ダルナの部屋
ダルナの部屋
なっぴとミコも奥へ進んだ。進む途中なっぴはミコに尋ねた。
「セイレは誰かと話していたのかしら?」
彼女にはマーラの姿は見えない。ただセイレの髪が一瞬で緑色に変わった事だけは解ったのだった。ミコはこう説明した。
「人魚の精は地上のあなたには見えません。セイレ様の姿が変わったのは、一人目のエスメラーダの力を手に入れた証拠です。さあ次の部屋にはいります」
そう言ってミコが扉を開くとそこは青一色の部屋だった。セイレのいる部屋も同じく真っ青だった。
「この部屋にも人魚の精がいるってことなのね、セイレが一人で立っている様にしか見えないけれど」
ミコが笑った。
「はい、この部屋はダルナ様の部屋です。ダルナ様はオロスの術が使えたと聞いております」
「よく来たわね、セイレ。随分大きくなったわね、私はダルナ」
セイレは、椅子にかけた人魚に尋ねた。
「あなたは私に何を求めようというの?」
「求める? 求めはしないわ、セイレ。あなたが決める事だから」
ダルナは右手を高く上げた。
「オローシャ・ピリリカ」
雷針がセイレの足下に次々と突き刺さった。それを後ろ飛びでよけるセイレにダルナの呪文が続く。
「オローシャ・カクラーナ」
部屋一面に吹雪が吹き荒れる。
「オローシャ・カムイリカ」
そしてその吹雪がたちどころに凍った。
「雷針、吹雪、氷結の呪文よ。オロスの巫女に教わったもの。敵はマーラの槍だけでは勝てないでしょう」
「私にその術を伝授してくれるというのダルナ?」
「お望みならね、ただしその美しい声を私に預けなさい。もし、シュラを止められなければあなたはその声を失う。それだけの覚悟があればこの人形に込めたオロスの術を使えるわ、さあどうする?」
「もちろん、その覚悟をしています」
「それでいいのよ、セイレ。ミーシャと息をあわせてオロスの術を使いなさい。かつてのラナ・ポポローナと私の様に……」
その答えに安心してダルナは笑った。彼女が消え去る前に、セイレは彼女に尋ねた。
「その足は?」
「もう以前の様に力が入らなくなってしまった。役目を果たすために『あの方』にもう一度ここに来れるよう、お願いしたからね」
「あの方?」
「あなたも会えるわ、私たちの人魚姫に」
ダルナは笑いながら消えていった。
なっぴはそんな事があったとは知らない。突然セイレをめがけて轟く雷鳴、雷針が落ちたかと思うと、猛吹雪から氷の固まりが飛び出して来たのだった。何も無い空間から、まるでそれは次元を超えて襲ってくるようだった。
「さあセイレ様は次の部屋に入られますよ」
ミコの声に気が付いたなっぴは次の扉を押し開いた。そこは白い部屋だった。
「この部屋は?」
「ルシナ様の部屋です。ここから私も入ります。私たちは心配ありません、なっぴ様はここでお待ちください」
そう言い残し、別の扉からミコがその部屋に入っていった。




