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C級冒険者ハルの毎日  作者: 日々乃暮
3/4

まぁ、よくある展開ってやつですね。……あの、一体誰にとってよくある展開ってやつなのでしょうか?教えてもら

残念ながら今回主人公に活躍はありません。

…いつもか。


「なんだい、君。僕は今1人の美しい薔薇をさらに素晴らしい花束にするという大切な使命を果たしているんだ。」


「薔薇?なんだそのよくわからんバラッバラに分裂しそうな名前の花は。」


「ふん、薔薇も知らんとは。やはり冒険者は皆知能が低いのではないかな。まあ、この僕の高貴なる言い回しについてこれなくても仕方がないなっ✩」


「…ここにいる全サーマリウス民の困惑をオレが代表して言ってやる。キモイなお前。」


「あの、私用事あるんで一旦逃げ… 失礼します」



ボブさんナイス。シーちゃんは無事に逃ぼ…失礼、脱そ… うん。撤退しました。ちゃんちゃん。


ところで、裏から持ってきたその麻紐はなんですかね、シエナ様。高みの見物ゥとか言ってギルドの梁に座っていたはずの俺の隣にいるのはどうしてでしょうか?あれ、さっきまで隣で俺と同じく俯瞰を決め込んでいた厨二病という奇病に悩まされているタカさんは何処に…うん。何故か下で心肺蘇生されてますね。あれ、その胸部マッサージ強すぎないか?肋骨折れないか?あ。人工呼吸もされてますね、オッサンに。新人研修でみっちり仕込まれる心肺蘇生のお手本みたいなガッツリしたやつされてますね。あ、目を醒ましたみたい、うん…ドンマイ。ボクハナニモミテイナカッタ(一生イジってやるぜ)

あの、それでシーちゃんよ、どうして俺は麻紐で拘束されてるのかな?これも新人研修でやるけども!盗賊の討伐で必須スキルの身体拘束だけども!あ、あの。その小さ…ロリ…可愛らしい身体の何処に俺を抱えるような力がッ?


……その後ハルの姿を見たものは(次話まで)いなかった。やっぱり影、薄いね。主人公くん。ガンバレ(棒






「おやおや、この僕をキモイと言えるだけの容姿をしているのかねキミは。」


「容姿の話をしているんじゃない。いいか、冒険者には冒険者のルールがあり、秩序がある。未登録の人間がおいそれと侵してはいけない先代からの大事な魂がここにはあるんだ。」


(ボブさん、いい事いうけどなぁ。禿げてるんだよなぁ。)

(何故か眉毛は凄い濃いんだけどな、禿げてるねぇ。)

(顔のパーツは悪くないはずだけど、禿げてるわね。)

