表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第六感の彼女  作者: 朱月
1/22

プロローグ

十三時五十六分、自宅の一室。

少し、自分が今置かれている状況を整理してみようと思った。

意外だ。こんな状況になっても冷静で居ることができているなんて。こんな俺でも覚悟の一つや二つもてるくらい、皆々様の忠告やら警告やら経験談やらが身にしみていたという事だろうか。

とりあえず現在地をもう少し詳しくお伝えしよう。この家に住んでいる俺でさえあまり立ち入る事が少ない部屋、プライベートが云々は今の世の中常識だ。プライベート抜きにしてもあまり入りたくは無い場所でもある。

つまるところここは俺の姉貴の部屋で、隙間から中がちらりと見える事はたまにあったが実際立ち入った記憶は時間の流れで風化してしまうくらい昔の事だ。

部屋の中は薄暗い。電気は落とされていて俺のまわりに数本置かれたロウソクだけが唯一の光源だ。

そして妙に鼻をつく臭い。古今東西のお香を混ぜたような頭が朦朧としてきそうな、そんな臭い。

部屋の主である姉貴は、あまり普段は見ない服を着ている。神社やなにやらの巫女服に近いようでどこか違う気がする。そもそも巫女服なんてものマジで見たことなんて無いので判断はつかない。

足元には奇妙な模様。ファンタジックな紋章みたいだ。会長なら何なのかわかるかもなー。ははは。

そしてその模様の中心で縛られて身動きがとれないでいる、俺。

「って、姉貴ぃぃいい!!な、何しようとしてんだーーー!!」

邪神の召喚の生贄にされ果ててしまうのだろうか。江藤悟(えとうさとる)、17の夏。

ああ──、走馬灯が鮮やかに通り抜けていく──。







時は七月。夏休みというパラダイスを間近に、試験という超危険な期間を明日に控えたこの時期。クラスメイトのほとんどは自習と題された本日の授業時間を利用して、教科書やら参考書やらを広げている。

私立巫山(みやま)高等学校。県内でも指折りの進学校である我が母校は近隣住民の知名度で言えばトップに君臨していると言ってもおかしくはなく、この学校で良い成績を残して卒業した者は大学、企業からかなりの優遇を受けるといっても過言ではない。しかしながら働き蜂の原理というやつか、通ってるやつ全員頭が良いかと言われるとそうでもない。わかりやすい例が俺。

つまるところ俺はそんなに成績がいいというわけではないのでこの時間を無駄にしてはいけないはずなのだが……。

「クソさみぃ……」

異変が起こったのは今日の朝方。

今日は夏らしい熱い一日になるでしょうとかなんとかの天気予報と、まさにそのとおりになるべくして訪れたような蒸し蒸しとした朝の陽気。

両親が他界して姉貴との二人暮らしが始まってからそれなりの時間がたち、朝起きた時居間に朝食が用意されていないのにも慣れてしまった。誰もいないテーブルには箸立てとテレビのリモコン。新聞、とってこないとな。

「姉貴は、帰ってるな」

玄関には姉貴の靴が揃えられる事無く散らかっている。市内の病院に勤務している姉貴は昨晩夜勤だったようで朝帰りアンド現在就寝中のようだ。病院内で何か問題が起きたらしくて最近は夜勤でなくても帰りが遅かったし起こさないようにしないとな。

「さて、ちゃっちゃと飯作って学校行くか」

本日の朝御飯のメニューは昨日の晩御飯の残り、以上。これじゃ作ったなんて言えないな。

晩飯時には幾分味気なくなりはするものの、あらかじめ次の朝食を兼ねたモノを作る事が多いので、朝の貴重な時間を無駄にせずに過ごす事が出来る。

およそ昼食までには十分持つであろうと思われる量を胃袋にいれ、登校前の残り僅かの在宅時間をとってきた新聞のテレビ欄を見て過ごす。高校生の身分ではそれ以上新聞で仕入れる必要がある情報はそれくらいだ。

さて、そろそろ出発するかと腰を上げて玄関から一歩外に出た瞬間、


────世界は一変した。


午前中はテスト範囲をおさらいするだけの授業、午後は授業とは名ばかりの教師すらいない自習時間。大多数の生徒が自らの机の上でシャーペンでノートに文字を書き、参考書に蛍光ペンでマークするなど手を動かしている中、すでに極寒サバイバルを数時間耐え抜いていた俺はそろそろ限界カナーとか思ったり、ちょっと人間として大事なネジがどうにかしてしまいそうだったりしていた。

「悟、あんたマジ冷たいわよ。まるで死体みたい」

「この人間氷枕め。ところで、俺んちの冷房として雇われる気はないか」

昔から風邪すらほとんどかからない俺の苦しみっぷりを見て物珍しげに悪友が群がってくる。二人して俺をペタペタさわってくるな。あー、でも人の手ってこんな暖かかったんだなぁ……。人の暖かさに改めて感謝、じゃなくて少し触りすぎだアンタら!

