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第四話:初めての夜

蛇足かなぁ。。。とは思いつつ書いてみました

しっとりかけたかな?しっとり。。。?

抵抗する間もなく、僕はベッドの上に引き倒された。

背中に、想像していたよりもずっと柔らかいシーツの感触。

目の前には、いたずらっぽく笑う、アオイ先輩の顔があった。

甘いアルコールの香りと、ふわりと漂うシャンプーの匂いが混じり合って、僕の思考を鈍らせていく。


「せ、先輩……!?な、何するんですか……!」

自分でも情けないと思うほど、声が裏返ってしまった。

僕の上に乗ったまま、先輩は僕の顔をじっと見つめている。

その体は見た目以上にしっかりとしていて、身動き一つ取れない。

酔っているはずなのに、その瞳は妙に澄んでいて、僕の心の奥まで見透かしているようだった。


「何って……言ったでしょ?家まで来たってことは、いいってことだって」

先輩の指が、僕の頬をそっと撫でる。

熱を持ったその指先の感触に、僕の身体がびくりと震えた。

心臓が、耳元で鳴っているかのようにうるさい。

「だ、だって、先輩、酔ってるじゃないですか……!こんなの、おかしいですよ!」

「酔ってるよ。……でも、シラフじゃこんなこと、できないし」

先輩はそう言って、ふっと寂しそうに笑った。

その表情に、僕は思わず息を呑む。

いつも快活で、自信に満ち溢れていて、誰からも頼りにされている先輩。

その人が見せた、初めての弱い部分だったのかもしれない。


「……ハルキは、嫌?」


潤んだ瞳で、まっすぐに見つめられる。

その問いかけは、僕の胸に鋭く突き刺さった。

嫌か、と聞かれれば、それは……分からない。

怖い。でも、それだけじゃない。

目の前にいるのは、僕が少しだけ憧れていた、格好いい先輩だ。

その人が、今、僕を求めている。

その事実に、僕の心は混乱していた。


……そんな顔で聞かれたら、断れるわけがない。

押しに弱い僕の性格を、この人は見抜いているんだろうか。

それとも、これも全部、酔いのせいなのだろうか。


僕が何も言えずにいると、先輩はそれを肯定と受け取ったらしい。

ゆっくりと、その顔が近づいてくる。

もう逃げられない。

僕は観念して、ぎゅっと目を閉じた。

唇に、柔らかくて熱いものが、そっと触れる。

それが先輩の唇だと理解するのに、数秒かかった。


初めてのキスは、ビールの味がした。

少しだけ苦くて、でも、それ以上に甘い。

不器用で、ぎこちなくて、どうすればいいか分からない。

ただ固まる僕に、先輩は「……力、抜いて」と吐息混じりに囁いた。

そんなこと言われても、できるわけがない。

でも、先輩はそんな僕をリードするように、優しく角度を変え、ゆっくりと僕の唇を啄んでくる。


だんだんと、身体の力が抜けていくのが分かった。

頭がぼーっとして、何も考えられない。

怖いとか、おかしいとか、そういう思考が遠ざかっていく。

ただ、目の前の先輩の熱を、その柔らかさを、全身で感じていた。


長い、長いキス。

唇が離れる頃には、僕はすっかり呼吸が上がっていた。

はぁ、はぁ、と浅い呼吸を繰り返す僕を見て、先輩は満足そうに目を細める。

そして、子どものように無邪気に、にこりと笑った。


「……ハルキ、可愛い」


その一言で、僕の思考は完全に停止した。

可愛い……?僕が?

その言葉の意味を理解する前に、先輩の手が、僕の着ているTシャツの裾にかかる。

するりと、Tシャツが捲り上げられ、夜の冷たい空気が素肌に触れた。

びくりと震える僕の身体を、先輩は愛おしそうに見つめている。


「……大丈夫。優しくするから」


それは、僕が今まで物語の中でしか聞いたことのない台詞だった。

そして、それを言うのが女性の方だなんて。

この世界は、やっぱりどこかおかしいのかもしれない。

でも、もうどうでもよかった。

僕の初めては、こうして突然奪われることになったのだ。

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