エピソード4 シルラ王
アガルタでは、なっぴの母、香奈が気を失い倒れるまで、大きな変動があった。セイレが誕生し、しばらくして王のシルラが「シュラ」を起動させるという事件が起こる。それはダーマの巧妙な策略だった。その目的は『ギバ』の心に闇を目覚めさせ、ギバの体にラグナを寄生させるというものである。ダーマは少しずつその本性を現していく。
シルラ王
最後のエスメラーダ『ラミナ』の残した人魚の卵には『コア』が無かった。『コア』とは三人のエスメラーダ人魚に伝わった聖三神『ツクヨミ』の娘『クシナの力』だ。マナトの『人魚塚』の巨大な『紅珊瑚』に集められた人魚の力は、ラナの力を加え、その中で練り込まれていったのである。全てが整った時、ラナの『タマムスビ』が行われた。『紅珊瑚』の枝から緑の細い糸となった『クシナの力』がゆっくりと人魚の卵を包んでいった。
「人魚姫『セイレ』は再誕のプロセスの無い、最初の人魚姫『アキナ』と同じ誕生をしたのだ。しかしエスメラーダにはすぐには覚醒できない。その前に力尽きれば、今度こそアガルタの人魚は滅んでしまう」
メイフがギバに言った言葉を、彼はダーマには伝えなかった。そのとき彼はまだカイリュウだったのだ。
「あの『赤いマユ』さえなければ、アガルタは安心なのだが……」
無数のチモニーの調査は終わったものの、結果はギバが想像した通りだった。その報告のために彼がシルラに会いにいったときの事だ。
「そうか、それほどひどいのか」
「はい、シャングリラ人魚がいなくなり、ほとんどのシャングリラはもう使い物になりません」
「全てではないのか? ギバ」
「天界、そして地上の『モンゴル』、『オロス』には新しいシャングリラができております」
「仕方あるまい、アガルタに元の様に人魚が産まれるまでは。それで『シュラ』はどんな様子だ?」
「はい、分厚い岩盤の中で動く様子はありません、やはり塩水は苦手のようです」
それを聞いてシルラ王は思いがけない言葉を吐いた。
「……シュラは本当に生きているのか」
「本当にとは?」
「いや、先日お前が連れて来た、ダーマと申すものがな、気になる事をわしに言ってな」
「お聞かせ願えませんか? シルラ王」
少し前のことだった。
「何と、かわいらしい姫様ですな。女王様によく似ておいでだ。アガルタの王もあのギバ様でも、セイレ様にはまったく頬がゆるみっ放しですな」
「まあ、これでアガルタはひと安心だ。後はあのシュラをどうするかだ」
「その事なのですが、王は『赤いマユ』の中身をご覧になられましたか?」
「いや、ギバの報告を受け、見にいったときには既にマユは修復されていた。それが何だ?」
「その赤いマユはまだ生きているのでしょうか? そもそもシュラはそれほどの破壊力を持つものなのでしょうか。遠い星から飛んで来たとの事ですが。何故そんな高度な科学力を持つ星の住人が故郷を捨てたのか私には理解できません」
「……」
立て続けの問いにシルラ王は答えられなかった。