綾はもう少し女として自覚を持て!変な誤解されるだろう?

雄ももう少し男として自覚を持て。変な誤解されるだろう?

どちらかというと、雄のほうの誤解のがやっかいだ。

「おー。こりゃ気持ちいいわー。今日はほんっと熱いからね。ありがたやありがたや」

女にしては高めの身長と、短めに切られたどこから見ても日本人を思わせる黒髪が俺の視界の端でゆらゆらと揺れている。

狩谷綾(かりやあや)。俺の幼馴染その1で一応女だ。俺や雄とばっか遊んでたから、ちょっと変な育ち方したのかなあ。気兼ねなくコミュニケーションがとれる友人というのは貴重だが、女らしさとかそういうものをもっと大切にしてほしい。

「おい、綾。お前ばっかりずるいぞ。俺にも夏のご神仏の恩恵に与らせろ」

そして逆の視界の端では男の中でもでかいほうに入る身長に、綾と同じ黒い長髪が同じようにゆらゆらと揺れている。

この野郎は狩谷雄(かりやゆう)。幼馴染その2で生意気にもイケメンの部類に入るルックスを持ちながら、学年で1,2を争うほどの成績優秀者という人として中々高スペックに入る部類の人間だ。

二人は名字からもわかるが双子の兄妹で、俺んちのお隣さんというごくごくごくごくありがちな腐れ縁だ。

「へっぷし!……こりゃ、もしかしたら原因は姉貴系なのかな。いつか巻き添え食うとは思ってたけど……」

この非現実的な寒気……というより、俺の体温自体がすでに人のモノじゃない。綾の言う、死体みたいというのはもしかしたらものすごく的を射た表現かもしれない。

「ハナさんの?……むむ、ありえなくもない所がさすがハナさん……」

俺の姉貴、江藤祓奈(えとうはな)は一応看護師という真っ当な職業に就いてるとされているんだけど実は……。

ぶるっと一際寒気が走る。考えれば考えるほど姉貴系な気がしてきた。段々机が暖かく感じてきましたヨ?

「原因がハナさん系なら、ハナさんになんとかしてもらうのが早いんじゃねぇの?」

ハッと伏せていた机から跳ね起きる。なるほど、そりゃ至極当然な考えだ。

「雄、お前頭良いな」

「馬鹿にしてんのかよ」

いやいや、まったくもって盲点だった。今朝は姉貴、夜勤明けで寝てたもんですっかり失念してた。

「なら今日はもう早退しちゃいなさいよ。どうせ一日自習だし、このままじゃその自習もままならないでしょ」

自習する気が最初っから無いヤツが何を言うか。

しかし早退か……。美しい響きだな。

「付き添い2名許可してもらうにはお前の病人っぷりにかかってる。がんばれよ!」

自分が帰りたい口実かよっ。

とはいえ、付き添いがいるのは正直助かる。無事1人で帰れるかわかったものじゃなさそうだ。この悪質の風邪……かどうかも微妙な病に侵されたこの体では。

それにしても早退するにはどうすりゃいいんだっけ?確か、保健室行って早退許可証もらうんだっけか。確か生徒手帳に……。

「じゃあ帰ろっか。悟も早く帰り支度しなさいよ」

兄妹そろって鞄を担いで既にドアの前に待機していた。

準備はやいっすね、あんたら。

全く……明日からテストだっていうのになぁ。

この学校の本館は五階構造で、一番上は生徒会室や学園祭などの作業なんかに使ったりする空き教室がある。そこから四階に1年、三階に二年、二階に三年とクラスがあがるごとに教室に行くのが楽になるようになっており、1階には職員室、図書室などがある。三年ともなると図書室や職員室にお世話になることが多くなるからだろうか?

保健室も1階にある一室で、どこの学校でも大抵呼ばれているようだが、お約束の様にサボリの聖地とも呼ばれている。うちの学校はそもそも先生がサボリ魔なので仮病から重病まで保健室の受け入れ態勢は広い。

二年のクラスからは階段を二往復する必要があったが体調、というより体温は最悪だが体はそんなに重くは無く雄や綾の肩をかりることもなく(かりる必要があってもコイツラはかしてはくれないが)保健室へとたどり着き、保険医が在室していることを証明する札を確認してドアを開く。

