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第三十八話:服従の証

その言葉は僕の完全な勝利宣言のように聞こえた。

僕は目の前の完全に壊れてしまった小悪魔の甘い降伏を静かに受け入れることにした。

この勝利を彼女の身体と心に深く刻みつけてやらなければならない。


僕は何も言わずにその震える背中を優しく撫でた。

そして彼女の耳元で静かに囁く。

「……よく我慢できましたね、先輩。そんな素直でいい子になった先輩に、僕からプレゼントがあります」

「ぷ、プレゼント……?」

ほむら先輩は戸惑ったように僕の顔を見上げた。その瞳はまだ潤んでいる。僕の意図を測りかねているようだった。

僕は彼女を腕に抱いたままゆっくりと立ち上がる。

そしてスタッフルームのソファへと彼女を優しく導いた。


「ハル……?」

「ここで待っててください。すぐに戻りますから」

僕はそれだけ言うと彼女をソファに座らせた。彼女はまるで置き去りにされた子猫のように不安そうに僕の背中を見つめている。

僕はスタッフルームの隅に置いていた自分のバッグへと向かった。中から小さなベルベット調の四角い箱を取り出す。

これはナツと作戦を立てた後、今日のこの時のために僕が用意したものだ。


ゆっくりと彼女の前に戻る。

そしてその前に跪くと、まるで宝石箱でも開けるかのように箱の蓋を厳かに開けてみせた。

ほむら先輩は息を呑んだ。

中に入っていたのはアクセサリーなんかじゃない。

シンプルな艶のある黒い革の首輪だった。

銀色の小さなベルが一つだけ、月明かりを反射して鈍く光っている。


「……なに、これ」

先輩の声が震えていた。

恐怖か、それとも別の感情か。

「先輩のために用意しました。今日のプレゼントです」

僕の声は自分でも驚くほど落ち着いていた。

「……あたしに、これを、つけろって言うの……?」

「はい」

僕は有無を言わせない視線で彼女をまっすぐに見つめる。

先輩の瞳にほんの少しだけ最後の抵抗の色が浮かんだ。プライドの高い彼女がそう簡単に屈するはずはない。

でもそれもほんの一瞬のことだった。僕に見つめられると彼女の視線はすぐに揺らぎ始める。諦めと、そしてどこか期待の入り混じった熱い色へと変わっていく。

彼女は何も言わずにこくりと小さく頷いた。


僕はゆっくりとその白い首に首輪を回す。

ひんやりとした革の感触に先輩の身体がびくりと震えた。

僕は彼女の華奢な首のラインを確かめるように指先で革の上をそっとなぞる。

カチリ、と。

バックルを留める小さな金属音が静かな部屋にやけに大きく響き渡った。

黒い首輪は彼女の白い肌によく映えていた。それはまるで僕の所有物であるという消えない印のようだった。


「……よく似合ってますよ」

僕はその首輪についた小さなベルを指でちりん、と鳴らした。

可憐な音が響くたびに先輩の身体が再び大きく震える。

彼女は自分の首につけられたそれを信じられないものを見るようにおそるおそる指で触れていた。


僕は彼女の顎に手を添えくいと上を向かせた。

その瞳はもう完全に僕に支配されていた。

抵抗の色はどこにもない。ただ僕という主人を待つ従順な光だけが宿っていた。


「……僕の言うこと、聞けますよね?」


その問いかけに彼女は答える。

荒い息遣いの中、興奮を隠しきれないか細い声で。

「……はい」

その返事は完全な服従を意味していた。


僕は彼女の唇にそっと自分の唇を重ねた。

それはこれから始まる長い長い調教の始まりの合図だった。

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