インセクトロイド
インセクトロイド
「かたじけない、わしたちのために」
リカーナはマナの力をなくし倒れた。抱き起こすダゴスの手を振りほどき、もう一度立ち上がった。
「まだ間に合います、彼らを救う事ができます。ただ少し力が足りません」
「わしにできる事なら何でもする、彼らを助けてやってくれ」
リカーナは答えた。
「ラグナの事を教えてくれたのはフローラの三姉妹。できる事なら私たちとともに新しいムシビトの国を創っていただけないですか。ヨミ族という名を忘れて……」
「女王は、まだラグナは生き残っている、不老不死というのは嘘ではないといって、お前たちに術をかけたのだ『ラグナ再誕のとき、ヨミの戦士よ甦れ。ヨミを打ち祓う先陣となれ』そう言ってな、そして刀を振り、その学者も打ち祓った。ラグナの残した力は全て浄化された。その瞬間男は砂になった。リカーナは理由はどうであれヒトを殺した事をずっと気にしていた」
櫻井の娘の名が由美子というところまでやがてリカーナは突き止めたのだ。
「その刀はラグナを浄化するものとして長くヨミの花園にあったのだが、ある時、こつ然と消えてしまった」
「ではもうここにはその黒龍刀は無いのだな」
「ああ、あの日以来わしは見た事が無い。代わりにわしらは青、緑、黄そして藍の龍刀を持ち。このムシビトの国を守っているのだ」
キュラウエアとなったダゴスの念波は研ぎすまされ光の槍となり大サソリを貫く。それは『白龍刀』そのものだ。浄化する力を分け与えたのはもちろんリカーナだった。彼は驚異的な長寿となった。しかし不死ではない。その命もまさに尽きようとしていた。ザラムは浄化されて、消え去る大サソリを見ていたが、やっと口を開いた。
『やはりお前は殺さねばならない』
『何故だ、ザラム。ラグナは俺たちを餌としか見ていないのだぞ』
ザラムは黙ったまま尾を引き抜き長い槍に変えた。その先には猛毒がある。
「わしが何故、それを承知でラグナに寄生させたかを教えてやろう。それがダゴス、お前への餞別だ……」
槍の先が風を切った。その一撃をキュラウエアがかわした。
「わしらが甦った時、三人は誓った。『異界にムシビトたちの新天地を探そう』と。ラグナのいない、異界に。お前は知っているか? そこにはムシビトに進化する前に、猿型の知的生命体に追い越されてしまった、俺たちの哀れな仲間がいる事を。いやそれを救おうという大仰な事ではない。幼体のラグナを追いつめた時、奴はこう言った。それには嘘はなかった」
「……さすがヨミの戦士、いかに不老不死とは言え叶わぬか、お前たちならひょっとしてこの星を救えるかも知れぬな」
「それを聞いて『ゴラム』がラグナに向けていた俺の槍を止めた」
「この星を救うだと、話してみろ」
「教えてやろう、この星のアガルタと言う国の海底深くにある、悪魔の話を」
「そして聞いたのがインセクトロイドの話だ。わしはすぐそれが本当だと思った。ヨミ族の歴史にあった赤いまゆの話と同じだったからな」
「……」




