広がる闇.1
広がる闇.1
「ギバ様、申し訳ございません。シルラ様をお止めできませんでした」
早速自分の力不足をダーマは詫びた。
「お前のせいではない。それより本当か、お二人が別の場所にいたというのは……」
ギバは伝令の言葉を確かめた。ダーマはすぐ答えた。
「どうしてそれを」
「話してみろ、隠さずにすべてを」
ダーマは辺りを見回し、ギバに耳打ちした。
「ギバ様、後で私の部屋へ……」
そしてもとの口調で言った。
「里奈様とセイレ様は香奈様の結界の中です、私たちには近づく事もできません」
「何、結界だと。アガルタの中で何故そんな必要がある?」
「全ては後でお話しいたしましょう」
「解った、シュラが目覚めた洞窟に案内してくれ、ダーマ」
「承知いたしました」
その洞窟に案内されたギバは、変わり果てた洞窟の様子を見るとため息をついた。
「なんと……」
ギバはシュラとシルラに絶望的な力の差がある事を認めた。
「決してシュラを再起動させてはならない」
彼は心の底からこのインセクトロイドを呪ったのだった。
ダーマがいないのを確かめ、里奈とセイレのところへ一度香奈が戻った。
「メイフ様のところにセイレを預けてきます。女王が目覚めたらすぐに私に教えてください」
そう部屋の見張りに言うと、香奈は里奈の元をセイレとともに去った。
「セイレ、少し辛抱していてね」
彼女はセイレを再びミドリアコヤガイに戻し、人魚の産屋だったマナトの洞窟に置いた。セイレは最初に産まれたが、他の人魚はまだ産まれていない。オロシアーナの時の様に、香奈は女王の精霊を分離させ、セイレのはいったアコヤガイを幾重にも覆った。
「こうしておけば、ダーマには見つからない。たとえ地上でもこのまま5年は持つ。セイレ、なっぴに伝えて『アネモネの鉢の下を見なさい。アガルタの闇を取り除いてちょうだい』と……」
静かにその殻は閉じた。アカデミアで再びその殻が開くまでセイレの居場所は誰にも解らなかった。
一足違いでダーマはマナトに戻った、既にセイレと香奈はいなかった。
「やられた、しかしちょうどいい。これも利用してやれ……」
彼はマナトの洞窟の一室でギバに話をした。ダーマの部屋で一緒にギバを迎えたのは、ヨミの三人の戦士だった。
「ギバ様、このアガルタには恐るべき闇が潜んでおります」
「闇だと、シュラの事か」
「あるいはそれ以上に厄介かと」
「ここには誰も来ない、話してくれ」
シルラが没しアガルタの将来は女王『里奈』と王子『タケル』。産まれてまだ数ヶ月の『セイレ』に委ねられることになった。ダーマが『本性』をついに出しはじめた。