「陵先生、失礼します」

保健室や病院独特のむっとした薬品臭が鼻をつく。

その薬品臭まみれの部屋に白衣を着た女性が一人、退屈そうに椅子によりかかって扉から入ってきた俺たちを見ていた。

彼女は陵玲華(みささぎれいか)さん。この学校の保険医で、俺の姉貴の同級生かつこの学校のOGらしい。姉貴と一緒に色々無茶したようで、俺たち以上に学校についてのアレコレに詳しい。そのアレコレを聞くと呪われるというのはこの学校の新約七不思議に数えられている。

「あら?誰かと思ったら、悟君ご一行じゃない。どしたん?さぼり?でも今日さぼりってのも変ね。教室で堂々とさぼれるし」

相変わらずやる気のない先生だ。怪我の手当てとかもかなり適当臭が漂うというのがもっぱらの評判で、彼女が赴任して以来生徒が怪我をする頻度が少なくなったという。擦り傷の手当てのはずなのに胃にメスを置き忘れたなんていう怪談じみた噂もあるくらいだ。ちなみにこれも七不思議の一つに数えられている。まぁそんな先生の噂を知ってれば怪我なんか絶対にしたくなくなる。問題にならないあたり、実際のところはマトモな保険医なんだろうけど……。俺も何度かお世話になった事あるし。

「夏風邪というか、姉貴病というか……。まだどっちなのかわからないんですけど、とにかく体が死後硬直始めそうで……。というわけで早退したいんで許可証もらえませんか?ついでに二人分の付き添いもオマケに」

と今現在わかっている病状を余すところ無く伝えてもこれっぽっちしかセリフがない俺に陵先生は一言、

「祓奈病ね。間違いなく」

非情にもあっさりと診断というか判決というか断頭台の紐をお切りになられた。

「やっぱりそうなんですか……」

「最近何かやった?やけに手料理勧められたりとか、買い物に違う道通らされたり、家の玄関に変なマークがあったり、もしかしたら制服の裏にあったりしない?」

それからー、あれからー、と次々に姉貴の行動に怪しいところはなかったと嫌に具体的に質問してくる。恐らくだけど、経験から来てるんだろうなぁ姉貴について詳しいのは。ついでに言えば校内で作られた手料理を食べると呪われる、制服の裏に変な模様が浮かび上がると呪われる。これも七不思議。この学校に料理部はおろか、調理実習さえ無いあたり七不思議も馬鹿にできない。

そして制服を裏返している俺。ついでに後ろ二名も。

「全く。何されたかは知らないけど、原因は絶対祓奈よ祓奈。アイツ以外こんなあからさまな症状出す原因作れるアホはいないって」

経験者は語るといったところか?妙に説得力あふれる先生の言葉は俺の不安を煽るには十分すぎて困る。

「そうなると許可しないわけにはいかないな、これは。付き添い二人も三人もオッケーオッケー。むしろ足りないくらいよ。さっさと帰って祓奈にオトシマエつけてやりなさい」

机の上のメモ帳を一枚切り取って『帰ってオッケー。付き添い歓迎』と書いて俺に渡す。

適当すぎる。

「確かあんた達の担任、光坂クンでしょ?祓奈ねーさんがらみでって言えば一発オッケーよ。あたしんところに来る必要もなかったかも」

なんと……こんな身近に更なる姉貴の犠牲者がいたとは……。

「祓奈にとっちゃ可愛い後輩だったからね。そりゃ可愛がられてたよ。……目を背けたくなるくらい」

あと2年ほど遅く生まれてたらまた違った人生送れただろうに……と俺は新たな姉貴の被害者に同情するしかなかった。

「あ。あんまり意味ないとおもうけど、一応体温はかっとかなきゃ。これでも一応保険医してるからさ。記録はとらないといけないの」

そういって陵先生は一本の白い体温計を俺に渡してきた。


「──ちなみに、人の体温は普通32度以下にはならない。生きてる限りな」


保健室から退室して職員室に行くまでの間に、雄の知識自慢が披露されていた。別にそんな知識欲しくもないぞ。知りたくも無いぞ。

「体温っつーのはなぁ、1℃下がっただけでそりゃもうアホみたいに体弱くなるんだぜ」

いらんいらんっ!そんな知識いらん!

「やったわね悟!人間の限界突破!これは誇れる事よ!」

あー、人間の生命の神秘がこんな普通の高校生にやぶられてしまうなんてな……。

俺の体温、現在31度。どの程度かわからない人は風呂のお湯の温度を31度に設定して入ってみよう。

「にしても光坂先生が姉貴の後輩だったとはなぁ……。弟の俺でも知らなかったなぁ」

光坂映(こうさかえい)先生は、去年この学校にきた先生で俺たちのクラスの担任だ。数学担当の教師で生徒達の人気も悪くない。少なくとも俺はあの先生が担任で良かったと思ってる。

