表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/86

通りすがりのサンタ

 残業を終えて外に出ると白い物がふわふわと降りてきた。

 思わず天を仰ぎ、手のひらを差し出す。

 冷たさを感じるはずのその場所に不意に他人の温度が重ねられた。


「めりー!くりすまーす!」


 赤い帽子を被った見知らぬ誰かの笑顔は、すぐに雑踏に紛れていく。

 作ったようなテンションと逃げるような素早さ。手のひらの上には、雪の結晶を模した小さな指輪がひとつ残されていた。

 世間を彩る、白や緑や赤のイルミネーションが瞬いて、小さく透明な石をきらめかせている。

 小指にも嵌まらないようなサイズに首を傾げて、はたと現実に帰った。


 なんだろうこれは。

 どうしてわたしに。

 あのひとはだれ。


 答えはどこにもなくて、でも、ひとひら落ちてきた雪がその指輪に寄り添うように触れたので……


 私はそっと手のひらを閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