エスメラーダ三人魚再び
エスメラーダ三人魚再び
アガルタの人魚たちは不安を隠せなかった。老いとともに、限りある命というものをついに現実として認めなければならない出来事が起こったのだ。
「メレナに続きドーラまで、なんとあっけない、それほど人魚は弱くなっていたのね……」
「おそらく、紫外線がフィンを破壊するように。きっと長く地上で戦っていたからだわ」
「私たちには再誕の力があるから、地上で戦えたのに」
やがてアガルタの人魚に次々と『老い』が進んでいったのだった。
「それなら、何故私たちは変わらないの?」
『七海の人魚』を束ねる人魚のマーラが言った。
「私たちだけ特別ってこと、ねえルシナ」
ルシナも「そのこと」には気付いていた。ルシナ、ダルナをのぞき、『シャングリラの人魚』も同様に老い始めていた。そこへ『カルナ』が王子『シルラ』を抱いて現れた。側には『里香』と『ラナ』がいる。
「やはり、人魚の卵は産まれません。クシナ様とヒメカ様をイオナ様の元へお送りしたためにエスメラーダの再誕はもうかなわないのです」
『カルナ』はしかし、満足げに笑ってこう話を続けた。
「でも、元に戻っただけなのですよ。ルシナ、ダルナそれにマーラ。あなたたちは特別な人魚です。最初の人魚姫『アキナ』は『マオ』様と『クシナ』様から産まれたことは知っていますね」
三人のエスメラーダ人魚はこくりと頷いた。
「人魚はカイリュウ族の女、しかし人魚姫『エスメラーダ』は『クシナ』の力に覚醒した、例えていえば『海中の巫女』。『マンジュリカーナ』は『イオナ・アマテラス』の力に覚醒した『天空の巫女』、そして『オロシアーナ』は『ヒメカ』の力に覚醒した『地上の巫女』なのです」
『カルナ』は話を続けた。
「巫女はそれぞれの女神の意志を継ぎ覚醒します。もし巫女が覚醒しなければ、その意思は寄り代を得るまで眠り続けます。『アキナ』は早逝したため、『クシナ』の力『エスメラーダ』としては覚醒の途中だったのです」
「では、わたしの中に……」
『ルシナ』はたまらず、『カルナ』にそう聞いた。
「あなたが何故『クシナ・エスメラーダ』と呼ばれ、『ダルナ』が『アキナ・エスメラーダ』そして『マーラ』が『カルナ・エスメラーダ』と呼ばれるのか、その理由は一つです」
「三人の人魚姫がエスメラーダとして覚醒していなかったからなのですか?」
『ダルナ』が口を挟む。
「ええ、あなたたちが別名『伝承の巫女』と呼ばれるのはいつかそれを伝え、エスメラーダを覚醒させるためなのです」
「でも、新しい人魚はもう……」
「『マーラ』さっき『カルナ』が言ったでしょう。元に戻ったとね」
『里香』と『ラナ』がそう言って三人に微笑んだ。