それが姉貴の後輩だったとは……。俺が姉貴の弟って知ってるんだろうか……。もしかしたら知ってても触れたくないのかも、姉貴の事には。

「おい。俺、祓奈さんの高校時代がすげぇ気になってきたぞ。悟、当時8歳だろ?何か覚えてないのか?」

うーん……。姉貴の友達が家に遊びに来るとか無かったし、その頃は地元のサッカークラブに入りたてでそっちで頭一杯だったしなぁ……。

「なら兄貴一人で陵先生にアレコレを聞いてくれば?」

「すまん、軽率だったな。好奇心は猫をも殺す、お前らも良く覚えとけ!」

ハハハ。そんな事アレを姉にもった俺が心得てないとでも言うのかね。猫どころか人を殺しかねない。

「とりあえず先生に許可証……といっても紙切れだけど渡してくる」

先生の机の位置は……あそこか。

よし、いるみたいだな。

「失礼します。光坂先生いますか?」

いる事を確認しといていますかもないのだけれど。

「お?江藤、どうした。自習中だろ?」

テスト期間中は原則生徒は職員室内に立ち入り禁止なので先生のほうからこちらに歩いて近づいてくる。

「えっと……体調が優れないので早退したくて」

「お前が?珍しいな。それにそこの狩谷兄妹もオマケか」

やっぱりこの時期、自習がだるくて早退する生徒が多いのかチェックが厳しい。普段風邪一つしないからその分更にチェックが厳しい模様。

まぁ一応保険医の許可証があるから最低俺一人は帰れるとして付き添い二人は厳しいか、普通なら。

えっと、確か陵先生言ってたよな……。

「あ、はい。ちょっと姉貴がらみで……」

「休学届けもついでにどうだ?江藤」

し、暫く学校に寄せ付けない気だ。この先生。

「い、いえいえ。結構です」

「そうか。なら早く帰って養生する事だ。おい!狩谷二人、ちゃんと付き添えよ!お前らにうつるのは大いに結構だが、くれぐれも俺にはうつすなよ!」

どうしよう、俺の中で先生に対する株が大暴落中です。

くるっ、ざっ、がたん!

僅か三動作で光坂先生は職員室の自分の席まで帰還を済ませていた。

ついでに職員室のドアを施錠していくという徹底ぶり。

「あー、うん。まぁ……姉貴の被害者だもんな……」

今日一日だけで『姉貴の被害者』という言葉の重みが俺の中で随分とレベルがあがった気がした。上昇するパラメータは主に攻撃力……かな?

何にせよ、これにて保険医と担任に許可を戴き、めでたく早退する準備が整いました。

「じゃ、さっさと帰るわよ。まったく、テスト前ってだけで何で部活がないのかなあ。暇でしょうがないわ」

「今の発言は学生として色々問題があるが、その前にちょっと同好会の部室よってもらっていいか?会長にも一言言っておかないと」

「部室?一年も自習中のはずだろ?」

「自習程度ならあの会長は必ず部室にいるよ。あそこはなぜかピンポイントに携帯圏外だし、何も言わずに帰ると……ちょっと後が怖い。いや、そもそも行ったら行ったで怖いな……」

俺の本業はサッカー部なわけだが(ちなみに綾は陸上、雄は帰宅)、もう一つ正会員ではないんだが、昼休みに入り浸らせてもらっている同好会がある。

「俺、あの子苦手なんだよな……。いや、綾にあれくらい可愛げがあればなぁとは常々思うくらいだが、う〜ん相性とかそういうのあるんだろうか……」

「……可愛げがなくて悪かったわね。バカ兄」

会長と可愛げを比べたら大抵の女の子は完全敗北するくらいなんだから、それを綾に求めても無駄だろ。

とは口に出さないで目線だけで雄に訴えかける。言わぬが花だ。


今から向かおうとしている同好会の部室は本館と1階の渡り廊下のみで繋がっている別館にある。

なんで1階にしか渡り廊下無いんだろうか。別館には部室の他にも理科室とかもあるので四階の一年生が別館の四階に用ができた時なんかひどいものである。

同好会の部室は一階の一番端っこにあるのでそこまで面倒な道のりではないが。

そもそも会員数一名の同好会が部室もってるって時点でおかしいんだけどな……。

「鍵開いてるな。やっぱり会長は自習サボリか」

予想通り普段は南京錠で閉められているドアが開いている。

ちなみに特別教室の鍵というのは職員室で管理されてるのが原則だが、この同好会に関してはその限りではない。

明らかに裏がある。この同好会。

俺が興味を持ちつつも正会員になれない要因の一つがコレだ。もう一つ理由を言うのならばテロリストには屈しない、みたいな。

「会長、いるんですか?」

教室のドアを開けて中をぐるりと見回す。長机が一つに、ドア側以外の3方向を埋め尽くすでかい本棚が置かれた見るからに怪しい部室。

そしてこちらに気づいて何かがやってくる、気がした。

「いないか」

「いるよ!」

む!声はすれども姿は見えず。これが噂の空蝉の術……っ!

