第23話 戦闘終わりのあれこれー3
いやぁ、しかし、なんというか……。
改めてこの場を見渡してみると――
……絵面がひどい。ランドとドノウ。それからドノウが抱えているストロ君が触手に巻かれている。
さっきまではグレシードも巻いていたし、これじゃあ敵味方問わず、戦うたびに全員揃って触手プレイだ。関節を想像していなかったからこうなったのかな。イメージする箇所が最低限で済む分、こっちの方が扱いやすい気がする。
ただ、如何せん趣味が悪い見た目だよなぁ。
私は黒い霧の霧の触手を動かし、ランドたちを開放する。そして、触手を保つイメージをやめてみると、私の周りの【黒い霧の魔力】《デラウェア》は霧散した。
長時間、同じ体勢で固定されていたランドは、深呼吸をしながら背筋を伸ばす。ドノウとストロ君は依然として気絶中だ。
「ランドさん、お互い、無事に済んでなによりです」
「お互いって……お前は腕を怪我してるじゃねぇか」
「平気ですよこれくらい。それよりも、こうして生き残ったんですから、約束、覚えてますよね?」
「ああ……【第三種】には人の命を尊ぶ奴らがいるってことを、胸に刻んで生きていくぜ」
「いやいや、そんな抽象的なことじゃなくて、そこら中の人に言いふらしてくださいよ」
「それじゃあ俺が変な目で見られるだろうが!」
「それぐらいしないと誘拐未遂の罪は償えないでしょ!」
「分かったよ! ギルドに目を付けられない範囲でなら広めてやる!」
「それがどの程度なのかは分かりませんが、ランドさんにも生活があるでしょうから、ひとまずそこで納得しておきます」
「あ、生活か……そうだった……」
良くはなさそうなナニか何かを思い出し、ランドは頭を抱える。
「……俺たち、そもそも帰ったところで生活できねぇんだった」
「……? どうしてですか?」
「金がねぇ。だからこんな危険な仕事を初めて引き受けたんだ」
「お金ですか……それは難儀ですね」
簡単には解決しようがない、現実的な問題だった。
私としてもなにかお礼ができればと思っていたが、金銭は持ち合わせていないしなぁ。
うーん……。
「……ああ、そうだ。このローブを売ったらどうですか?」
「あぁ? お前の着てるそれをか?」
「そうです。私があげられる品物といえばこれくらいしかないんですけど、せめてものお礼というか、友好の証みたいな?」
私は羽織っていたローブを脱ぎ、ランドに渡す。ランドはそれを軽く物色すると――
「……生地や衣服には詳しくないけどよ、これ、所々破れてるだけのボロ布じゃねぇか? 値段はつかねぇと思うぞ」
そう言った。
「いやいや、JKが羽織ってたローブですよ!? 相当な値がつきますって!」
「ジェーケーってなんだよ」
「女子高生です!」
「ジョシコウセイってなんだ?」
「そこからですか!? この世界って学校はないんですか!? 制服はないんですか!?」
「あるぜ。15になるまで通う施設が。だけど服装は自由だ。制服といえば、ギルドや宿の受け付け嬢か、ギルド全体を運営してる管理会の奴ら……あとは魔導学校とかにしかねえな」
「なるほど! だったらその魔導学校に通っている17の女子はいますか!?」
「そりゃたくさんいるだろうな」
「それが女子高生ですよ!」
「おぉ……そうなのか……」
ランドは一瞬考えたあと、すぐに納得したような表情をした。
ようやくこのローブの神聖さが伝わったか……。
「なるほどな。まあたしかに、魔導学校の制服はそこらじゃ売ってねぇから、貴重といえば貴重かもな。でもこれは魔導学校の制服じゃねえだろ」
「…………」
伝わってない……。
健全な世界だ。それとも、私が穢れすぎているのか。
どちらにせよ、この話はもうおしまいにしよう。




