再会
再会
なっぴたちがゴムボートで二人の待つトレジャーボートに戻って来た。
「うー、死ぬかと思った」
そう言うなっぴにミーシャは金色の髪をかきあげて言った。
「でもやっぱりすごいわ、『浄化』までできるなんて」
なっぴは笑って話した。
「オロシアーナの力見せてもらったわ、それに由美子の人妻パワーもね」
「えっ、あなた人妻って?」
「なっぴはそう言ってるけど、まだ独身だけど」
由美子が笑った。
「な、言った通りだろ、マイ」
「そうね、タイスケってほんとなっぴの事よくわかるね」
「まあ、つきあい長いからな」
「タイスケってなっぴの彼氏だもんね」
メタモルフォーゼを解き、由美子がにやにやした。なっぴにお返しのつもりだ。
「ばか、幼なじみだろ。由美子も知ってるだろう、まったく」
タイスケがそれを打ち消した。
「それより、由美子に皆を紹介するわ。マイは飛ばすけど」
「エーツ、立派になったって言ってよ」
「まだまだね」
なっぴは『ナナ』を覚醒させたのがマイだとは知らなかった。なっぴは虹のかけらをバイオレット・キューに納めた。キューが七色に輝く、原石には及ばないもののその力は『レインボー・スティック』に匹敵する。藍龍刀は藍色の原石となり『ブローチ』に収められた。由美子のブルー・ストゥールも青の原石となった。
「赤、黄、緑、青、藍これで五つ宝玉を集めたのね、なっぴ」
由美子がそう言った、マンジュリカーナになればきっと『シュラ』を倒せると思っていたからだ。しかしなっぴは不安だった。
「これでメタモルフォーゼはできる、でも」
彼女の脳裏にゴラムの言葉が繰り返された。
「お前がマナとヨミの子だというなら、それもよかろう。だがもしそうであれば、この先お前は最大の試練を迎えるだろう……」
「最大の試練って一体何だろう」
その前にすべき事がある、彼女はミーシャに向き直り両手を差し出した。
「ミーシャ、今ならやっとお父さんを解放できると思うわ」
彼女からマイがイノウエを封印した『まゆ』を受け取ると呪文を唱えた。
「ラクタノーレ・ル・イノウエ」
そして間髪を入れずに回復の呪文をなっぴは教授に使った、
「エクタノーテ・リムリカーナ」
蟹人の泡がすべて流され教授は口を開いた。
「ありがとう、君は?」
「万寿小夏、なっぴって呼ばれてます」
「そうか、なっぴ、助けてくれてありがとう。ずっとこの中で見ていたよ」
(ずっと、じゃあ私がオロシアーナになった事も)
ミーシャは父との約束を破った事を少し後悔した。
「美沙っ!」
イノウエは彼女に向き直ると大声で言った。
「はいっ、お父さん…」
(怒鳴られる、いやぶたれるか?)
彼女はびくつき反射的に目を閉じる。
「何もかもお前を守るためにした事だ、おばあさまもミナもそして私も。『美沙』よくやった。あの時お前がもし駆け出して行かなかったら、私は二度とお前を『美沙』とは呼ばないつもりだった。ヒメカの術を受け継ぐオロシアーナとして、マンジュリカーナとともに行きなさい」
「お父さん」
父と娘は固く抱き合った。
「……ちょっと妬けるわね、まあ娘だからいいか」
そう言い残し、ミナはその役目を終え、消え去ろうとしていた。教授のためになっぴはミナを実体化しようとした。それをやさしく制して彼女は言った。
「それには及ばないわ、辛くなるから……。それよりミーシャと力を合わせて、セイレを覚醒してあげて。なっぴ、マナトに行きなさい、そして人魚の魂を磨きなさい。マナトに行けばセイレはエスメラーダ人魚にそれを伝授されます。それまではセイレは私同様『里奈』が守っているのです」
やがて潮が十分満ちて来て座礁の心配がなくなった。シビレクラゲに護衛された『amato2』はアンカーを巻き上げ、マリアナに向ってゆっくり進路を変えた。




