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ごんぎつね その後のショートショート

作者: クヌーン

ごんぎつねの二次創作SSです。兵中のその後を思いつきのノリで書いて、ちょっと修正したやつです。

新美 南吉先生のごんぎつねを読んだことない人も読んだことある人も

読んでから、このSSを読む事をおすすめします。




ごんを撃った日から幾ばくの時が経ちました。


兵中はいよいよひとりぼっちになった気がして、大層やつれてしまいました。


弥助など身近な友人は居ます、ですがごんを撃った事実が兵中を追い詰めるのです。




そんなある日のこと、兵中の家の物置にくりが置いてありました。


兵中はそれを見つけ、それはそれは驚きました。


何しろ、今までくりを置いていたごんは兵中が確かにその手で撃ち、そのまま家の庭に埋め、墓石代わりの石まで乗せたのです。




しかしこんな事をするのはごん以外考えられません。


たちの悪いいたずらだとしても、ごんのことを知っているのならこれはあまりにも酷いいたずらですし、知らないならいたずらにならないからです。


そもそも家にいつの間にかくりが置いてあるなど、弥助くらいにしか言っていませんでした。




兵中は、誰がくりを置いているのか確かめるためにその晩、物置の入口が見える位置に隠れて見張る事にしました。



夜風はとても冷たく兵中の体をどんどん冷やし、色々な事を兵中に考えさせます。


ごんを撃ったあの時、一声くらいかければ何か変わっていたのではないか、ごんを撃たずに済んだのではないか、寝そうになり船を漕ぐ自分の頭を左右にふるって、眠気と余計な考えを飛ばします。









どれくらいそうしていたでしょう、空が少し明るんできた頃に、小さな、兵中の手で包めそうなほど小さな鳥が、くりをひとつ運んできました。


とても小さな鳥なので戸を開けることはできませんが、隙間から入りこんできているようです。


しかも1回だけではありません。

ひとつ、またひとつとくりを運んできます。


その小さな体よりさらに小さいくちばしで、ひとつずつ丁寧に何度も何度も繰り返し運んでくるのです。








やっと運び終わったようで、くりの積まれた小さな山ができる頃にはすっかり空が明るくなっていました。



兵中は、その小さな鳥の前に姿を見せるという事はとうとうありませんでした。


もしかしたら、生まれ変わったごんなのかもしれません、しかしそのごんを撃ったのは兵中なのです。


兵中は、自分よりもうんと小さなその鳥に、姿を見せる勇気はなかったのです。


ただただ、飛んで行く小さな鳥を、兵中はぼうっと眺める事しかできませんでした。





おわり


本当はごんが転生してハッピーエンド!みたいなのを書こうと思ってたはずなんですけど、兵中の心境を自分なりに考えた結果、あっさり出会って即仲良し!みたいな事にはならないだろうなぁ、と思いこんなメリバ風味の締め方になりました。

恐らくごんが生まれ変わった小鳥はこれからも山の幸を兵中の物置に運び続けるでしょうし、そのうち兵中も声をかけたりするかもしれません。割と投げっぱなしの終わりですがハピエンにも、もしかしたらさらなるバドエンにも化けるのかも知れませんね……

そんなこんなでこんな拙い文を読んでいただきありがとうございました。何かしら自分の物語も書けたらなぁと思うので、機会があったらまたよろしくお願いします。

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