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誰も信じてくれない事実


 茜と疾風が付き合いだしたのは高一の終わり頃。始まりは、委員会が同じになったことだった。

 最初の会話はもう覚えていないが、やっぱり最初からこんな風にくだらないことで言い争っていた気がする。でもたまに見せる無邪気な笑顔とか、罵るくせにさりげなく手助けしてくれたりとか、そんなことが積み重なって、気づいたらもう彼が好きだった。正直、自分でもびっくりだ。


「まあぜんっぜん! カレカノには見えないけどねぇ……」

「うう……っ」


 夕紀が目下の悩みを遠慮なく指摘する。茜は呻くことしかできない。

 元々主なやり取りが幼稚な口喧嘩だったせいか、付き合い始めたというのに関係性が以前からとまったく変わらないのだ。せっかく同じクラスになった喜びも束の間、なんなら悪化している。

 本当は今日だって、お昼を一緒に食べようと誘うつもりのだけだった。

 茜なりになんとかしたいと歩み寄っても、気づいたら売り言葉に買い言葉で口喧嘩になってしまう。悪循環すぎる。


「ここまでカレカノっぽくないのも珍しくない?」

「……夕紀様! どうしたらいいと思いますか!?」


 茜の恋愛スキルは高くない。一緒にお昼を食べようと誘うこと、一緒に帰ろうと誘うこと以外の良い案が思いつかず、でもそれが一度として上手くいかない最近は手詰まり気味だ。

 拝まれた夕紀がそうだなぁと腕を組んだ。その真剣に考えてくれていそうな顔に、期待に胸が膨らむ。


「どうって言われても、特殊すぎてわかんない」


 しばらく考えた末に出された結論に、がくりと肩を落とした。


「夕紀ぃ……」

「だってお互い罵り合う性癖なんてないし……」

「それは私もないけど!? 絶対にないよ!?」

「ええ……?」

「うそうそうそ!? そこ疑うのやめてよっ!」

「冗談よ」


 軽いやり取りに笑うが、結局良いアイデアは得られずじまい。困ったな。本当に、どうしたらいいんだろう。



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