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子供じみた中身のない口喧嘩


「はあっ!? もう一回言ってみなさいよっ!」

「ああっ何回だって言ってやるよ! ばーか!」


 立木茜(たちきあかね)は感情のまま目の前の男子を睨みつけて怒鳴った。


「馬鹿って言わないでよ馬鹿!」

「あんたたち、今度はなんで揉めてんのよ……」

「ちょうどいいところに! 夕紀聞いてよっ! 疾風が私のこと馬鹿とか阿呆とか言ってくんの!」

「事実だろ」


 茜は相手を指さして訴えるが、腕を組んで偉そうにふんぞり返ったその相手、東雲疾風(しののめはやて)は意に介した風もない。再び互いに睨み合った。

 聞いてと言うわりに高二とは思えない子供じみた口喧嘩に至った経緯の説明がなく、第二ラウンドに突入しそうな空気に呆れ顔で渋々仲介に入って来た神崎夕紀(かんざきゆうき)が待ったをかける。


「あんたたち、高二にもなってどんだけ内容がない喧嘩するつもりなの」

「だって!」

「だってもなにもないわよ」


 疾風はふんっと鼻を鳴らす。茜たちに背を向けると、「これ以上付き合ってらんねえ」と言い残しさっさと教室を出て行った。

 お昼休みは始まったばかりだ。


「言うだけ言って逃げた!」

「はいはい、終わり終わり」

「夕紀ぃ!」

「地団太踏んでる間にお弁当食べる時間なくなるわよ」


 手近な椅子を引き寄せて、夕紀はすっきりしない茜を無視して一人でお弁当を食べ始める。

 これ以上ごねたところで原因は既にこの場にいないし、仲介に来てくれた友人にも相手にしてもらえない。茜も大人しくすとん、と椅子に腰を落とした。

 (ふく)れっ面でお弁当を食べる様子を夕紀が呆れ顔で見てくる。


「よくもまあ懲りずに口喧嘩なんてできるね、あんたたち」

「どうせ中身のない幼稚な口喧嘩ですからっ」

「わかってるならやめなさいよ。付き合ってるんでしょ?」

「ぅぐ、っ、ゴホッ」


 放り込んだウインナーを咀嚼する前に飲み込んでしまった。

 むせる茜に夕紀がペットボトルのお茶を渡してくれる。


「ゆ、夕紀ぃ!」

「いやあんたから聞いた話なのに、なにを驚いてるのよ」

「だ、だってっ!」

「事実なんでしょ?」

「……じっ事実だけど!」


 先程の二人のやり取りを見ていたら、きっと誰も信じてくれない。

 派手に幼稚な口喧嘩ばかりを繰り返す二人が実は付き合っているなんてこと。



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