「サトー君、会長に対して態度がなってないよ!不敬罪で訴えるよ!三千万だよ!」

三千万か、それは困った。というか昨今不敬罪なんてものが通用するのだろうか。生憎と都合よく弁護士目指してる知り合いはいないので確認しようがないのが非常に残念だ。

しかしこの会長だったら肉体的に三千万しぼられそうなので仕方なく視線を下げる。そこまでしてようやく彼女が視界に入った。

「会長、そんな近くに居たら見えませんよ」

運動部の綾は邪魔だからと髪は短く切ってあるが、こちらは肩まで伸ばして見た目から文科系のイメージを感じる。動物に例えるなら……リスとかハムスターとか。

そもそも、髪型とか以前の問題で彼女は少なくとも運動部には見られないだろうけど。

「へっぷしっ!……会長、縮みました?」

「縮んでないよ!もうちょっとで140越え……っ」

そうかそうか、会長もようやく大台に……届いてないのか。

「こ、越えてるよ!まったく、女の子の体について詮索するなんて……んん?サトー君、風邪?」

「ああそうだ。それについてなんですけ、へくし!」

ここに来て更に冷えた……かな。共鳴とか共振とか摩訶不思議超常現象もろもろが犇めき合ってるのかもしれない……。

「やっほー。槻御ちゃん。相変わらず可愛いわね。悟に変なことされてない?」

「綾先輩、こんにちは!今のところはなんとか大丈夫です。サトー君、ソッチ系の趣味ありそうだから油断はできませんけど」

ちょっと待て。

「俺もいるって事忘れないでおくれよ。槻御ちゃん」

「雄先輩もこんにちはです」

ペコリと可愛らしくお辞儀をする。ただでさえ視界に入りにくいのにお辞儀なんてされたらさらに見えない。せっかくの愛らしい仕草を目に収められないとは罪な人だ。

紹介が遅れたが、彼女は鳥居槻御(とりいつきみ)。見た目は高校生どころか小学生もいいところだが飛び級の天才少女とかではなく、この学校にごく普通に進級してきた一年生。つまり後輩だ。

一年生にして会長。後輩にして会長。

彼女に対して敬語を含ませるのはちょっとした嫌味でもある。

別に彼女に対して恨みとかあるわけではないんだが、彼女ほどからかって可愛い子を俺は知らないのでつい。

ついでに彼女が俺のことをサトーと呼ぶのは『サト』ルだからではなくて江藤のトウと悟のサをくっつけてるらしい。変な拘りを感じざるを得ない。

「それでサトー君。風邪なの?平気?」

「ああ、そうだった。……見ての通り、というより触ったら一瞬でわかると思うけど風邪でさ、早退するから今日は来れないってのを伝えたくて……」

自分の律儀さには呆れそうだが、前に一度昼休みに顔をださなかっただけで次の日には失踪扱いになってたからなぁ。各方面への誤解を解くのにどれだけ苦労したことか……。今思えばあれは逃亡対策のつもりだったのだろうか。だったのなら今ほいほいと部室に現れた俺を見れば効果のほどはかなり覿面のようだ。

「じとー……」

それで、えーと……。会長?俺のことめっちゃ見てません?いやだなぁ、ははは。惚れました?

「……サトー君、それ本当にただの風邪?」

「タ、タダの風邪ですよ。うん、きっと……」

希望的観測は時として取り返しのつかない事態を引き起こすが、それにすがりたい気持ちをわかってもらいたい。

「ふふん。隠したって無駄だよ!槻御の目はごまかせないんだから!何てったって由緒正しきオカルト研究会の会長さんなんだからね!」

そうなのである。

彼女が会長を務め、俺が毎日昼休みに入り浸るこの同好会の名称は、「オカルト研究会」。

オカルト研究会同好会ではなくて研究会らしい。研究会という響きに拘りがあるようで、同好会と呼ぶと怒られる。そして殴られる。あまり痛くはない。むしろ和む。

ところで何年もの間、この学校に存在しなかった同好会、もとい研究会に由緒なんてものがあるのだろうか。

「サトー君のお姉さんが初代オカルト研会長で、槻御が二代目!由緒は素人のサトー君にはわかりにくそうだけど、曰くだけはなんとなく理解できないかな?」

確かに、姉貴がトップの組織がマトモなはずが無い。

会長は俺の姉貴に憧れてこの学校に来たみたいで姉貴が卒業後、誰一人として後を継ぐ人がいなくて長らく名前だけというか伝説のような存在だったオカルト研究会を再興させたいらしい。

