すり合せ
すり合せ
三人の前にゆっくりと『amato2』が浮上してきた。『amato2』で待機していた「ミーシャ」はなっぴに紹介されるまでセイレもミコもすぐには解らなかった。そしてもう一人の若者がカイリュウ族の王子『タケル』だと知ってさらに驚いた。
「ふうん『セイレ』の様子が変わったのはそう言う訳だったの。ミコはただ者じゃないとは思っていたけど、それが本当の姿か。結構いい男だったのね、あんたって」
「いい男ってどういう事? それとこっちが『タケル』お兄様」
「よろしく、セイレのためにこんなところまで感謝します。えっと……」
「あっ、私小夏。なっぴって呼んでね、彼女はね……」
「美沙、ミーシャって呼んで」
「私たちは、寄るところがある。先に行ってください、すぐ追いつきます」
二頭のクジラは一度南極に向かう事になった。三人が乗り込んだ『amato2』はタケルとミコを残し再び潜水を行う。目指すはアガルタの最深部にあるマオの洞窟だ。
セイレは伝承されたアガルタの記憶を頭の中でつないでいく。古すぎる記憶は所々がほころび、断片的なものも多かった。その中でムシビトの歴史とアガルタの歴史が交錯している。それを彼女は何度も繰り返し記憶していく。しかしやはり事実は変わりようも無い。ムシビトたちを異界に追いやったのは『アガルタ』の一族だったという事実はセイレ一人が背負うには重かった。
「何を考え込んでるの? 大丈夫よ、もうあなたは人魚姫じゃない、女王セイレなんだものね。それよりも今のうちに休んでおいたらいいわ、美沙には悪いけど」
「あーら、私は大丈夫。待機中に眠っていたから、もちろん結界の中でね」
「ならいいけど、到着までまだ時間がかかるの?」
燃料ゲージをみてなっぴが美沙に尋ねた。
「後一時間くらいかな、ところで『シュラ』についてなんだけれど」
「そうね、セイレごめんね。今のうちに『シュラ』についておさらいしておくわよ」
三人は「シュラ」についてそれぞれ知り得た事をすりあわせた。そしてそれをなっぴは紙にボールペンで箇条書きにした。それにはこう書かれていた。
一.シュラはムシビトの科学者が作った機械昆虫人「インセクトロイド」である。
二.シュラの使命はムシビトの移住先を探査し、移住可能な星を見つける事である。
三.先住の知的生命体がいる場合はそれらを殲滅しておく事が初期のコマンドである。
四.シュラは海中では活動できない。塩水の中では休眠するらしい。
五.シュラは三体作られた。うち一体は回収されコマンドを書き変えられた。そして火星でもう一体のシュラを破壊したらしい。その後そのシュラは地球のシュラを破壊するために向っている。
六.ダーマはシュラのコマンドを書き変える方法を知っているらしい。そのためマンジュリカーナを捕らえている。
七.シュラが起動した場合、止められるのは地球に向っているシュラだけだ。
八.
なっぴはそこまで書いて、ボールペンを置いた。目下の敵ダーマについて何も知らない事に気付いたのだ。「シュラ」は海の中で眠らせておくか、別のシュラの到着を信じて待つしかない。なっぴはダーマについて情報がないか、ナナに尋ねた。




