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奢るからパシられてくれる?奢らなくてもパシるけど


 いまだ煌々と明かりのともる夜の街の中、律日は緩やかに車を滑らせる。

 始めの頃は車内に標識をカンペとして貼って「ダサい」と文句を言われ、急ブレーキをしては、「下手くそ」と罵られていた律日だが、助手席の眠れる虎は我が子を崖から容赦なく落とすタイプだったため、いまでは大型バスも動かせるほどの腕前になっていた。

「このままファミレス行って」

「ファミレス…。ちなみに何を食べたい気分なんですか?」

 助手席に沈んでいるかずさは窓の外を流れる景色を見ながら自分の腹の空きを確認し、直感で答える。

「牡蠣」

「牡蠣…?」

「ピザ」

「牡蠣とピザ…?」

「シーザーサラダ」

「うーん、サイゼリヤでいいですか?」

「いいよ」

 車を走らせ、お手頃イタリアンの食べられるファミレスに入る。

 いらっしゃいませ、と微笑む店員に「二名で」とにこやかに指を立てる彼女が、同じ指で敵にくたばれとハンドサインを出していたなんて、店員は露ほども思わないのだろうな、と律日は考える。

 メニューを見ながら「牡蠣無いじゃん」と口をとがらせる彼女に「ムール貝で勘弁してください」と答えながら注文票に番号を書く。

 無事に注文を終え、ドリンクバーをちびちびと飲んでいると、スマホを確認していたかずさが声を上げた。

「げっ、着信履歴がある。休日だつってんのに連絡よこしてくる職場とか意味が分からないな。辞めて良い?」

「辞めて大丈夫なら辞めたらいいと思いますよ。…かけなおしますか?」

「いい、どうせ昨日の話だ。給料以上に働くのも時間外労働も馬鹿のすることだ。私はムール貝とピザとシーザーサラダを味わう価値を、素早いレスポンスというビジネスマンにおける美徳より高いと思っている。なので無視。…律日、コーラなくなったから取ってきて」

「はぁい」




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