俺は俺で姉貴がオカルト研究会で会長してたことは知っていたが、別に同じ学校はいったからといってオカルト研究会をどうこうするつもりはなかったが、今学期が始まってオカルト研究会が復活したという話を聞き、ちょっとした興味で部屋をのぞいたら……捕まっちまったわけだ。

「サトー君、いい加減正会員になってくれないかな?部活と研究会は掛け持ち可だよ」

いや、なんかマジにここに籍を置いたら後戻りが出来なさそうで怖いんだよな……。部屋を見渡せば怪しい書物が所狭しと眼球を支配する。悪魔召喚・入門編とか薦められたが一体会長は俺にどんな門をくぐらせる気なのだろうか。

「まぁ考えときますよ。それでは、早退するんでまた明日……からはテストだからしばらく来れないか」

というわけでさよならさよなら。ほら、綾に雄も帰るぞー。さっさと帰りますよー。ていうか走れ!

ガタンッ!

「ぐぇ……」

「うわっ、兄貴がドアに挟まった!!」

ちっ、逃げ遅れたか!これだから新兵はっ!そもそもこれだから会長に報告するのは何か危険な香りがしたんだよ!……とはいえ隠れて帰れる気もしなかったわけなんだけど。

「ところでサトー君、その普通じゃない風邪。家に帰ってどぉ〜するのかなぁ?」

「どうもしません。帰って寝ます」

素っ気無く答えながらドアが開かないか確かめてみる。

あー、雄がこれ以上ないくらいフィットしてるなぁ。そして開かねー。

「初代会長は今日はご在宅?是非是非挨拶しに行きたいなぁ」

「姉貴は寝てます。それはもうぐっすり」

綾に雄を蹴っ飛ばして外に出せないかと打診してみるが、雄によってその作戦は却下されてしまう。

これだから新兵はっ!新兵はっ!覚悟が足りてねぇ!

(ねぇ、悟。槻御ちゃんをハナさんに会わせたくないの?)

(会わせたくないってわけじゃないけど……、言い方によっちゃ会長は姉貴2号だぞ。会わせるとロクな事がなさそうで……)

今まで何度もお宅訪問していいかと言われ続けて来たが、その都度今の様にドアが開かなくなったりドアが勝手にものすごい速さで開閉するようになったり、ドアが持ち上げないと開かなくなったり、ドアが……。

とりあえずドアがものすごくアレなので色々とピンチに陥ったが、今のところ姉貴に会わせるなんてことにはならなかったのだが……。

そもそも助かったのは昼休みだったからであって、さすがに授業開始まで拘束するわけにもいかないのか耐えれば勝てる勝負だった。ああいやでも結構精神的にクるものがあったけど。

しかし今の状況ではその限りではない!なんていうかもうドアにはさまってるのが俺じゃなくてよかったーー!

「ああー、雄先輩。お顔真っ青ですよー」

ついでに雄も地味にピンチ。

「さ、悟……。お、折れてくれ」

雄……それがお前の遺言か。右から左に素通りする程度に聞いてやる。

「ねぇ悟……。いいじゃない、会わせるくらい。二人にとってくわれるわけじゃないんだし。そもそもボヤボヤしてたら悟のほうが先にくたばっちゃうわよ」

「う、く……。それもそうか……」

しかしだな、とって食われるとか意外にありえなくもないとは思わないか。なんていうか、生贄にされそうじゃないか、怪しい儀式の。

「じゃあ決定だね!やったぁ!ようやくサトー君のお姉さんに会えるよ!」

仕方ない、か。雄も死に掛けてる事だし、これ以上意地張る必要も……。

「じゃあ、ドアの仕掛け解除するよ」

ぺぺ、と妙な機械音と共に頑なに閉まろうとしていたドアがようやく動き出す。

ただし、高速で。


ガタンガタンガタンガタンガタン────、


「ドア恐怖症になりそうだ……」

ボコボコになった雄に肩を貸しながら一人増えた付き添いを連れて家までの帰路につく。病人に肩を借りるとはなんとも情けない。これだから体力のない帰宅部は……。

俺の家は中学の時より学校に近く、徒歩でも15分掛かるか掛からないかの所にある。志望動機の一つにコレが含まれているのは言うまでもない。

校門を出て緩やかな坂を降り、市内を真ん中でぶったぎる大きな川にかかる橋を歩きながら真下に見える魚釣りをするおじさんや水遊びに戯れる子ども達にすっかり夏だなぁと一人で関心する。今日平日のはずなんだけどな。

しかしなんだね、この時期にこの川に人が集まるのは無理もないか。

県内最大の大きさを誇る巫山川に、それに架かる橋もまた県内最大の巫山橋。渡るまでに掛かる時間もまた県内最大で、夏の遊び場としても県内最高だろう。このお時勢、ここまで澄んでる川も珍しくなりつつあるし。嘆かわしい事ではあるが。

