シュラのコマンド
「その使命は星を脱出したムシビトたちの移住先の探査。そこにわしたちや異界の『ヒト』などの『知的先住民が存在していればすべてを抹殺しておけ』というものだった」
「まさか、レムリアのムシビトがそんな事を企てていたとは思えん」
「やつらは知らない事かも知れぬ。しかしインセクトロイドは間違いなくやつらの科学者が創り上げたのだ。しかも三体もな」
「そんなものを三体もか」
「この星からも見えたろう、この星によく似た美しい星が一夜にして赤く変わったのが、星を滅ぼす事など造作も無いのだ。『シュラ』にとっては」
「何故そんな事までお前が知っているのだ」
「ラグナ本体はある時活動を止めた。その時いくつかの幼体が宇宙に散らばった。ラグナに寄生された寄り代は、ラグナの歴史、知識を共有できる。これは事実だ」
「何故、わしを殺そうとする」
「聞きたいか、教えてやろう、そら、そらっ!」
続けざまに槍が腹を狙う。それをかわし念波を飛ばすキュラウエアは次第に息が上がる、しかし彼は思った。
(もう少しこの体を持たせてくれ、スカーレットよ)
「なかなかしぶといな、さすがダゴス。しかしその姿も長くはもつまい。赤く今でも燃えている星がダーマの故郷、ヒトはこう呼ぶ。太陽系第四惑星『火星』と」
ついに決心したキュラウエアは全身を光り輝かせて紫龍刀を抜いた。
「ダーマはシュラに勝てない、奴を止めるにはシュラに使われている生細胞『ゴラゾーム』に寄生しコマンドを書き変えるしか無い。シュラが起動すれば誰も止められない。ラグナが羽化すればそれができる」
「そのために、お前たちはラグナの餌になったというのか」
「まあそんなところだ、しかしその前に最大の敵を片付けなければならない。それがラグナを打ち払い、浄化するもの」
「それこそマンジュリカーナに伝わるマナの力、そしてこのわしの浄化の力か」
「黒龍刀、白龍刀、そして七龍刀。形あるものは奪えばいい。しかしダゴス、お前のその力は奪えないものだからな、さてと」
ザラムは槍を投げ捨てた。
「ラグナは浄化されたらどうなるか教えてやろう。ダーマのところへ戻るのさ、俺の経験、知識も一緒にダーマの栄養になる、ダーマはラグナ・マルマへとまた一歩近づく、あの小娘の母親こそ最強の『マンジュリカーナ』だと言う事は承知だ。しかし既に捕らえている、先祖の犯した過ちに贖罪させられるのは間違っているのか?」
「それならマンジュリカーナ様にシュラを制御していただけばいいではないか?」
「それができればとっくにそうしている、そうできないのには訳がある、そろそろ力は戻ったか。ダゴス、俺との戦いは生半可では勝てぬ事を忘れた訳ではなかろう。いくぞっ」
そして二人の戦いが終わり、ドモンがヨミの花園に現れた時、まだ息のあったダゴスは黒いラペと紫龍刀を彼に託したのだ。




