プロローグ
東野唯が、背伸びして、共学の名門私立校・明星学園高等部に入学したのは、一ヶ月前だった。
だが、上流階級の子女に馴染めず、一人ぼっちで昼食を食べる毎日に、唯は苦痛を感じ始めていた。
鍵のかかっていない屋上に逃げ込むと、涙がこぼれてきた。
するともう、耐えられず嗚咽が漏れる。
しゃがみこんで、泣き崩れる唯の耳に、足音が聞こえてきて、クラスの隣の席の明智友哉が、唯の様子に眉を寄せた。
「東野さんだったよね。どこか具合でも悪いの?それとも誰かにいじめられた?」
明星学園一のエリート王子様・明智財閥の御曹司、明智友哉にそう問われ、唯はふるふると首を横に振る。
「ああ、ぼっちが辛かった?内部進学が多い明星学園では、人間関係が固定化してるから、他所から入った人にはきついよね。」
同情するように言われ、唯は嗚咽を漏らす。
「う~ん、可愛い女の子に泣かれると困るんだよね。東野唯、俺の玩具になるなら、助けてやるよ。このまま三年間ぼっちでいるか、玩具になるか決めさせてやる。」
え?玩具?唯は呆然として泣き止んだ。
しばしの沈黙の末、唯は言った。
「一人ぼっちは嫌。」
「なら『明智くんの玩具にして下さい。』って可愛くおねだりしてみろよ。」
「え……なんかエッチっぽい。」
素に返った唯の言葉に明智は苦笑する。
「それ、俺に抱かれたいっていうおねだり?」
からかう明智に唯は首を振る。
「違う!絶対違うからね!!」
むきになる唯が可愛くて可愛くて、明智はにやにやしてしまう。
「うん、東野唯、俺の玩具決定!!」
明智が一人決めして、唯の運命は決まった。
そして明智に遊ばれる日々が始まった。