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なっぴの昆虫王国 シュラ編  作者: 黒瀬新吉
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カンブリア爆発

カンブリア爆発


奇妙な事にギバもまた「amato2」の中でナナが三人に話した事を聞くことができた。おそらくそれはカイリュウ族のタケルとミコに宛てた念波だろうが、ギバもそれを受け取った。その太古の記憶はギバにとっては二度目になる。ラグナを受け入れた時その記憶はすでに彼のものとなっていたのだった。ダーマの記憶に嘘はなかった。ギバはあらためてムシビトを憎んだだけの事だった。


「この星の生き物は、カンブリア期(約五億五千万~五億年前)にはほとんど出そろっていた。その大半はラグナの産んだものだ。ラグナは地球が冷え海が最初にできた頃、この星に火星からやってきた。今まで集めた生命エネルギーを使い様々な生命体を産んだ。

彼は分裂して増える(単為生殖に似る)古い神だった。その方法はやがて行き詰まりを見せる。『カンブリア族』、この生命体のグループには補食するべきための口器がなかったのだ」  

ナナが念波でその映像を三人に送った。音のない世界、青いだけの海。その中の小さな生き物、それはこの星のはじまりだった。


その生命体を覆うのは柔らかい皮膚のため海中を漂うばかりだった。そのなかでもゆっくりと進化を遂げるものもいた。それは口を最初に持った生き物、最初の捕食者となった。周りは全て彼の餌だった。そして彼に続くものが現れていく。外皮を堅くし、身を守るもの、長い触覚を身につけ深い海底の泥に潜るもの、さらに素早く泳げる様にひれを持つものも出始めた。それが瞬く間に種の増加に拍車をかけた。これが後に『カンブリア爆発』と呼ばれる、種の爆発的増加なのだ。


しかし、それも長くは続かなかった。この星はタオが作ったもの、やがてマナとヨミが星を任され、新たな生命の元となる神が送られた。光の神アマテラス、闇の神ツクヨミそして双方併せ持つアマオロス。そのはじまりの神を『聖三神』という。

『聖三神』は後に『偶生の神』である『創五神(実は六神だった)』を産むが、この星はそれまでの歴史の方が遥かに長い。最近までこの星には神など必要なかった。


「三神より産まれた生命体は光と闇、明暗を認識できる『眼』をもっていた。そして『口』を持つ。捕食力が格段に進歩した。さらに『ラグナ族』と違い、体の中に後に『骨』と呼ばれる堅い管を持って産まれた。それが激しい運動を可能にし、彼らは海中を自在に泳ぎ、やがて海の中で最大の種族となった」

相づちの代わりにセイレがつぶやいた。


「それが私たちの遠い祖先、『(ウオ)族』なのよ、なっぴ」

ナナは話を続けた。

「そう、魚族は爆発的に繁栄し、ラグナ族を滅ぼすほどの勢いだった。しかしそれもまた長くは続かない」

なっぴはこう言った。

「魚類から両生類、は虫類、そしてほ乳類とこの星は繁栄と絶滅を繰り返す。人間だって一万年前は言葉も知らない……」


「ラグナ族は滅びはしなかった、元々一つだったその体を吸収し再び融合していき、一つの生命体になったと伝わる。そしてある日海から消えた。残されたラグナ族は外骨格を持つ多足類や甲殻類、貝類などに過ぎないが今に続いている」

「そのラグナ族のはじまりが、ダーマという事なのね」

ミーシャは『amato2』の操縦桿を握ったままナナの話を聞いていた。


「その通り、ダーマは海底の奥深くに移り暮らしていた。この星の中心の『マルマ(マグマ)』のエネルギーを吸収しながら。それはラグナが最初に捨てられた星、ムシビトたちの母星『ルノクス』での暮らしと同じだった。

 長い時の果てに五創神『マオ』と『クシナ』がまるでダーマを追う様に海底にあらたな国を興しそれを『アガルタ』と名付ける。ダーマは海底から続くチモニーのひとつ、シャングリラを使い身を隠したのだ」

「それは、もしかしたら『次元の谷』じゃないの?」

「なっぴのいう通りさ、そうとも『次元の谷』こそダーマの最後の安住の地だった」


ダーマはラグナ族を連れ『次元の谷』で長い間ひっそりと暮らしていた。


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