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なっぴの昆虫王国 シュラ編  作者: 黒瀬新吉
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タマムスビ

タマムスビ


ラナの言う通り、新たな命を生み出す『タマムスビ』は元来彼女にしか許されてはいない。『マンジュリカーナ』でさえ『再誕』という『禁呪』は命をかけて使うことしかできなかったのだ。しかも『マナ』と『ヨミ』の力を使わなければ。

「この中より、第一の人魚産まれし時、新たなエスメラーダとして女神クシナの力を結びたまえ。オローシャ・クシナイカ・ムスビーレ……」


ラナの『アマオロス』はそのすべてを終えた。集められた『ミドリアコヤガイ』は『人魚の卵』を三粒ずつ飲み込むと『マナトの洞窟』に置かれた。


「これで、人魚もエスメラーダも絶えることはない。あとは『覚醒』までお守りするだけだ」

『ラナ』はその術のほとんどを使った。後に『ルノクス』から向かう飛行物体を検知したのがオロシアーナ最後の力だった。


「でも、私たちがアコヤガイの中のセイレを見たときはかなり成長していた」

なっぴがそう言い、マイもうなずいた。


「『セイレ』は『香奈』が『封印術』で『敵』から守ってくれたのよ。そのとき私も一緒にね、なっぴ」


『里奈』の話では、セイレが産まれて間もなく、死んだと思っていた『ギバハチ』がアガルタに戻り、大切にセイレを守っていてくれていたそうだ。不思議なことにカイリュウの力をそのまま残していた彼は、かつてのマオの代わりを務めると誓い。シャングリラを巡っていたという。そんなある日のこと『シルラ』が『シュラ』を目覚めさせてしまった。『シルラ』は命をかけて再び『シュラ』を休眠させたが、その後のギバハチは連れて来た『ダーマ』と言う男を常に側に置くようになった。里奈もセイレもそのダーマという男にはどうしてもなじめなかった。


そしてついにメイフが没しアガルタの王家は女王『里奈』と王子『タケル』そして産まれてまだ数ヶ月の『人魚姫』を残すだけになった。ダーマが『本性』を出したのは香奈が久しぶりにアガルタ『飛んで』に来たときのことだ。


恐ろしい計画


「何だと、女王の妹『香奈様』を『シュラ』の生け贄にするというのか、正気か」

「もちろんです、ギバ様何をためらうことがありましょうぞ。元はと言えばあれはムシビトの作ったモノ、ムシビトの女王がやつのコマンドを書き変えるための唯一方法としたら、そうせずにいられましょうや」

「しかし、わしらカイリュウはむろん、あのヤマタノオロチ、いやヨミ様ですら倒した『マンジュリカーナ』、あの巫女は『アマテラス』の末裔ではないかともいわれておる、それを捕らえるなど…」

『ダーマ』は不敵に笑いその計画を話した。


「考えても見てください、セイレ様のために全ての人魚は死んでしまった。メイフ殿はシルラ様が死んだその失意から長く行方が知れず最後には南の大陸に打ち上げられていたと聞きます。その巨体を持て余し、地上の人間は弔いもせず放置し鳥や獣に食い散らかされ見つかった時には骨だけで放置されていたのですよ。それに女王と言っても『里奈様』は元々地上のもの、確かに人魚の卵は産まれた、しかし払った代償はあまりにも大きい。かといっても、事実王子とセイレ様の母ではある。ギバ様、私はなにも女王を殺せと言っているのではないのです。その妹『マンジュリカーナ』の香奈様を捕らえあの『シュラ』のコマンドを書き変えるために使うことを進言しているのですよ」


「しかし、わしには『メイフ殿』との約束がある。このアガルタを守るという約束が……」

もう一押しだと『ダーマ』は言葉を強めた。


「このままいつまでもアガルタを守れますか、カイリュウの力はもうあなたしか持っていないのですよ」

「しかし、『タケル』も『セイレ』も新たに覚醒するかも知れぬではないか」

(うむ、『ギバ』は女王から再びアガルタが元に戻りつつあることをすでに聞いているな、よしそれならば……)

『ダーマ』が『ギバ』の最後の迷いを断ち切った。

「女王がアガルタを本当に復活させようと考えているはずがありません」


「な、何を言い出すのだ」

「王子もセイレ様もアガルタにはいらっしゃらない。おそらく既にこの世には」

「……」

(ついに『ギバ』はこの手に堕ちたぞ)


声もなく膝をつく『ギバ』を見てダーマはそう思い、ほくそ笑んだ。

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