マリアナの戦い
マリアナの戦い
「ザラムが相打ちか、さすがにヨミ族の王。しかしこれで、もうレムリアの虫人たちを恐れる事も無かろう。ところで生意気な小娘たちはどんな様子だ?」
「われわれの気配を感じて、すぐにトレジャーボートに乗り込みました。あの男、見かけと違ってなかなか手強いです」
『フクロウナギ』がそう報告した。
「お前は使えないなぁ、まあ見張り役だから仕方ないが……」
「ついでに、お土産として『爆裂クラゲ』を置いてきました。一匹でも触れればおしまいでしょう」
「お前にしては上出来だ、よし『トビウオ』どもも、使うといい。空からの攻撃にはどうするかな?」
「上下挟み撃ちですか、『ギバ』様は容赦ないですな」
『フクロウナギ』は早速トビウオたちを集めた。
タイスケは潮岬を出発して南に進路を取った。太平洋の荒波をジグザグに乗り切りながら『amato2』はマリアナを目指していた。しかし今朝からなっぴたちはマリアナの洋上で停船を余儀なくされていた。
「あれは『爆裂クラゲ』。少しでも触れると次々と爆発を繰り返し危険です」
いち早く、それを見つけたミコが船を停船させたのだった。
「まったく、危険なものを置きやがってあの大口の魚人が」
『タイスケ』が思案にくれたその時『マイ』が何か見つけた。
「あれは何? トビウオの大群が向かってくるわ」
「何だって!」
空を黒く染めるほどの『トビウオ』が向かってきた。体長こそ三十センチほどだがそれ以上にのびた長く尖った上唇がキラリと光った」
「あれは『イッカクトビウオ』アガルタの魚だわ。あの尖った唇はとても危険よ」
『セイレ』がそう警告した。
「みんな、来るわよ。頭を防いで」
なっぴがフライパンを片手にして、空をにらんだ。編隊を組んだトビウオは、デッキのなっぴに照準を合わせた。準備を終えると渦を巻くように次々と降下を始めた。
「うまいぞ、なっぴ」
タイスケが手を叩いて大笑いをした。
「ガガーン、ガガーン」
なっぴが、トビウオをフラパンではねとばし『爆裂クラゲ』を狙った。その一つがやっと命中した。
「タイスケ、笑ってないで、あんたも手伝ってよ」
「そいつの『料理』はお前の仕事だろ。俺はアガルタへの入り口を探す仕事がある」
そう言うと『タイスケ』はさっさとデッキからいなくなった。
「なんてことだ、クラゲのやつ次々爆発しやがって。足止めにもならない、よし援軍を頼もう」
海中で様子をうかがっていた『フクロウナギ』は赤ムカデに連絡した。
「ふん『援軍をよこせ』か、だがこれも勝機。美しい贈り物を届けよう。受け取るがいい」
ようやくトビウオをすべてたたき落としたなっぴは『ブラック・フライパン(?)』と名付けた、もう使い物にならないあちこちへこんだフライパンをデッキに放り投げた。
「うー、しびれた……」
なっぴは、指をぶらぶらさせながら、『キャビン』に入りタイスケに近づいた。彼は『アガルタ』の入り口の正確な場所を特定し終えていた。
「さすが、タイスケ」
「まあな、だいじょうぶか指は?」
「途中で変わってやろうとか、普通思うんじゃあ無いの?」
「まあ普通の女子高生はそんなの振り回さないけどね」
「まったく、もうっ!」
簡単な食事を終えると、船は南東に少し進路を変えることになった。休憩の間少し、デッキで潮風に当たりながらミーシャは、母『ミーナ』のことを思った。




