忍び寄る魔の手
忍び寄る魔の手
魔の手は、確実に忍び寄っていた。オロシアーナの死、シルラの死、そしてそれはタケルやセイレにまで近づく。いち早くそれに気付いた香奈は、メイフにダーマへの不信を話す事にした。
マナトの一室で姉妹が話しをしていた。
「お姉様、悲しい知らせです。オロシアーナがついに殺されました」
香奈が、姉に辛い報告をした。
「セイレのために『アマオロス』をつかい『ラナ』様は満足に戦えなかったのね、ミナは?」
香奈は首を横に振った。
「ミナも一緒です、敵は相当の相手です」
「ミナの娘、美沙は無事なの?」
香奈は即答はしなかった。彼女にも美沙はまったく感知できない。だからこそ彼女は無事を確信した。
「無事です、きっとヒメカの力が美沙を守っています」
先日、香奈のところへミナが突然やって来た。彼女は娘のために香奈にマナの力を貸して欲しいと言ったのである。
「訳を聞かせて、ミナ。何がオロスで起こっているの?」
ラナが『アマオロス』を行ったとき、香奈は何故それをラナは一人で行ったのか不思議だった。ヒメカの術『アマオロス』に勝るとも劣らない術がマンジュリカーナにはある。分離、転生、降臨の術、いわゆる『再誕の術』である。しかし、香奈の力を借りず、彼女はそれを一人で行った。もちろん何か考えがあっての事だろうと香奈は口を挟まなかった。それは、ラナが自ら『おとり』となったのだとミナは言った。
「母さんは、アマオロスを使う必要があったの。セイレを誕生させるのにはマナの力でも可能だった。でも一人で行う事で『ヒメカの力』を使い切ったことを見せつけておく事が重要だった」
「何故?」
「アガルタの闇を引きずり出すためには、おとりにならなければならないと、私にそう言ったのよ」
「アガルタの闇……」
「その闇はまだ隠れている、ずっと深いところに。母さんは『ルノクスから地球に向う光が届くまで持ちこたえなければ、この星の生き物は全て死に絶える』とも言っていた。それほどのものなのよ『シュラ』は。それを使おうとしている闇は用心深くアガルタに潜んでいるの」
そう言うとミナはラナから預かった短刀と真新しい巫女装束を香奈の前に置いた。
「あなた、既にオロシアーナに覚醒できるのね」
「ええ、でも私の力はこの装束に、母さんのヒメカの力はこの刀に分離させて欲しいの、ともに美沙を守ってくれる。お願い香奈」
「解ったわ、ミナ」
ふと香奈の鏡台の中でミナが古いブローチを見つけた。
「まだ壊れたブローチなんかを大事にしてるのね?」
「なっぴならやがてそれを使える、きっと美沙といいコンビになれるわ、私とあなた以上の、さあ行くわよ分離の術!」
香奈はそれがミナと会った最期だった。