ついでなので補足しておくと、川にも橋にも学校にもついてる巫山というのは学校裏手にある2,3時間あればゆっくり歩いても登って降りられる程度の小高い山の名前だ。神聖なお山なので立ち入りは禁止されている……のはもう百年近く前の話で、今は近所の子どもから大人までが登ったり降りたりするごく普通の山だ。

ちなみに巫山とつくのはまだ他にもある。例えば姉貴が勤めている病院も巫山総合病院だし、よくお世話になる商店街も巫山商店街と入り口に書いてあった。あ、今日の晩飯どうするかなぁ。冷蔵庫は空だし、こんな状態じゃ買い物もできないし……。久々に店屋物でもとるか、姉貴と生活費に相談しながら。

「たまにはあたしが作ってあげよっか?買い置きがまだ結構残ってるはずだから今日の晩御飯が二人分増えるくらい平気だと思うよ」

「え!?綾先輩って、料理とかできるんですか!?」

ひえー、と大袈裟に声を張り上げて驚く。人は外見で判断してはいけないのだよ。

「槻御ちゃん、驚きすぎ。こう見えて家事全般は人並み以上にこなせるって自負してるんだから」

「俺がほとんどできねぇからな。ほとんど任せてたらすっかり板についちまった」

「俺んとこも、雄のとこも両親いないからな。嫌でも少しは出来るようになるんだよ。つうか、雄は何もしてねぇのかよ」

俺んちは両親共に他界、雄んとこは母親が亡くなってて父親が単身赴任で海外だったか。姉貴が俺ら三人の保護者代わりということで落ち着いている。

「甘く見てもらっちゃ困るな。風呂掃除は俺のテリトリーだぜ?」

威張るな威張るな。

関係ないけど風呂掃除といえば洗剤を吹きかけて数分まって擦らず流してもあんな音ならないよな……。うちの風呂釜がもう寿命なんだろうか。

「じゃあもう、三人まとめて三つ子みたいな感じだね。羨ましいなぁ、そういうの」

その言い分から推測するに、会長は一人っ子なのだろうか。会長の身の上話は聞いたこと無いな……そういえば。

お母さんも小さいのかな……。それともお父さんが……っ!?それは絵的に……。

「ベランダから飛び移れるほどお隣さんだからな。昔っからほとんど一緒にいたよな」

うーん、思い返せばその頃は……と思ってもさすがに小学校以前の記憶はもうおぼろげになってしまってる。

「身長も皆ほとんど一緒だし……。槻御も綾先輩くらい欲しいなぁ」

羨ましがる会長をよそに四人の身長をわかりやすく現してみよう。例えば手のひらをピッと伸ばした時の指の長さ。

薬指が俺、中指が雄、人差し指が綾で……親指が会長か。

「さすがにそこまで小さくないよ!」

実際問題一番でかい雄とは実に三十センチ以上の差がある。同じ女の綾でさえ三十センチ近く違う。俺とも綾以上雄以下の三十センチの差がある。

「っと、ほら会長。着きましたよ。あれが俺んちです」

「近っ!むむぅ、こんなに近いなら尾行とかすればよかったかなぁ」

とってもよくありません。ああ神様、俺は今一つの犯罪を未然に防いだのかもしれません。

「それで隣があたしんちね。それじゃ準備してくるよ。兄貴も!たまには少し手伝ってよ」

「へいへい」

「じゃあまた後で。悪いな、晩飯ごちそうになるよ」

二人そろって自宅に入っていくのと同じくして俺と会長も我が家へと足を運ぶ。

「ただいま〜。姉貴、起きてる?」

玄関の様子は朝出て行ってから何も変わってない。

「おぉ〜、結構広いなぁ」

会長の感想どおり、俺の家の玄関は家の大きさと比べて少しばかり大きい。その広い玄関に揃えられている靴の数が、会長という珍しいお客の分もいれても三足しかない分更に大きく見える。

「さとるぅ〜?」

玄関から向かって左手にあるリビングから気だるそうな声が響いてくる。

これはついさっき起きたばっかだな……。

「会長、ちょっと待っててください。姉貴寝起きなんでさすがに……」

当の本人は全然気にしないのだが、やっぱり弟として姉貴にも一応女性なのだから恥じらいとかそういうものを持って欲しいという俺の願いがこもった配慮から会長を一旦玄関で待つようにお願いしてリビングに足を踏み入れた。

