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デスゲームをクリアした俺。終わった世界で始まったのは、美少女(嫁)とのラブコメでした 

掲載日:2021/03/14

デスゲームに関連させたラブコメ書きたくなったので書きました

気軽な気持ちでどうぞ(o^―^o)ニコ


「すべてが終わったら、話したいことがあるんだ」


「聡くん……。実は、私も……」


 顔を真っ赤にしてそう言う遥香はるか

 銀髪の長い髪がふわりと揺れ、この上なく愛おしいと思った。


「そうか。じゃあ、絶対に勝とうな」


「はいっ!」


 俺たちはいつも通り拳と拳を合わせ、敵と相対する。

 

 大丈夫、心配はない。

 俺と遥香なら、きっと幸せな未来に辿り着けるから。


「いくぞッ‼ うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」


 地面を蹴る。

 そして俺は、力強く引き金を引いた――





   ***





「……終わった、のか」


「そう、ですね」


 すっかり握り慣れてしまったライフルを投げ捨て、天を仰ぐ。

 

 ある日突然始まったデスゲーム。

 それが今ようやく、終わったのだ。


「たくさん、死んだな」


「瑠美も貴子も麻実も。よくしてくれた反乱軍総長の鮫島さんも。みんなみんな、私たちのために……」


 隣でガクリと肩を落とし、地面にぽたぽたと涙を落とす遥香。

 俺と共に最後まで戦ってくれた遥香は、傷を負って汚れてもなお、荒廃した世界の中で輝いていた。


「うっ……うぐっ」


 彼女の傍によって、そっと頭を撫でる。


「もう、終わったんだ。だから、我慢しなくていいよ」


「うぐっ、聡ぐんッ!」


「今だけは、泣いたっていいんだ」


「……うぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 彼女は泣いた。


 すべてに終わりを告げるように。


「ほんとにやっと、終わったんだな……」


 俺は確かにすべての終わりを実感して、涙を流した。

 デスゲームは、終わったのだ――





   ***





「それで、これからどうしますか?」


 目を赤く腫らした俺たちは、拠点に戻ってこれからのことを話していた。

 というのも、もう周りには俺たちしかいない。


 あんなにもいた人類は、絶滅してしまったのだ。


「そうだな……ひとまず、生きよう。死んでしまった人たちの分まで」


「そうですね。どんなに世界が終わっても、私たちだけになっても。生き残った私たちには、生きる義務がありますから」


「だな」


 遥香が力強くそう言う。

 出会ったころに敵に怯えて失禁していた奴とは思えないほどに、表情は心強かった。


「そ、それで……だな」


「は、はいっ!」


「戦いが始まる前に、話していたことなんだが……」


「あ、あわわわわわわわ……」


 プシューと顔から水蒸気を出す遥香。

 いや漫画か! とツッコむ余裕は俺にはなく。


 俺も同じく顔から火を噴きながらも、男として立ち上がる。

 そして遥香に手を伸ばし、はにかんで言った。




「遥香! 俺と結婚してくれ!」


 


「っ……‼」


 驚いたように口を開いて、でもすぐに目を細めて、



「はいっ!」



 ――かくして、俺と遥香は結婚した。





   ***





  ってなわけで見事に死亡フラグをへし折って結婚した俺たち。

 実は17歳なのだが、もはや法律など関係ない。


 だってもうこの世界は、俺と遥香しかいないのだから。


 ……だけど、そこが問題なのである。


「……とりあえず、これからどうする?」


「の、ノープランだったんですか⁈」


「だ、だって……結婚することしか考えてなかったし」


「さ、聡くん……」


 なんだその愛おしい表情は。

 今すぐにでも抱きしめたくなるだろうが!


 ってか、俺たち結婚したんだし抱きしめてもいいのか!

