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プロローグ
今、いつもどおり起きて、通学して、勉強して、衣食住、着て、食べて、住んでいる世界が、〈何か〉によって記憶が改変されていると考えたことがあるだろうか?
別に何も気づかずに暮らしていくのもいい。
気づかなくたって生まれて生きて死ねる。
ただ、それに気づき、今 僕たちの脳にある記憶が改変されたものだときづいたら、僕たちは失った記憶を、もともとの記憶を、大切な記憶を、大切な人との記憶を、取り戻すために〈戦えるのだろうか〉?
又は
戦っている者を助けようと思うだろうか?
月が雲の隙間から顔を出すその夜にひとりの学者が告げた。
「私たちは、記憶を改変され続けてい…る…。」
その言葉は誰にも聞こえるはずもなく学者の記憶ともに森深くに消えていった。
これは大切なものを失っている者が、同じく大切なものを失った者の物語。
異なるのは失っていることを気付いているのか、そして戦おうという意思があるか、それだけであろう。