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15/19

15 再起動

夜が白み始めたころ…すすり泣き?が聞こえたような気がして目が覚めた。

美玖はぐっすりと寝入ってる…こうなると携帯がなろうが地震が来ようが起きない.

一度無理やりおこして痛い目にあったしw



ベッドから抜け出して部屋を出ると、ひんやりとした夜明けの澄んだ空気がほてった身体に心地いいねぇ

回廊をゆっくりと歩いて中庭の見渡せる所へ来たら…大きな池の縁に小さな背中がうずくまってる…



たき…夜叉……か?



俺は気づかれないように回廊から庭に降りた。


「タク?」


しっかりばれてるし。


「ああ、早起きだな」

「馬鹿…寝られなかったんよ」

「ありゃ」


彼女の肩が小さく震えてる?


「泣いてるのか?」

「んなことないっ!」

「ふむ…」


もう一歩近づこうとすると、鋭い声が飛んできた。


「来るなっ!」

「瀧夜叉…」

「ほっといてくれよ」



確かにそうだな…



俺は回れ右して回廊に戻ろうとした。



どんっ!



わっ!



瀧夜叉が俺の背中に抱きついて…盛大に声を殺して泣いた……



朝露と…瀧夜叉の涙が俺の背中をしっとりと濡らした。



俺は身体を入れ替えて彼女の頭を抱え艶のある黒髪を撫で、瀧夜叉は俺の胸に顔を押し付けて泣いていた。


「っく…ひっく…」


ようやく感情がおさまってきた瀧夜叉は真っ赤に腫れた目で俺を見上げた。


「タク、そんな優しい目で見るな」

「ごめん…」

「謝るところじゃ…ないし」

「うん」

「なぁタク?」

「なんだ?」

「わたいたち…勝てる…かな……?」

「勝つ」

「また、根拠のない自信」

「んにゃ、あるさ」

「セイメイ師は当代一番の呪術の使い手だよ?」

「それでもさ」

「どんな?」

「俺がいる」

「はぁ?」

「瀧夜叉、お前がいる」


俺は視線を朝焼けの空に移した。


「桜太夫もユミンも彩姫もアーネもいる」


瀧夜叉は「ばか」と俺の胸を叩いた。


「ん…そだね。ミクも…死んだハルニーナだってきっと一緒に戦ってくれるよな?」

「ああ」



セイメイ老師にどんな野望があって、とんでもなく強くたって、もの凄い呪術を使えたって…

俺たちが力をあわせれば必ず倒せる!

俺はそう信じてる。

根拠なんかなくたって俺たちが信じあっていれば、あのじじぃだけでなく、どんな強敵だってやっつけられる!



「タク…」

「ん?」

「キス…してくれないか?」

「はぁ?」

「一度でいいから…」

「そりゃ無理な相談だ」

「即答なんだ…ちょっとは迷うか、考えろよ」


苦笑いする俺に瀧夜叉の顔がぶつかり唇が衝突して、「あっ」と言う間に風のように俺を飛び越していった。


「っ!おいっ!」


ぺろっと舌を出して寂しそうな笑みを見せて…瀧夜叉の奴、回廊を走っていっちまった…



まったく…



鼻の頭をぽりぽりして俺は座り込んだ。




夜が明けきって小鳥がさえずりだしている。


「?」



子猫か?



俺は再び回廊を歩き出す。

鳴き声?はここから…って、ここはユミンの部屋じゃねぇか……

扉がちょっとだけ開いてる…う~~~ん



と迷うことなく隙間から中を覗いてみた。



わっ!



こりゃ、ばれないうちに退散だ…



そっと扉から離れても目の先にユミンの姿が離れない。



はぁあああ…すげぇもん見ちゃったよ…



中庭の敷石伝いに築山へ…ちっとのぼせた頭、冷さねぇとなぁ

築山っても、ちょっとした丘くらいの大きさで、茶室みたいな小さな離れがあるんだけど…っと、あったあった



「!」



なんだぁ…?

ギシギシって、妙な音するな……って



明らか喘ぎ声かよっ!

離れの裏に回ってっと……



………



俺はいつから覗き魔になったんだ?

そっと吐き出し口をほそ~~く開けて……



うっ!



天井から赤い縄って…で、縛られてるのあの背格好…アーネじゃん!



うわぁあ、なんだよ……この図は………



流し目の桜太夫と目が合った…って、にやっと笑うなぁ



べろっとアーネの頬を太夫が舐める……


って、おい、太夫?なんだ?手招き?合図?

俺が離れの入り口前に戻ると、すぅっと引き戸が開いて……


太夫の上目遣いがこの上なく色っぽい



ん?ちょっと待て?



なんかおかしいぞ?



この感じ……



「またかいっ!」


俺の気合で周囲の光景が弾けた!


「やられたっっ」


囚われの身に再びされている俺たちは、巨大なホタルブクロのような濃い紫の花の中にいた。






【続】

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