」



(・∀・)「君のおかげで、随分と儲からせて貰ったからね」



  ('A`)「……フンッ!この腰抜け野郎が、マスターのおかげで命拾いしたな!」



(・∀・)「おいッ!!」



(^ω^)「!!?」



  ('A`)「なッ……なんだよ?まだ何かあんのかよ?」



(・∀・)「お前、今チキンのこと馬鹿にしたか?」



  ('A`)「はぁ?いや、馬鹿にしてんのはこの腰抜け(チキン)野郎……」



(・∀・)「チキンを罵倒語に使うなぁッ!!!」



  ('A`)「もぉーメンドくせぇよこの店主!!」



(・∀・)「いいか?この店のチキンはな……」



  ('A`)「毎日、妹が届けてくれるんだろッ!?」



(・∀・)「惜しいな。確かに妹が届けてくれるが、その後、妹の夫がその場で〆てくれるんだ」



(・∀・)「だから、お前らは毎日、この旨いローストチキンを食えてるんだぞ?」



  ('A`)「あ、あぁ確かにこの店のローストチキンは絶品だよ。そこは認める……」



(・∀・)「おう……もうチキンを罵倒に使うなよ?」



  ('A`)「分かったよ……」



(・∀・)「物分かりが良い奴は嫌いじゃない……ほら、お前にも。ローストチキンのサービスだ」



  ('A`)「!?ッいいのか?」



(・∀・)「たまには、金を落としてくれる常連に優しくってな……ほら!全員分あるぞ!」



(^ω^)「……」



  ('A`)「ふん……お前、マスターに救われたな。まぁ、ここで会ったのも何かの縁だ。俺はジャック。この町で困ったことがあれば俺に言いな」



(^ω^)「あぁ……すまん、先を急ぐんでな。マスター、勘定を」



(・∀・)「20セントだ。また来てくれよ?」



(^ω^)「……あぁ」



 男がそう呟き、席を立った時、アウトローが男の背中に声をかけた。



  ('A`)「お前!……名前は!?」



(^ω^)「……名乗るほどの者じゃねぇ」



 そう言い残し、男は店を後にした。



  ('A`)「は!キザな野郎だぜ!」



(・∀・)「この騒ぎでの動じなさ……ただ者じゃないな、あの男」






     ◇






(^ω^)「なんだよあの店!汽車旅行のついでに腹が減ったから寄ったけど、DQNばっかじゃねぇか!」



(^ω^)「いきなり絡んでくるし何なんだよ!怖かったぁ!ローストチキンも緊張して全然味しなかったわ!」



(^ω^)「あとミルク1杯20セントは高ぇよ!コップめっちゃ小さかったぞ!」※今で言うと500円くらいの価値



(^ω^)「やっぱ西部の田舎はダメだわ!!もう来ねぇよこんな町!!」


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― 新着の感想 ―
[一言] 妙にリアリティがありますね
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