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翳り行く街の光と影  作者: いしかわがる
34/42

【零次元】 ーー金剛ーー

 ……………… ………… ……

 この船の持つ科学力はこの四人をして脅威を禁じ得ない程に高度なもので、凡百の常識を遥かに凌駕し、己の卑小さを否応無く思い知らされる。と同時に、いかに小さくとも、どんなに弱くとも、生きた証を刻み付ける事の意義を考えさせられる、何とも不思議な、厳しくも優しい、慈悲ともいえる感覚に心が満たされる。


 肉体的に最も深刻なダメージを受けていたのは言うまでもなく北大路であった。

 ただでさえクリティカルコンディションであったうえに更なる放射能汚染。事も有ろうに亜空間航行中。他のメンバーにおいても、UFOロボの爆発時、タキオン素粒子がなんらかのカタチで干渉し、様々な元素と化合してしまい有機的に組織的に細胞と結合した疑いが強い。只、記憶を司る脳神経系統が正常に再構築出来ていた事と、なによりこのディアマンテ号とリュミエールの存在する宇宙に『不時着』出来た事はまったくの奇跡である。宇宙の大いなるフォースか、はたまた祖霊の導きか…………

 アレから59630時間にわたり、ディアマンテ号のICUメディカルコントロールシステムは彼らの治療、修復を不眠不休で行っている。

 その間、幽体離脱し、魂魄となった四人は主人リュミエールの守護霊よろしく、宇宙に蔓延る理不尽な悪を滅する戦いを、影に日向に、支えたり支えられたりという日々を送っていた。

 そう、まさに銀河の亡霊として、数々の凶悪宇宙人と戦い、幾つもの堕落惑星をシメてまわったり……。

 中でも思い出深いエピソードとして、Rー⑱星雲4649番惑星〝ペドロ〟での、愉快で豪快な、ロックスピリットの塊のような統治者、グレゴリウス大統領と繰り広げた狂乱のステージ。そして、惑星ペドロを侵略せんと、突如襲って来た『コンドー将軍』率いるアツくてムサ苦しい筋肉集団との血で血を洗う抗争……

 そんなこんなで、トータル66600時間の壮絶なオペレーションの末、四人の侍を完全復活させたディアマンテ号は満足げな唸りをあげ、銀河の煌めきを受けながら悠然と航行する。

 彼等の肉体に、再度命の灯がともされる。

 ゆっくりと細胞の活性を、血液の流れを感じながら。瞼を開ける。

 リュミエールの、気高くも美しい。深い慈しみを湛えた瞳が、四人の蘇生を静かに祝福している。

「この数年間、あなた方と行動を共にし、このまま貴方がたを宇宙のガラクタとして見捨てるのは忍びないと判断する程に、あなたがたの、ちょっと薹が立ってはいるけれど暑苦しいまでの青春の情熱は疑いなきホンモノでした。それ故に三千世界にも存在を望まれたということなのでしょう」

 四人は、各々、再生しリフレッシュした己自身の隅々までゆっくり丹念に確認し、生命のカタチと温度を堪能する。そして晴男が第一声を発する。

「おおお、なんか元通り以上に底知れぬパワーが漲っているようだよぉ!」

「ありがたい。こんなに嬉しい事は無い! マジで」

 西園寺も歓喜溢れる表情に輝いている。

「リュミエール殿、そしてディアマンテ号殿。拙者、命を懸けてこのご恩に報いて参りますぞ。」

「牛若ちゃん、堅いよぉ……」

 西園寺はこぼれ落ちる涙を止める事が出来ない。

それを見た晴男も、「お、おま、ふぇっ、ぐしゅっ、うぇっ! ばっ、おまっ、ふぇえ」

「晴男さん、ぁに言ってんすか、ハイ、ティッシュ」

 東海林もハナ水と涙でグシャグシャだ。

「ディアマンテ号の科学力もさることながら、必死に生きようとする命を、あなた方の並々ならぬ信念を、この宇宙が認め、生かしたのです。その意味をよく肝に銘じて、折角救われた命、無駄にはしないで下さいね」

 リュミエールの言葉が沁みる。もう、四人共、無垢な幼子のように嗚咽して泣くばかり。北大路など、感極まってなにか異形の物の怪に変身してしまう始末。

 ………………? ? ? ⁉

 ……? ? ?……? ?…………? ? ? ………………

! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! !

「何?  変身? ナニ、誰? え! えっ! 誰これ!」

「うわっ、ちょっ! なッ! 俺、えっ! ええッ?」


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