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なっぴの昆虫王国 シュラ編  作者: 黒瀬新吉
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人魚姫

人魚姫


銀の竜を受け取ったベルーガを彼の仲間が囲んでいく。それは次々と集まり球体になっていった。サメが一頭ずつ噛みつき穴をあけてもすぐ別のベルーガがその穴を塞ぐ。戦う術を持たないベルーガは黙って沈んでいく。圧倒的なサメの数はついに年老いたベルーガを丸裸にした。


老いたベルーガは銀の竜の入った袋を飲み込むと、ありったけの力を尾ひれに込めた。

「ラミナ様、あなたの残した人魚の卵は、再びセイレ様となりました。アガルタは必ず元の様に戻れますよ」


「この老いぼれが、観念しろ!」

追いついたホオジロザメがその大あごを開いた。


「下がりなさい、サメたち」

澄んだ声が響き、サメの動きが止まった。皆の視線の先に『セイレ』が現れた。その姿はアキナ、カルナ、ラミナに似ている。それだけではないルシナ、ダルナ、マーラいやクシナにもそして里奈にも似ていた。全ての人魚たちに通じるその気高さはあの凶暴なホオジロザメでさえ、疑う事のできない『エスメラーダ』の姿だった。


挿絵(By みてみん)


「エスメラーダ様、エスメラーダ様だ!」

沈黙を破ったのは老いたベルーガだった。堰を切った様に『エスメラーダ様』と呼ぶ声が海中に響いた。アガルタの生き物たちにかけられていたダーマの呪縛はたちどころに解き放たれた。


「何か来る、巨大な影が」

一頭のイルカが叫んだ。ゆっくり進んできたそれは見た事の無い形、例えるならナガスクジラのようだった。


『amato2』はイルカたちのそばに近づくと静かに停止した。

「もう心配はいりません、あのものたちは私たちの味方です。アガルタはエスメラーダが必ず救います」

そう言い残し、エスメラーダは『amato2』に向った。フクロウナギがやっと浮かび上がって来た。

「泳ぎはぎこちないなやっぱり……」

彼は不思議な笑みを浮かべていた。


「どうだった?」

「ちょっといい気分、あのまま人魚姫として生きるのもいいかなって思ったくらい」

「あなたはセイレ様とはいとこ同士、しかしこうも似ているとは」

ミコのアイデアでアガルタの生き物は『なっぴ』が演じた人魚姫に一瞬で鎮められた。


ミナがセイレから分離したためか、セイレはあれからずっと眠りっぱなしだった。

「マナトに行けばセイレはエスメラーダに覚醒する。クシナの力を得れば『シュラ』を止められるかもしれない。いや、止めなければならない」

ミコはいつになく力強く言った。『amato2』に母船から最後の通信が入った。

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