87
「あははッ! ひき肉にしちまうゾ? だって!」
「いや、そんなセリフ真似しなくていいから」
いつの間にか漫画に夢中になっていた空は当初の目的忘れてないか? でも忘れてるならそれでもいいな、汗かきたくないし。
「今日はのんびりしてるかぁ」
俺がそう言うとようやくハッとして空は漫画をパタンと閉じた。
「そうだった! りっくんの服買うんだった! 」
「忘れるくらいならどうでもよくないか?」
「何言ってんの!? それはついで! 今日はりっくんとデートするんだから」
「ああ、そっちが本命か」
「あたしりっくんママにお金貰ってくる!」
まったく、人の親にそんな事を頼むなんて…… まぁ海と空だから許される事だな。
そして少し待っているとドタドタと階段を駆け上がってきた。
「りっくんりっくん! りっくんママがこれでデートでもして来なさいっていっぱいお金くれたよ! りっくんママわかってる〜!」
空がヒラヒラと2万円を手に持ってやって来た。 俺にはそんなにくれないくせに海と空にはやるんだもんな。
まぁこれで遊んで来いって言われたら遊ぶけどさ。
「りっくんとデート嬉しいなぁ!」
空はもうテンションMaxになっていた。 まぁこんなに喜ばれたら行くしかないよな。
「ええと! どこ行こうかな? いや、何食べようか? ううん、映画も観たいな」
「おい、服忘れてないか?」
「あ、そうでした! じゃあとりあえずりっくんの服買ったらだね!」
そして俺と空は街に出掛ける。 俺の服は某ファッションセンターでいいのでそこで必要数の服を買った。
てかこの服持ち歩くなら最後にした方がよかったんじゃないか? と空に言うとどうせ帰りはクタクタで選びたくなくなっていると言われた。
クタクタって…… 俺はそこまでハメを外すつもりはないけど。 商店街を空と一緒に見て回りそこでいくらか飲み食いした。
「りっくん、あそこにクレープ屋があるから前のリベンジしよう?」
「前のリベンジって…… 姫花と行った時の事か?」
「それもあるし2人で1個食べよ? 流石にどこかで食べる前にお腹いっぱいになっちゃうでしょ?」
「まぁいいや。 空が食べたい物選べよ? 俺はそれ食べるからさ」
そう言うと空はクレープ屋に行きクレープを買って俺に持ってきた。
「はい、チョコクレープにしたよ? あたし最初に食べていい?」
空はクレープを見て食べたそうにしていたので先に譲る。
「美味しい! りっくんと2人だけで食べるクレープは最高だね! りっくんを独り占めにしてる気分になって癖になっちゃいそう」
「変な癖つけるなよ? 」
そして半分になった所で空が俺にクレープを渡した。 まぁ確かに空と2人きりで食べるのってちょっとだけ新鮮だな。 こういう時でなければ必ず海と空と一緒だからな。
次にデパートへ行き買いはしないが空は服などを見て回る。 本当に楽しそうだな空。
「ねえ次映画観よ? りっくん何がいい?」
「ハロウィンのリメイクやってるからそれ観たいな」
「うわぁ…… デートでそれ観る?」
空が若干引き気味に言う。 だってホラー好きなんだから仕方がない。
「でもまぁあたしだけ楽しむのもあれだしそれにしよっか?」
「え?いいの?」
「うん! りっくんも楽しんでくれなきゃ意味ないしさ」
チケットを買うと空は俺の腕に抱きついた。
「あたし達完璧カップルにしか見えないね? ずっとこういう日くればいいなって思ってたから本当に嬉しい」
空はしみじみとした感じに言った。 やっぱそれぞれ海や姫花もそう思ってるんだろうな、そんな事を考えていると空は映画館に俺を引っ張って行く。
席に着くと空は俺の手を握り映画中もずっと握っていた。 怖いシーンになると空の手が少し汗ばみ俺の手を握る力が強くなる。
「あー、怖かったし後味悪い。 やっぱデートで観るべき映画じゃないねぇ」
「まぁ俺は面白かったぞ?」
「それは何より。 あ! そうだ」
空は思い出したように小物売り場の方へと俺を連れて行った。 そしてその中からひとつストラップを選ぶとそれを買った。
「これはあたしのお金で買わないと意味ないから。 はい、りっくんあたしからのささやかなプレゼント!」
見ると猫をディフォルメした携帯ストラップだった。 これを付けるとごちゃごちゃしそうだったけど空からプレゼントされた物を粗末に扱えない。 なので俺はさっそく自分の携帯に付けた。
「ありがとな空。 ほら、これでいいか?」
「にしし、うん! りっくん的には邪魔かと思ったけどいつでも見れる物にしたいなって思ってさ」
「空からのプレゼントだし付けないわけないだろ?」
「りっくん大好き」
「知ってるよ」
それからあちこち見て夕飯を食べ帰宅した。 空の言う通り帰る頃にはクタクタになっていた。