「うわっ。姉貴、また昼間っから酒飲んでるな」

テーブルには缶ビールが数本空になって置かれている。最近量が増えてきたのはやっぱり職場の問題のせいだろうか……。

「こちとら休日返上して出勤してたんだから、これぐらい飲まないとやってられないっての」

そしてまた一つテーブルの上の空き缶の数が増える。

「それよりも、あんた帰ってくるのはやいじゃない。さぼりはいかんぞー……。さぼりは」

成績はよかったのに出席日数がたりなくて卒業が危ぶまれてた人に言われたくはない。

「お疲れのところ悪いんだけどさ、ついに姉貴系の何かに侵されたっぽいから何とかして欲しいんだよね。ついでに姉貴に客がきてる」

「私系って……。最近は忙しかったから特に何もイタズラしてないわよぉー……ってあんた!」

いきなり声を張り上げる姉貴に驚いた俺が次に感じたのは首筋に感じた鈍痛と遠ざかる意識……。

これが俺の平穏な生活に終止符が打たれる最後の記憶になるとは夢にも思わなかった……とかそういう無知故の幸せな感傷に浸るのは俺には到底無理で、できた事といえば脳裏を横切る非情な現実を『ついに来てしまったか』と諦めの境地に達する事だけだった。


───以上、走馬灯終わり。


グッバイ、俺のソウル。来世は金持ちに飼われる猫になりたいにゃー。

「命まではとらないよ。サトー君」

「っむぐ……ぐ」

強引に口を手ぬぐいのようなもので塞がれる。これが話に聞く猿轡ですかっ。

そして会長ぉお。あなたもグルなんですか!?

「悟、彼女がよく話してた私の二代目って子は。ちっちゃいのに良く出来た子ね」

「いえいえ。初代会長にはまだまだ及びません!」

やっぱり会長を連れてきたのは間違った選択だったのか……?もしかしたら昨日までに一度会長を連れてきていれば、もしかしたらこの場で姉貴と会長のタッグは回避できたのではないか?

だがそんな後悔も後の祭。ならばいっそこの選択が最善であったと信じ込むしかない。

「悟、あまり心を乱さないでくれる?安心なさい。弟の命なんて取るわけないじゃない」

そうは言われても怖いものは怖いんです!命はとらないとか結構信用できないんです!命はとらないけど人格崩壊とかしそうなんです!基本的人権の尊重を今この場で声高らかに訴えたい!

「サトー君。本当に大した事じゃないよ。いわばこれは……そう、治療!治療なの」

治療!?なんの……って例の超低体温病のことか。姉貴と会長で『治療』するってことはつまりやっぱりタダの風邪じゃなかったのか……。

タダの風邪だったらあんな体温なったら死んでるんだけどさ。

「さぁ取り出すわよ。悟、深呼吸深呼吸」

取り出すって何を!?それに猿轡されてると深呼吸もしにくいのですが。

「すぅー、はぁー。すぅーっぐぶほっ」

息を出来るだけ大きくすった直後、姉貴の拳が俺のみぞおちを直撃する。

息吸ってる途中にみぞおちに拳骨とか!!俺は一瞬後に腹の底から沸き上がる痛みと吐き気を瞬時に覚悟する。

……あれ?何もこない。

………ん?えっ!?あ、う、腕がぁーー!!姉貴の腕がーー!!俺の胸にさ、さささささ刺さってる……っ!?

「ちょっと!暴れないで!すぐ終わるから」

ずもずもずもと、実際には聞こえないが音がなるとしたらそんな音がなるだろうなと思わせる感じに姉貴の手がすでに貫通しててもおかしくないほど深く俺の中に入っていく。

「ん、この……っ。逃げるなっ」

どうやら姉貴は俺の体の中にある何かを探しているようだ。肝臓ですか?大腸ですか?膵臓ですか?できれば一つなくなっても生きていられるものにしてください。

「会長!がんばってください!」

傍らで姉貴を応援する現会長。姉貴より、俺を応援してはくれないだろうか。

「捕らえた!」

「ぶぐぉ」

俺の中身をまさぐっていた姉貴の腕が一瞬のうちに引き抜かれる。

ずもももももとかそういう音は今度もならなかったが、変わりに強烈なくすぐったさが俺の腹部を駆け巡る。

「んーーーっ!!」

あまりのくすぐったさに一瞬で腹部の痙攣と酸欠が俺の体を支配して再び意識が遠のいていく。

酸素不足で極端に思考能力が低下した俺の頭が最後に見た目から受信した映像は……青白く光る人のようなモノだった。



一時期自分のサイトを持ってそこで小説を公開していたのですが、小説を書くことだけに集中するべく投稿小説として公開することに至りました。作者名は同じなのでもしかしたら知っている人もいるかもしれません。そんな人はお久しぶり。しかし恐らく9割以上の人が初めてだと思うので皆様はじめまして。更新頻度はあまり早いほうではありませんが、どうか生暖かく見守って頂きたい次第であります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