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今日海ちゃんと空ちゃんが学校を休んだ。 あれだけ2人テストに熱が入っていたんだから終わって疲れちゃったんだよね。
海ちゃんは何故か私にテストで闘志バリバリだったから少し怖かったけど……
でもいつも陸君と一緒にいて海ちゃんと空ちゃんがいないとなんか寂しいな。 普通だったらこういう時って2人がいない隙にとか思うんだろうけどなんだろう? ただただ2人とも大丈夫かな? なんて思ってしまう。
それはやっぱり私は陸君だけじゃなくて海ちゃん空ちゃんの事も好きなんだ。 海ちゃんと空ちゃんは今頃どう思ってるかな?
私と陸君が2人きりになると危ないとか思ってるかな? これも普通に考えるとそうだよね。 でも私達普通じゃない付き合い方してるし……
よし! 学校終わったら2人のお見舞い行こう! それで2人が不安に思わないちゃんと安心してもらおう。
あれ? でもなんか自分の考え方おかしい、この考え方って陸君には一切手を出しませんって言ってるようなものだ。 2人は私が相手でも容赦しないし最終的にどうなっても陸君の決めた事と言ってるのにそれじゃあ私はなんなの?
私は私らしくゆっくり陸君と関係を築いて行きたいって気持ちは変わらない。ゆっくりって言ってもキスしちゃって順序がおかしくなった気がしないでもないけど。
どう思えばいいんだろう? 2人は私を認めてくれて同じ土俵に私を押し上げようとしてくれた、なのに私はこんなんで……
陸君を見る。 私と話していると不意に視線が海ちゃんと空ちゃんの席に向かう。
陸君はなんだかんだ言ってもあの2人の事が心配なんだよね。 でもそんな彼を見てるとそんな優しい所もいいなって思っちゃう。
私がもし休んじゃった時もそんな風に思ってくれるかな? そんな事を考えていると……
「いや、俺も姫花が休んだりしたら気になるのかな?って」
「え!? 私? 急に私にそんな事聞かれても…… ああ…… ええと、気にして欲しいなって…… お、思う」
不意打ちだった、私だけじゃなくて陸君も似たような事考えてくれてたんだ? ヤバいよ、なんか胸が熱い……
「お前ら朝っぱらから何話してんの? 聞こえてくると凄くこっちが恥ずかしいんだけど? てかお前にクラスの美女3人取られてるって思うと凄えムカつくんですけど」
そんな胸の熱を冷ますかのように新井君が陸君に話し掛けてきた。
邪魔しないでよ! 私もっと陸君と2人で話していたいのに!
あれれ? 海ちゃんと空ちゃんにはそんな事ないのに新井君に対しての反応は正常? のような気がする。 何が正常なのかよくわからなくなってるけど。
そして授業が始まり彼の横顔をチラチラと見る。 もう何もかも陸君の小さな仕草や表情がたまらなく好き。
たまに目が合うと恥ずかしくて逸らす。 一緒にいたくせに今更そんなのが恥ずかしいの? なんて陸君思わないよね? だって私はそれでも恥ずかしいの。
だから目が合って彼が少し微笑むと私はそれだけで有頂天になってしまう。
そういえば思い出した、私が陸君の家に行った時海ちゃんに抱きつかれて動けなくなった所で空ちゃんが来て私が寝たふりをして……
あの時もし私が声を漏らさなかったら2人はどこまで行っていたんだろう? そんな事を考えてるともしかして? もしかして!? なんて考えて1人で赤面しちゃいそうだ。
空ちゃんはその時言っていた。 陸君が私を見る目が優しいって。 それはどんな想いで私を見てくれるんだろう? 付き合ってくれたって事は陸君も私の事好きなんだよね?
午前の授業が終わりお昼になる。 今日は私がちゃんと陸君を誘ってお昼に行こう! 少し前進するんだ!
いつもは海ちゃんと空ちゃんから声を掛けて私も一緒についていくけれど今日は2人の代わりに。 私は2人がいない事でなんだか初めての事をするみたいで緊張した。 彼の机を人差し指で突き……
「陸君! あの…… お、お昼食べよう?」
言えた! そして陸君もOKしてくれた、もし2人がいないからいいやとか言われたら軽く絶望していただろう。
そして陸君と屋上へ向かう。 だけど陸君の隣に行く勇気がない。 いつも海ちゃんと空ちゃんがいたから。 2人は自然に陸君の隣に行けて凄いなって思う。 幼馴染だから慣れてるんだろうけど私には違う。
なんだか少し気不味い。 陸君にそれが伝わってないといいけど…… 私ってやっぱり臆病者なのかな?
だけどふと思った。 そんな私を2人は認めて同じ位置に来てもらい敢えて陸君と3人同時に付き合ってもらおうと考えているんだ、真剣に。
もちろん海ちゃんや空ちゃんそれぞれその中でも思惑は多少あると思うけど私だってあれこれ考えちゃうしそれは変わらない。
なのに私はこんなんでいいんだろうか? ううん、それじゃ海ちゃんと空ちゃんに対して失礼だ。 2人は私をライバルだと思ってるしきっと友達だとも思ってくれてる。 そう思ったら私も勇気が出た。
陸君と手繋ぎたい…… ほら、私! 陸君の手を握って! 私は今だ! 今だ! と自分を奮い立たせようとしていると……
陸君が手を差し出してくれた。 あれ?
「陸君?」
「あー、いや、俺の考え違いだったらマジで恥ずかしい事なんだけど手繋ぎたいのかなって……」
モヤモヤが一気に吹き飛ぶような感覚だった。 そうなんだ、私ってバカだ。 陸君も私の事ちゃんと好きって思ってるんだ。 海ちゃんや空ちゃんも当然陸君は好きって思ってる。 同じ土俵とかそういう以前に私は陸君と恋人であって友達、海ちゃん空ちゃんもライバルであって友達。
だから不安にならないで安心してもらおうとかいちいちそんな事で気を遣うのは失礼だ。
2人はいちいち私にそんな事は言わず精一杯陸君に接してそれでどうあっても海ちゃん空ちゃんそして私にも変わらず接してくれてる。 陸君だってそうだと思う。 だからいつまでも仲良しなんだ。
いけない! 陸君の手を取らなきゃ! 相変わらずグルグルと変な思考は走ってるけど彼の手を握る。
「こうやれたら凄く嬉しいなってずっと考えてた。 でもそう陸君が考えてくれた事の方が嬉しい」
私は素直な気持ちを陸君に伝えた。 少しだけ前に進めたのかな?