 ――では。


「ひゃっ! さ、聡くん⁈」


「……しばらくの間、こうさせてくれ」


 腕の中で、小さな遥香を抱きしめる。

 まるで幸せそのものを抱いているような感覚だった。


「……はい」


 遥香が俺の背中に手を回してくる。

 幸福度指数が二倍に増加。


「聡くん、ちょっと苦しいですよ」


「わ、悪い」


「……いえ、なんだかそっちの方が、守られてる感じがあってなんというか……気持ちいいです」


 ……な、なんて破壊力だ。

 デスゲームのラスボスって言われても信じるレベルである。


 ただ、あの忌々しいデスゲームはもう、終わったのだ。


 もう俺たちに、悲しいことなんてない。


「遥香。幸せになろう」


「ふふっ。聡くん、何回言うんですか?」


「何度だって言うよ。だってその方が、幸せになれる気がするから」


 出来の悪い頭にそう刷り込んでおけば、きっと無意識のうちに幸せになれる。

 バカなりの工夫だ。


「……私は、もう幸せですよ?」


 そんなことを、世界一愛してる遥香に言われたら俺は……。


「俺は、幸せじゃないな」


「えぇ⁈」


「幸せじゃなくて……超幸せだ」


「……なんですか、聡くんの……ばか」


 その顔が見たくていじわるしてしまった。

 許しておくれアーメン。


 男とは、愛する女に対する欲望には逆らえないのだ。

 罪深い生き物だこと……。



 その後、満足するまで抱き合った。

 幸せが、飽和するくらいに。





   ***





「で、俺たちのこれからについて、二つの選択肢があると思う」


「二つの選択肢?」


「あぁそうだ」


 ほんとさっき思いついたのだが。


「まず一つ目。このまま二人で仲良く暮らして、生涯を終える」


「なるほど……世界に私と聡くんだけ。ふふっ、笑みが零れてしまいます」


 っ……!


 なんで俺の嫁はこんなに可愛いんですかね?

 さっきあんだけ抱きしめたのに、また抱きしめたくなったよ。

 恐ろしいね、これが鬼嫁ってやつかな。


 ……うん、違うか。


「そしてもう一つは――未来を作ること」


「未来?」


「そう、未来だ」


 今、この世界に未来はない。

 荒廃した町。誰一人いない世界。


 ――だが、俺たち二人がいる。


 夫婦であり、男女である俺たちが。


「つまり、子作りをするってことだ」


「こ、子作り⁈」


 正直、言うのはすごく恥ずかしかった。

 結婚したとは言え、まだキスだってしていない。


 それに付き合うという段階を踏んでいないから、出来立てほやほやなのである。

 すべてのステップを飛び越えて急に子作り。


「別に性欲駄々洩れで言ってるわけじゃないぞ? もちろん段階は踏んでいくべきだと思うし、遥香と話し合っていくつもりだ」


「…………はぅ」


 さすがに性に関することは彼女には刺激が強すぎるようだ。

 まぁ無理もない。


 何せ一度俺の裸を見た時、顔を真っ赤にして叫ぶぐらいだったからな。


 そこが遥香の可愛いところなんだけど。


「ほんとに、無理強いはしない。あくまでも遥香の意見を尊重する」


「……こ、心の準備がまだ」


「そ、そうだよな。時期尚早だった。悪い」


「い、いや別に聡くんは悪くないんです! ただ、もう少し時間が欲しいだけで……」


 思えば、少し前にデスゲームが終わったばかりだというのに早まりすぎていた。

 おそらくすべてが終わった安心感と、遥香と結婚したことからくるリトル聡の起床のせいだろう。


 全く……性欲に支配されるんじゃないぞ俺。

 洗脳にも耐えたのだから、これくらい余裕だろう。


「そうだな。じゃあこれから、ゆっくり話していこう」


「はい! よろしくお願いしますね……旦那様?」


「…………」


 我慢デキナイヨウ……。


 俺はまた遥香を抱きしめた。


「もう、聡くんったら……」


 可愛すぎたので、その後はずっとイチャイチャしました。

 嫁最高。





   ***





  突然ですが、一軒家を購入しました。


 ……と言っても、この世界に不動産屋はないし、何なら俺たち以外人はいないから無料なんだけどね。

 ほんと、平和です。


「ふぅ、ひとまず、綺麗になりましたね」


「だな」


 汗を拭って、二人で窓の外を眺める。


 視界いっぱいに広がる、青い海。

 ナイスオーシャンビュー。


「『すべてが終わったら海に住みたい』って言ってたけど、こりゃいいな」


「でしょう? きっと聡くんに気に入ってもらえると思ったんですよ」


 満足げに胸を張る遥香。

 わざわざ車で移動してきた甲斐があった。

 

