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第02話:宅地造成地にて  作者: 吉野貴博
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 昔住んでいた家にあった柱時計の音を録音してきてくれないか。

 今回の依頼はそれだった。しかしまだ家があるかもわからないし時計も壊れているかもしれない、とりあえずその場に行ってみるのが第一の依頼だ。

 私は依頼人の目の前でスマートフォンの地図を起動し、言われた住所を入力してみる…何もない。上空からは、ただの森である。

 依頼人は年相応でこの手のものの扱いに慣れていないようで、地図ソフトを写真モードにして説明するのだが、首を捻り「でも」を連発するばかりで、とりあえず現場に足を運ばないと納得しないようだ。

 主要道路のここを枝道に曲がり、これくらい行ったらさらに脇道があり、開発された住宅街に続いている。ある日突然親が引っ越しを言いだし、近所の人達に挨拶もせずに出て行ってしまった、あの頃が懐かしい、等々。

 老人の思い出話は嫌いではないのだが、現地に着く具体的な方法は必要不可欠である。がその開発された住宅街が地図に載っていない。老人は当時送られてきた手紙を持ってきた。消印もちゃんと捺されていて、そこに住んでいたことは確かなようだ。

 とにかく現地に足は運ぶけど、道を見つけることができなかったらそこで引き返す、それを了承してもらってその家の鍵を受け取った。


 家に帰ってからネットで情報を検索するが、数十年前に開発されたことなぞ誰も発信していない。住所を検索しても山の麓に点が打たれるだけで、何のエリアも表示されない。役場のサイトを見ても情報がない。とにかく最初に役場に足を運ばないと、どうしようもないようだ。

 一方で、柱時計の構造や手入れについても情報を集める。動くとして、数十年ぶりに動かすなら、最低でも機械油を用意しないといけないだろう。こっちは詳しい人が大勢いて、親切丁寧なページが簡単に見つかった。

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