思ってもなかった出会い
昨日忙しくて投稿できませんでした、すみません。
今回もちょっと説明多めです……。
魔法使いは、使用する魔法の属性によって原則四種類に分けられる。
火、水、風、土。
これが基本四属性と呼ばれ、魔法使いは自身に合った一つの属性のみしか使うことはできない。
二つ以上の属性を扱う研究もされてはいるようだが、あまり上手くいっていないらしい。
また、火球が初級火魔法、焔の竜巻が上級火魔法といったように、同じ属性でもその難度によって区別されている。
その種類は、初級、中級、上級そして超級だ。
この超級と呼ばれる超高難易度の魔法を使えるのは、各属性において一人ずつしかいない。
超級火魔法を使う、エンドール家元当主ガドナ・エンドール。
超級水魔法を使う、フリージア家現当主スゥ・フリージア。
超級風魔法を使う、ヒュンランス家現当主クレハ・ヒュンランス。
超級土魔法を使う、ガンドラル家元当主ダルア・ガンドラル。
それぞれ、火のエンドール、水のフリージア、風のヒュンランス、土のガンドラルと呼ばれている。
さて、なぜ長々とこんな説明をしたのかというと、ソラの目の前にいる少女が原因だ。
サクヤ・フリージア。
それが彼女の名前だった。
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「……ソラ?」
なんだか聞き覚えのある声が聞こえて後ろを振り返ったソラは、その人物を視界に収めて固まる。
実は、サクヤとソラはエンドール家とフリージア家の仲が良かった事から、小さい頃はよく遊んだ幼馴染みと言っていい間柄だった。
ソラが初級火魔法しか使えないと判明してからは、全然会わなくなってしまったが。
だからサクヤがソラに声をかけたのはおかしなことではない。
問題なのは、
なぜサクヤがカラドーナではなくエリクラルにいるのかということだ。
ソラの様に才能がなく家を追い出されたなら分かるが、サクヤはそうじゃない。
サクヤはクルルと同じ人種、いわゆる天才というやつだからだ。
それは、サクヤがソラと同い年にしてすでに上級の魔法を二つ習得している事からも明らかだろう。
サクヤの父親……スゥ・フリージアは親バカとして有名であり、色々なところでサクヤの凄さを自慢しているため、ソラもその事は知っていた。
だから当然、サクヤはエリクラルよりも設備が充実しているカラドーナに行くとソラは思っていたのに、何故か目の前にいるサクヤに驚き、固まったのだ。
「……なんでここに?」
「ッ!?………それはあんたがッ……何でもないわ」
サクヤはソラに何か言おうとしたが、途中で言葉を切る。
そのせいで何だか気まずい沈黙ができた。
ソラはそれをどうにかしようと言葉を紡ぐ。
「エリクラルに入学するのか?カラドーナじゃなく?」
「ええ、そうよ」
「スゥさんは何も言わなかったのか?」
「凄く怒ってたわ。だから抜け出してきちゃった」
「そっか……え?」
何でもないようにいうサクヤに思わず頷きそうになったソラだが、その内容に思わず驚きの声を漏らす。
「だってSクラスに入れば、学費は無料でしょ?食費ぐらいは私の持っているお金で何とかなるもの。何も問題はないわ」
心なしか胸を張りながらとんでも無いことを言うサクヤに、ソラはおもわず笑ってしまった。
そうだった。
サクヤは昔から、時々とんでも無いことをしでかす子だったな。
「サクヤは──」
「クラスが決まった生徒の方は、体育館に集合してくださーい」
ソラの声を遮るように、学院の職員であろう人の声が響き渡る。
サクヤが、ソラに何を言おうとしたのかと問いかけるが、ソラは何でもないと返した。
「取り敢えず……行くか」
「……そうね」
二人で並んで体育館まで歩く。
ソラは、その事がまるで小さい頃に戻ったかのように懐かしかった。