「ここで、私たち二人で暮らすんですね」


「あぁ」


 なんだか感慨深い。

 

 つい最近まで死がすぐ隣にある生活を送っていたのだ。

 それが急に終わって、訪れたのは昔よりも平穏な日々。


「……大丈夫か?」


「大丈夫ですよ。寂しくなんてありません。だって――聡くんがいるんですから」


「……ははっ、そうか」


「はい!」


 寂しがり屋の遥香。


 人が一人いなくなるごとに涙を流して、夜な夜な俺の手を弱く握ってきたのを思い出す。

 その時俺は、確かに思ったんだ。

 

 遥香を幸せな未来に送り届けよう、って。


「もう絶対、一人にしないよ」


「私も、一人にしてあげませんよ?」


「俺こそ、一人にしてやるもんか。お風呂だって、何ならトイレでも……」


「と、トイレはさすがに……」


「……すみません」


 ちょっと調子に乗った。

 ……いや、だいぶ乗った。


「もぅ。聡くんは寂しがり屋ですね」


「お互い様だよ」


「ふふっ。じゃあ二階も掃除しますか」


「だな」


 重い腰を持ち上げて二階に上がる。


 押しては返す波の音が、この上なく心地よかった。





   ***





 ――その日、人類は思い出した。


 部屋を掃除しているときに、現れる『奴』の姿を。


「お前……生きていたのか」


 終わった世界でもなお、生きているとは。

 ほとんどの人類が消えてもなお、お前は息をするんだな……。


 まさかコイツに出会って、涙ぐむとはな……。



「久しぶりだな――G」


 

 G、つまりはゴキブリ。

 数えきれないほどの人間を恐怖に陥れた、火星にだって住めちゃう強靭な生命体である。


 俺もコイツは苦手だ。

 ……だが、今は危険を共に乗り越えた戦友のように感じる。


「見ろ遥香。コイツ生きてやがったぞ」


「どうしたんですか聡くん――って、ゴキブリ⁈」


「すごいなこの生命力。感心したようんうん……って、遥香どうした?」


 気づけば遥香は俺の横から移動して、俺の背後に回っていた。

 肩はぷるぷると震えていて、目には薄っすら涙が滲んでいる。


「わ、私虫ダメなんですよ!」


「あぁー確かにそうだったな」


 そういえばジャングルに転移されたとき、虫が怖くて俺の背中に張り付いてたっけ。

 懐かしいな。


「ど、どうにかしてください聡くん!」


 ……嫁に頼まれちゃしょうがない。


 ほんとなら生き残った者同士、言葉が通じないとは言え称え合おうと思っていたのだが……致し方ない。


 俺の優先度の頂点は嫁で決まっている。

 俗に言う、嫁コンである。


「遥香、下がってろ。俺がやる」


「お、お願いします……!」


「あぁ」


 俺は忍び足で奴に近寄る。

 その場にあった雑誌を丸めて、握りしめる。


 ――すまん、G!


