第2話 薬草採集すごい人大草原
当て馬、登場!\( `・ω・)┐シュタッ
冒険者は意外とマナーが良い。何故かって?
ひとつ、受付嬢が怖い。
ふたつ、先輩が怖い。
みっつ、依頼してくれる人がいなくなるのが怖い。
そう、冒険者とは根っからの臆病者の集団なのだ!
とかいうつまらない妄想をしています。ハルです。今日は朝早くに薬草採集のクエストを受注し、スキル収納に薬草を溜め込みまくること4時間。植生に影響を与えない程度に摘み取りを重ねた俺は目標量を達成したためにウキウキでギルドへの道を歩いていた。
「〜♪」
薬草採集は稼ぎは良くないけど安定安全だから、上位の冒険者になっても受注する者がいるほど人気クエストだ。まぁ上位冒険者たちは休みの日とかの気休めだと思うけど。
ともあれ、薬草採集は冒険者ギルドの研修生が1番最初にノウハウを叩き込まれるクエストだ。見分け方や採集のマナー、環境保全の大切さや良い状態の保ち方など意外と奥が深い。舐めてかかった初心者くん達を鑑定のガチムチオッサンが怒鳴りつけてメタメタにするのも恒例行事となっている。俺?雑草100%で怒られるどころかギルドの建物中の皆に大笑いされ、しばらくの間雑草ちゃんと呼ばれてましたけど何か?
ま、まぁたかが薬草採集、されど薬草採集。冒険者の仕事として誇り高い薬草採集をすることの大切さを駆け出し冒険者は学ぶのだ。
「お、やっとギルドが見えてきたなぁ。10時過ぎだし、温泉に浸かりにでも行こうかな!」
すーばーぐれいとな計画を妄想しつつ、ギルドのドアをおーぷんした俺の耳に飛び込んできたのは。
「フッ、そこの可愛いお嬢さん。この僕をB級冒険者に登録する名誉ある者にして差し上げよう。さぁ早くギルドカードを制作したまえ。更に、さぁらぁにぃー!この僕の専属受付嬢にしてしんぜようではないか、ハッハッハ!」
なんかシエナを口説いてんのかそうでないのかよくわからないややキモイ台詞。
そして俺の目に飛び込んできたのは勝気なツリ目のちょいイケメンwithダサい服 であった。
(な、なんだあのダサい服はっ。これ程までにダサさ極まった服を拝めるとはっw上下真っ黒?金のボタンに固そうな襟、ポケットの上のピラピラは何?!ヤバい吹きそうっ)
『な、なんだあのダサい服はっ。これ程までにダサさ極まった服を拝めるとはっw上下真っ黒?金のボタンに固そうな襟、ポケットの上のピラピラは何?!ヤバい吹きそうっ』
「誰だ!僕の学ランを馬鹿にする奴らは!」
(えぶりばでぃです。)
学ラン?に絡まれていたちびっ子受…(字が血で掠れていて読めない。訂正されたようだ。)…クールな受付嬢の心のツッコミが、見事なシンクロをみせた冒険者達の笑いを耐え忍ぶ空間に虚しくこだました。
「ふ、ふん、この古き良き学ランの素晴らしさはお前たち下賎なものには早すぎたようだなっ!」
『……………っwww』
薬草の話をしていただけに、大草原不可避!とでも言っておこうか。つまらないギャグを言うな?!す、すまん…。
しかし、学ラン?君でいいのかな?受付カウンターでイキる新人くんは割と多いけど、ここまで酷いのは初めてだよ、先輩泣けてきちゃう、ぶふっ笑いが止まんねぇ笑笑笑どっちだよ笑笑笑
ひとりツッコミしている間にどうやらシエナちゃんが俺の帰宅?に気づいたらしく珍しくヘルプを呼んでいる。だがしかし。俺はシエナちゃんがきちんと新人くんを正しい道へ教えて導く様を傍観することに決めた!
(あとで覚えておいて、ハル)
今悪寒がしたのは気のせいか…?
「…ギルド入会希望の新人ですか?」
「新人?フッ何を仰るお嬢さん。僕は新人の枠に収まるような人材ではないんだよっキラン☆」
「…しかし、正式なギルドカードは2ヶ月の研修生期間を卒業出来た者にのみ…」
「チッチッチッ。ノンノンノン。この僕にそのような下等教育が必要だとお思いかい?」
チラッチラッ
サッサッ
ピシッ
ブンブン
フゥ〜
お、オォー!
さすがに目に余る。冒険者間でアイコンタクトが飛び交う。そして。
「、おい、ボウズ。いい加減にしろ。」
「ボブさん、」
どうやらベテラン冒険者ボブ先輩が新人くんを制止する役目を買ってでてくれるらしい。
え、他の冒険者?俺も含めて傍観者にジョブチェンジですが何か?
今日は少し長く面白くなりそうだね!
次回に続きまする。