操りグモ『ゴラム』
操りグモ『ゴラム』
「ギルルッ、『ガラム』それを俺にも一緒に見せてくれないか」
背の曲がったクモ族と一目で分かる新たな『ヨミの戦士』が姿を表した。
「おう『ゴラム』ちょうどいい、計画は進んでいるのか?」
「ああ、あの魚人がボートのやつらに入れ知恵されてしまったが、支障はない。わしらが見つけられない二人をアガルタのやつらに見つけてもらうのもいい。すでに手も打っている。『メイフ』はこの計画にどうしても必要だからな」
「お前が、オロスの巫女を殺したのか」
ミーシャがガラムに刀を突きつけた。
「オロスの巫女? その通り。余計な事に首を突っ込まなければもっと長生きできたものを」
「イャーッ!」
怒りに任せたミーシャの刀が空を切った。
「おっと、そんな腕では身軽になった俺を斬る事などできないぞ、サムライ女」
しかし、ガラムの足が数本消し飛んだ。
「何っ、かわしたはずなのに……」
由美子はブルー・ストゥールを糸に戻し、ガラムのしっぽと彼女の体との隙間に滑り込ませた。そして呼吸を確保した。
「ふぅーっ、苦しかった。少し太ったかしらねぇ」
「全然、変わんないよ。由美子」
ようやくなっぴは気がついた。目の前に刀を構えたミーシャが居た。リカの記憶の中をのぞいた彼女は『ラナ・ポポローナ』を何度も見ている。その長く伸びた黒髪の巫女は、初めて彼女が見た『ミーシャ』の覚醒した『オロシアーナ』の姿だった。
「ミーシャ、あなたも戦ってくれるの?」
「もちろん、あなたとセイレのために、それが私に課せられた使命なのよ」
二人の会話を聞き、近づく影があった。白いアゲハのシルティはどうしてもなっぴに聞きたかった事があったのだ。
「あなたが、王国を救った『マンジュリカーナ』様なのですか?」
なっぴは慌てて言った。
「様ってのは大げさです、あの時はまだ見習いみたいなものでした」
(何と、こんな娘が王国を救ってくれたというのか……)
そして今度はミーシャを指差す。
「あの巫女は、もしや『ミナ』に関わりのある娘か?」
「ミナ? ええ確かあのときミナはそう言っていたわ、あの娘は『ミーシャ』、『ミナ』の娘よ」
「あのとき? あなたは彼女にあった事があるというのか」
「ええ、あそこのセイレが眠った時に。こうぼわーっと現れてね……」
それを聞くとシルティは立ち上がった。
「フローラの王女の言う通りだ、あなたには精霊が見えるのね。ムシビトたちを救うために王国に現れた『マンジュリカーナ』は正しき心を持つ、精霊と話す事もできる。ミナを殺したのはあのガラムだけれど、生気を吸い取ったのはこの私だ。ラグナはそうしなければこの世界で生きていけない様に私を変えてしまった。ミナはそのとき私にひとつ頼み事をした、娘がもし太刀を持ち、立ち上がったら渡して欲しいものがあると」
「ほう、それは興味深い話だ、俺には初耳だがな」
ゴラムが音もなく忍び寄り二人の会話に聞き耳を立てていた。




