新しいメタモルフォーゼ
新しいメタモルフォーゼ
なっぴに向かうのは、小さな『虹色テントウ』、その羽の七つの星は弱いながらも、輝きを保っている。ナナがレムリアから『虹の力』を呼び寄せていたのだ。その『虹の力』は『テンテン』が送ったものだ。
「なっぴ、メタモルフォーゼよ。『テンテン』をレムリアから呼びなさい。さあ『ナナ』もなっぴを手伝って」
カタビラアゲハの長いラペをはね飛ばし、由美子が叫んだ。なっぴは肩にとまった『ナナ』をつかむと叫んだ。
「目覚めなさい、テンテン着装、メタモルフォーゼ!」
「ギハハハ、勇ましいかけ声の割には何も変わらんじゃないか。そらまっぷたつになってしまえ、うぬ?」
『ガラム』の牙が動きを止めた。そして今度はわずかずつだが開いていく。
「これはいったい、どういうことだ?」
「これが、新しい『メタモルフォーゼ』なの?」
なっぴはコマンダーに変わった『ナナ』に尋ねた。だが返事は別の場所から、そして懐かしい声が答えた。
「なっぴ、間に合ってよかった。今、あなたの体が変化を始めたわ、このコマンドスーツはあなたの新しい皮膚。蛹から羽化する時と同じ様に、次第に固まって強くなるものよ」
「テンテン、どこにいるの?」
「ばかねえ、『レムリアの王宮』に決まってるでしょ、『バイス』を一人にできないでしょう」
「でも、メタモルフォーゼはできたわよ。そんなのあり?」
「まあ、説明してる暇はないけど」
『ナナ』の覚醒によりなっぴは『テンテン』を着装できたのだ。『ナナ』がコマンダーに変化したのを受け、『赤い原石』が『コンバーター(増幅装置) 』の役目をする。それは『テンテン』が人間界にいて『レムリア』のムシビトの能力を召還した時とは比較にならないほど強力なものだった。
「ククッ、馬鹿な、この固さは何だ?」
ガラムはついに牙をなっぴの胴から外した。由美子がそれを見て笑った。
「それは丈夫よ、『メタモルフォーゼの際に、ヨミの戦士に狙われたら、なっぴを守る術がない』そう言って『コマンドスーツ』を織るときに、『コオカ』、そして『ラクレス』の二人の王はあなたのためにあの角を削って一緒に織り込んだのよ。『もう必要のないものだ』と言ってね。レムリアでもっとも丈夫な糸、ちょっとやそっとでは、傷ひとつだってつかないわ」
由美子の言葉に動揺を隠せなかったのは、由美子を執拗に追いつめる『カタビラアゲハ』だった。
「今、『コオカ』そして『ラクレス』と言ったのか?」
「ええ、テラリアの王『コオカ』とセブリアの王『ラクレス』とね」
「馬鹿な、そんなはずがあるものか……」
コオカが、ラクレスがいや何よりも両国がまだ存続している、ラクレスたちは戦いに破れたはず、『フランタイヤンマ』も戻ってこなかったのだ。白いアゲハは新しく抜いた短剣を持つ手を下ろした。
「聞かせてちょうだい、あの戦いのあとの王国の話を……」