(うーん体つきもいいはずなんだけど…禿げて


「おいっ!なんだよっ言いたいことがあんならヒソヒソせずに堂々言えよ皆!」


『ごめんなんでもないよハゲ…ボブさん』

「全国の毛根死滅者に謝れッ」



「フッ。キミが僕より高貴でないことがわかったところで


《あれ、まだ居たの》


「」



ここ、冒険者ギルドとはこういう場所である。やったね、読者のみんなもきっと今日から仲間入り出来そうだよっ

ますますカオスと化す本日の冒険者ギルド。ちょっとダジャレっぽくない?カオスと化すって笑

あれ、いつもと変わんないかもと思ったそこの受付嬢!中々鍛えられてるね。

台詞とナレーターが読者を混乱させている中、鋭い声がギルド奥、幹部室から聞こえてきた。



「オイオイ、一体なんの騒ぎだ?ボブよ」


「副ギルド長!」


「うちのシエナ()が凄い勢いで麻紐を持って出てったがなんか関係してんのか?」


「関係してるようでしてません」

「どっちだよそりゃ」

「次話を読めばわかります」

「何をわけ分からんことを言っとるハゲ…ボブ」

「…今一瞬自分のことハゲって言いませんでした?」

「安心しろ、空耳だ。それで、とりあえずどういう状況だこれは。」


「…そこで固まってるダサい服着た新人がB級で登録しろとかキミ可愛いねとかなんとかでシエナさんに絡んでまし」




ブォン




傍観していたはずの冒険者達は一斉に自分の受注していたクエストに向かったり昼食をとるために飯屋へ駆け出していった。


毛根がない冒険者ボブはいきなり横を通過した巨体の生み出した衝撃波で気絶した。


イケメンwithダサい服は鬼の形相の副ギルド長に胸倉を掴まれていた。


奇しくも、混沌としていた状況が普段なんの仕事してんのかわかんないとあまり尊敬されてなかった副ギルド長によって整理整頓されたのであった。


「俺の娘に手を出そうとは、一体全体どういう了見だね君ィ」


「は、ハハハ、いや、あのですね。」


「それにB級だとう?そんなひょろっこいシモヤ(もやしです。)のような体つきでB級冒険者が務まるかッ」


「ひ、人は見た目で判断してはいけないんジャナイカナッ」


「あん?」


「ぼ、僕がもしここの冒険者と闘って勝つことが出来たら今日からC級冒険者として認めて貰えませんか?」


「オイオイ、1ランク下がってるぞ。さっきまでの威勢はどうしたんだボウズ」


「ん、ん。ど、どうやらこの僕にも妥協しなくてはならないポインツがあるようだからね。仕方なくC級になってやろうかなと。まぁ明後日にはB級になっているだろうけれどね。」


「そのゾンビみたいな回復力と不死身さをもつ自信はどこから来るんだ?一体。」


「この僕をゾンビとは失礼な。せめてプラナリアとでも言いたまえ」


「プラナリアだかプラモデルだか知らんがまぁいい。ボウズは1度現実を見た方がいいだろう。望み通りウチの冒険者と模擬戦闘をしてもらおう。負けたらちゃんと新人登録するんだぞ。」


「オオッとぉどうしてこのボクが負けるような言い回しをするのかい君。そのようなこと、この主人公(ボク)にはありえないだろう?」

(※この物語の主人公はハルです。安心してください。)


「…いいから、30分後、ウチの地下の訓練室に集合だ。相手はこちらで見繕っておく。」





「いいんですか、副ギルド長さん。イキった新人さんは良くいらっしゃいますけど。大抵ボコられて心折れて村に帰るのが通例じゃないですか。」


「君も大概口が悪いな。まあ受付嬢から見てもそうだよな、アイツ。普段のイキリ新人と何も変わらんはずなんだけどなぁ…」


「何かあるんですか?」


「いや。アイツもしかするとな、、、」






「クソ、どうして中々俺TUEEEEさせてくれないんだ、この異世界はっ」

さっきまでの(彼の中での)カッコイイムーブは何処へ消えたのかわからないほどの口の悪さで学ランくんは呟いた。お察しのとおり、彼は地球からの異世界召喚者である。高校ではぼっちで1人寂しく最近流行りの異世界転生モノや謎にモテるぼっちくんの恋愛Web小説を読んで気味の悪い笑みを浮かべ、周りから避けられていた彼はお望みの異世界召喚を経て、華々しい異世界デビューをキメたのである。決して、ヤクはキメてないので安心してもいいよ。

王家に召喚されたはずの彼がどうしてココ冒険者ギルドに居るのかというと、彼の能力がさほど大したこと無かったからである。他の召喚者たち、所謂リア充達の100分の1のステータスしかなかった彼は早々に見切られ、手切れ金と共に市井に放逐されたのだ。

ところがどっこい。学ランくんは「あ、これよくあるやつだ。最初にステータスが低いやつが実はめちゃ強い能力の持ち主できゃわわなおにゃの子と出会ってステ盛モリになってモテモテになって無双するやつだ」と勘違いしているのである。

そこで、テンプレ通り冒険者ギルドに行き、モブみたいな雑魚冒険者を叩いて期待の新人として名乗りをあげようとしたのである。

ところがどっこい。コミュニケーション能力がリーマンショック後の株価の如く著しく低下していた彼が物腰の柔らかい素敵な男性の対応をそれなりに容姿の整った受付嬢とたくさんの冒険者たちの目の前でとることが出来るはずがなく。

…今に至るのである。


「まぁ、これでだいたいテンプレ通りになったし。あとは可愛い女の子に惚れられまくる僕の天下の始まりだッ」


…呑気に隣のカフェで1番高いお茶を啜っていた。

ちなみに、気味の悪い笑みを浮かべていたのでガチムチの店主が応対し、他の客や従業員が誰も近づいてこなかったことに彼は気づいていない。

次はボコしたいなぁ…(サイコパスすまいる)

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