 俺は一撃で仕留められるように、目いっぱい力を込めて雑誌を振り下ろした。


 見事に命中。

 どうやら一発で逝ってくれたらしい。


 ……よかった。苦しまずにすんだんだな。


「ありがとうございます、聡くん。……聡くん?」


「…………」


「なんで、泣いてるんですか?」


「……う、うるせぇ泣いてねえーし!」


「……そうですか」


 遥香はそう言いながら、俺の頭を優しく撫でてくれた。



 さよなら、G。


 またいつか会おう。





   ***





 ふと思い出す、あの頃のこと。


『ヤバい今すぐ逃げろ! よくわかんねぇけど死ぬぞ!』


 教室中に怒号が飛び交う中、背後で何人ものクラスメイト達が死んだ。 

 俺には親しい奴が一人もいなかったけど、知っている奴が惨殺されていくのを見ると吐き気がした。


 俺も逃げようと教室から出ようとしたとき。


『痛い……』


 廊下で足を抑える遥香の姿があった。

 遥香は俺と違って、クラスで人気者。

 だがこの緊急事態において、遥香は誰からも見向きされていなかった。


『だ、誰か……!』


 ――なぜだろうか。

 

 この時俺は、無意識のうちに遥香の手を取っていた。




「懐かしいな」


「ですね。ほんと、あの時は死んじゃうんだと思ってました」


 今でさえ笑って話せるが、あの時の遥香はだいぶふさぎ込んでいたように思える。

 

「でも聡くんが助けてくれたから、私は今こうして聡くんの隣で寝られるんです」


「遥香……」


「私、幸せです」


 遥香が俺の胸に顔を埋めてくる。

 俺はそっと抱きしめた。


「……不安か?」


「……少し」


「俺もだ」


「聡くんも?」


「あぁ」


 そりゃそうだ。

 だってこの世界には、俺と遥香しかいないんだから。


 この先生きていけるのか。

 遥香を幸せにできるのか。


 何が起こるか分からない。

 平和が訪れるのか分からない。


 分からないことだらけなのだ。


「不安だから、遥香のことを抱きしめたくなるんだ」


「聡くんったら……寂しがり屋ですね」


「お互い様だろ?」


「ウィンウィンです」


「最高だな」


 ふふっと笑って、また強く遥香の体を引き寄せる。

 ビクンッ、と反応する遥香の体。


「さ、聡くん?」


「大丈夫だよ。襲ったりしないから」


「……は、はい」


 耳が真っ赤だ。

 全く、可愛い奴め。


「俺たちなら大丈夫だ。大丈夫だ」


「はい……大丈夫です」


「もう怖い夜はないよ」


「はい! 聡くんがいますから」


「俺も、遥香がいるから大丈夫だ」


「ふふっ、やっぱりウィンウィンです」


「超最高だな」


 ――気づけばそんな会話は終わっていて。


 遥香の穏やかな寝息が聞こえてきたところで、俺も目を瞑る。


 でも少し何かしたくなって。

 遥香の頬にこっそり口づけをし、眠りに落ちた。





   ***





 朝がやってきた。

 最高に可愛い嫁が、缶料理を提供。


 これは……ミシュ〇ン五つ星だな。


「じゃ、いただきます」


「召し上がれ~」


 海を見ながらの朝ごはん。

 こんな穏やかな生活は、夢のようだ。


 そして目の前にエプロン姿の嫁。

 

 ……抱きしめたいが、堪えろ俺!


「そういえば缶が少なくなってきました」


「マジか。じゃあまた取りに行かないとな」


「ですね。あと栽培も、していかないとです」


「だな。まぁ一つ一つやっていこう」


「はい!」




 デスゲームをクリアした俺。


 終わった世界で始まったのは、美少女(嫁)とのラブコメ。

 不安だって、まだまだある。


 俺たちに未来があるのか。

 遥香を幸せにできるのか。


 毎晩明日が来るのかと不安になって。

 でもそれを感じているのはお互い様で。

 俺たちは抱き合って、終わった世界を生きていく。



 幸せに、生きていく。




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― 新着の感想 ―
[一言] この短編は連載を考えてるんですか? 連載して欲しいです!
[一言] SAO見たいなフルダイブ系のゲームで二人以外は死んだけどクリアしたなのか、現実世界でデスゲームと称した戦争で絶滅したのか。どっちなんだろ フルダイブ系のなら何で現実に戻らないんだろ、とかの疑…
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