黄金のカブト
黄金のカブト
「リカルト・クッティース・アロマーナ」
ムシビトたちはその呪文を、はじめて聞いた。『クッティース』それがヨミの扉の鍵を示すのだ。「ゴラゾム」が「リカーナ」の使った複製の呪文の中で解読した、古いムシビトの言葉だ。もちろん誰一人それは知らない。
その呪文は静かに床の姉妹に注がれ、姉妹はかすかな鼓動をうち始めた。しかし、からだの動きはない。たまらず「ゲンチアーナ(リンリン)」がアロマに言った。
「アロマ様、母様たちに動きは見られません。何故でしょう?」
「それはね、私の娘『フローレス』が深く関わっているからなのです」
「フローレス?」
「詳しく説明する時間はないわ、でも心配はいらない。彼女らは助かった、さあ『黄金のカブト』を渡しなさい」
デュランタ(テンテン)はその黄金のカブトを差し出した。それを受け取ると、アロマはムシビトたちに言った。
「本当に『イト』を人間界に送るつもり? とんでもない事を考えるものね」
「無理でしょうか、マンジュリカーナ様がアガルタに捕われているのです」
それには答えずにアロマはカブトの封印を解いた。
「リブル・クッティース・アロマーナ」
静かに羽を開き、黄金のカブトは飛び上がった。それに続き七色の原石が次々とカブトに吸い込まれていく。黄金のカブトは一回り大きな虹色に輝くカブトへと変わる。
「ただしこれを使えるものは、『フローレス』ただ一人しかいない。さあこれを人間界に届けなさい」
「あのう、寄り代は誰が勤めるのでしょうか? アロマ様」
デュランタがそう尋ねた。
「寄り代? そうねイトの寄り代になれるものは数えるほどしかいません。王たちでは体が持たない。なぜならイトはヨミのもうひとつの姿。その力を扱えるのは……」
広間の扉が開いた。そこにはムシビトたちのよく知っている顔もあった。彼らはアロマの前にひざまずいた。そして彼らが顔を上げ、アロマに言った。
「その役目は私たちが引き受けましょう、「リカーナ様の言う通り『ヨミの戦士』はそのために甦ったのです」
ダゴスが四人を代表してそう言った。
「必ず現れると思っていましたよ、ダゴス、それにヨミの戦士」
「南極で休んでいたところを起こされました。アガルタのカイリュウ族に」
「ただ、相手はラグナ族と聞きます。それにカイリュウの力を持つもの、さらに『インセクトロイド』まで加わっている。人間界で何が怒るか解りません
アロマの言う通り、無事に帰れる保証はない。
「それはなっぴも同じだったわ」
二人の虹色テントウが同時に言った。アロマは「ヨミの戦士」をすぐに融合した。それはメイメイが使った術と同じものだ。そして「デュランタ(テンテン)」と「ゲンチアーナ(リンリン)」に確認した。
「デュランタ、ゲンチアーナの分もしっかりやるのですよ」
そう言うとアロマはゲンチアーナの呪力を抜き取りデュランタに与えた。
「嬉しい、これで、由美子と一緒になっぴを援護できます。アロマ様、わたしの送還をお願いいたします」




