第1話 マジかよW 天使オルーレのめちゃめちゃ展開①
山村聡は、いつものように家を出て学校へと向かった。
クラスメイトからは、『サトシ』と呼ばれている。
どこにでもいる高校3年生。
黒髪のショート。
身長は165センチ。
華奢な体格だが、体育の成績は悪くない。
期末テストの成績は、良くもなければ悪くもない。
学年順位も中間ぐらいの順位。
大学受験を控えてる受験生でもある。
真面目で消極的な性格。
恋愛は奥手。
好きな子はいるんだが自分から告白できない。
なので、3年間1度も彼女ができたことがない。
なんだよ、『主人公』はラブコメのよくある陰キャ(陰気なキャラクター)の高校生かよ。
つまんねぇー。
そういう声が聞こえてきそうだけど、もう少しだけでいい。
このつまらん『サトシ』の行動を見てみよう。
展開がわかったから、もういいって?
まぁ、そう言わずに待ちたまえ。
サトシは部活に入ってないので、放課後は塾へと向かう。
塾が終わって、夜8時に帰宅する。
その後、風呂に入る。
その後、夕食を食べる。
その後、アニメを見る。
『ヌードアート・オンライン』という大人気エロアニメだ。
それを見てから、明日の学校の準備をして、夜12時に就寝。
おいおい、何もないのかよ。
この主人公、普通すぎるだろって?
そういう気持ちはわかる。
でも、お気づきだろうか?
えっ、なにホラーみたいな前振りしてるんだって?
フフフッ。
で、何かというと、『サトシ』の好きな子、『ヒロイン』が登場していない。
もっと言えば、『友達』も登場しておらず、『友達』との関わりもまったくない。
えっ、『サトシ』ってクラスメイトから嫌われてるのかって?
陰キャで嫌われてるのが主人公なんて気が滅入る?
ハハハッ。
そうだね。
だけど、この物語はここから始まるんだ。
この後、ヒロインが登場して、好かれるために努力して、人気者になってハーレム展開だろって?
そうなるといいよね。
「では、この先を見てみようか。オルーレ、出番だ」
白装束を身に纏った、『天空の神オルデン』は、話を聞いてる小さい天使の子供達の中の1人を指差す。
「ここから、『サトシ』の人生を劇的におもしろくしなさい。何をしてもいいから」
オルデンにそう言われて、オルーレは、よからぬことを考えているかのように、ニヤリとした。
「わかった。『サトシ』の人生めちゃめちゃにしてくる」
オルーレは地上へと降りて行った。
今日は占い1位か。
サトシは、リビングで母親の作った朝食を食べながら、テレビ番組の『今日の占い特集』を見ていた。
1位はちょっと嬉しかった。
あまり期待はしてないが、いいことがあるかもしれない。
「続いてのニュースです。ドローンの有人飛行のテストが開始されます。場所はー」
サトシは、適当にニュースを流し見して、朝食、歯磨き、トイレを済ませて、制服に着替え、家を出た。
学校へと向かう途中で、ポツリポツリと雨が降り始める。
こういう事態に備えて、常に鞄の中に傘を入れてある。
ーが、傘は入ってなかった。
あれ? 昨日、寝る前に確認した時は入ってたのに。
家に戻る時間はなさそうだし、小雨ならいいか。
と、思っていたら、雨が本降りとなってきた。
ずぶ濡れは嫌だったから、学校へと急いで向かった。
学校までは家から徒歩で20分程度。
風が強く吹き始め、雨は大雨となる。
そして、まるで台風のように変化していく!!
今日は占い1位じゃないのかよ!?
サトシは、ずぶ濡れになりがらとにかく走る。
前方に同じく急いで走っている、セーラー服の女の背中が見えた。
サトシが好意を抱いてる前川弘美である。
弘美は、眼鏡をかけて三つ編みの地味な印象。
だが、秀才で学年順位も上位に入り、東大を受験する予定である。
サトシは弘美に追いつく。
そのまま声をかけずに弘美を追い越して、学校の正門へと入ろうとする。
その時だった!!
ズドォォォンという大きな音がして、地面が割れ、学校全体が崩れ落ちた!!
「は? おいっ!! 嘘だろ」
サトシがびっくりすると同時に、大地震のような揺れが起きる!!
街の建物が崩壊、電信柱が倒れる。
周囲で通行人の悲鳴が聞こえ、建物の下敷きとなる。
揺れは一時的なもので、3分程度で収まったが、とても長く感じられた。
サトシは、周囲を見渡す。
弘美が電信柱の下敷きとなって、倒れ込んでいた。
サトシは、弘美の元へと行こうとする。
「もう、死んでるわよ」
後ろから、女の声が聞こえて、サトシは振り返った。
30代ぐらいの女。
身長は160センチぐらい。
黒髪のロングに少しウェーブがかかったヘアスタイル。
黒色のロングシャツ。
その上に赤色のジャケットを羽織っている。
胸はDカップ。
下は黒のショートスカート。
「ちょっと、やりすぎちゃった」
女は言った。
「やりすぎ? 何がです?」
サトシは、全身ずぶ濡れの汚れた格好で 鼻水を垂らしている。
「ここじゃ、危ないから場所を変えましょ。来て」
女は、サトシを手招きする。
街は台風と大地震のせいで、どこも壊滅的被害にあっていた。
一時的とはいえ、この惨状に目を疑う。
女に導かれるまま、教会へと着いた。
教会は全然被害にあっておらず、傷が1つもない元の状態のままだった。
「なんで無事なんだ? ありえない」
サトシは不思議そうに首をかしげる。
「『結界』を張ってあるからね」
女は答える。
「『結界』? なんだよ、それ」
サトシは聞く。
女は、サトシの質問を無視して、祭壇の前に立ち、
「座って」
と、教会の椅子を指差す。
サトシは椅子に座る。
「私は天使オルーレ。あなたの人生を劇的におもしろくするために、地上へと降りてきた。今は人間の姿に化けているけど、元の姿は天使なの」
女は自己紹介した。
「は? 天使? いや、何言ってるんだ?」
サトシは苦笑する。
「元の姿に戻りたいけど、オルデン様の許可が必要なの。勝手に元の姿に戻ると、『天空界』から追放されるわ」
オルーレは、もどかしい感じで言った。
「おでん様?」
サトシは、からかうように聞く。
オルーレは、ムッとした表情になって、
「おでんじゃなくて、オ・ル・デ・ン。天空の神様よ。私達にとっては憧れの存在」
と、言った。
「それで、俺の人生を劇的におもしろくするって言ってたけど、どういうこと?」
サトシは聞く。
「言葉どおりの意味よ。あなたの人生を劇的におもしろくする。そのために地上へと降りてきたの」
オルーレは答えた。
「なんで俺なんだ?」
サトシは聞く。
「あなたの人生が、見ていてすっごくつまんないから。他の人間よりも」
オルーレは、つまんなさそうに答えた。
「大きなお世話だ。劇的におもしろくするって何をするんだ?」
サトシはイラッとした様子で聞く。
「とりあえず、傘を取り除いて、台風でずぶ濡れになってもらって、地震を起こして、学校を壊してみたんだけど、ちょっとやりすぎちゃったかな。でも、これで少しはおもしろくなったと思うな、うん」
オルーレは腕を組みながら答えた。




