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過剰摂取も身体に悪い


「はあ?」


 怪訝な顔をした疾風は茜の言いたいことがよくわからない。だが最低、と評価されたことは非常に不服だった。


「じゃあやり直せばいいだろ」

「え!?」


 顎に手をかけられ、上を向かされる。茜の心臓が跳ねた。

 これもときめく、ときめくけど、そうじゃない。


「だっから! 違うの!」

「違うってなにが違うんだよ。口喧嘩中に塞がれたのが嫌だったって話だろ?」

「ふさ……!? その言い方なんか嫌! 違うったら違うの! そうじゃなくて!」


 仕切り直すにしたってせめて日を改めて、もっとタイミングを大切にしてほしい。こんなまた口喧嘩中に流れでもう一回はムードもへったくれもない。あんまりだ。


「なに、キスしたくないわけ? 俺のこと好きじゃねえのかよ?」

「好きだけどそうじゃなくてっ……、!?」


 勢いのまま喋るのはよくないと何度も思っているのに、改善は容易くない。

 最初の告白以来言ったことのない、でも言いたかった好きという言葉が売り言葉に買い言葉で飛び出していく。


「俺のこと好きならいいだろ?」

「なぁっ!」

「違うわけ? 俺は茜のこと好きだけど」


 比喩ではなく心臓がうるさすぎる。動悸がして苦しいから取り出せるものならいっそ取り出してしまいたいくらい。

 じっと見下ろしてくる疾風の視線から逃げようと顔を隠すために動かした手を先に囚われてしまった。指と指を絡ませられ、しっかりと繋がれる。


「ちょ……っ! お願いだから離してよっ!」

「ダメ。てかもうなんでもいいけど、キスさせろよ。今、俺が、したい」

「疾風がおかしくなったー! キャラが違うー!」


 やけに意地悪で攻撃的で甘い疾風にどう反抗すべきかわからない。そんな茜に追い打ちをかけて「かわいい」なんて一生聞けないと思っていた言葉を囁くから、照れるを通り越して顔から火が出そうだった。

 これ以上は過剰摂取すぎる。もう誰でもいいから助けてくれと心底思った。



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