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何気なく食べてしまった佐々木のクレープ、それは佐々木と間接キスをしてしまったという事。 なーに、気にすんなよ? こんな事どうって事ないだろ? なんて言えないので心の中で呟いた。



「美味しい? 」



佐々木が俺に問いかける。



「な、なかなか美味しいな! 海と空も一口食べてみるか?」


「「え?」」



硬直している2人に俺は話し掛けた。 2人は我に返り俺からクレープを海は受け取った。 俺のかじった所をジッと見つめる。 なんかそんなに見られると俺がかじったとこ食いたくないみたいに思えるからやめてくれ……



「海ちゃん、遠慮せずどうぞ?」


「…… いただきます」



佐々木にそう勧められ海は一口食べる。



「うん、美味しい。 海も食べたら?」



海は空にクレープを渡した。 なんか海の感想が元気なかったけど俺の迂闊な行動のせいだった。 空も同じように美味しいと言ってあっちに行ったりこっちに行ったクレープはようやく佐々木の手に戻ってきた。



「私もみんなの食べてみたいな」



それってまたこんな微妙な雰囲気になるのをあと3回もするって事だよな? 俺この場に居た堪れないんだけど……



「じゃあ佐々木さん私のどうぞ?」


「ん? ありがとう、じゃあいただきます」


「あ! それ次あたし食べたい」



空が佐々木の食べた後に食べ、これ以上佐々木と俺に間接キスをさせない気だな。 ぶっちゃけナイスだ、そうすれば変な空気になる事はなくなる。 でもあと2回は同じ順でやるのは少しおかしいかもしれないなんて思っていると……



「あ、ほら姫花! あたしのも食べてみなよ?」


「わわッ! 飲み込むからちょっと待って」



海に被せるように空はコンボをして華麗にクリアした。 残るは俺のなんだけど……



「陸、私にちょうだい?」



海にそう言われクレープを海に渡す。 そうして海は一口食べ自然に佐々木に渡した。



もう味がどうたらとかこの2人には感じていないかもしれない。この場を乗り切る、そんな執念がひしひしと伝わってくる。



「海ちゃんと空ちゃんって息ぴったりだね、凄いや」


「ん、何の事かな?」



空はとぼけるがもう海と空が何をしたいかは佐々木にもバレているだろう。



「うーん、神城君の美味しい! はい、神城君」


「「あッ」」



海と空の声がまた重なる。 空が言いだす前に佐々木は素早くクレープを俺に返した。



「ほら神城君、美味しいから食べてみなよ?」


「そ、そんなに美味しいならあたし食べてみたい!」



パッと空が俺からクレープを奪い佐々木が口を付けた所をかじる。



もう佐々木が口を付けた所を海と空が食べたいみたいな感じに見えなくもない。まぁこいつらは俺と佐々木の間接キスを阻止したいので必死なだけなんだけど。



「わぁ、空ちゃん素早い」



そんな2人を見て佐々木が笑ってる。 なんか楽しみだしてないか? でもそれに嫌な感じがしないのは佐々木は2人と仲良くなりたいって本当に思っているからだろうか?



そんな佐々木とは対照的に2人はクレープの事だけで疲れ果てたような顔をしていた。 なんだか佐々木に手玉に取られているようだ。



そんな2人だが空が何か思い付いたかのように立ち上がった。



「食べたから少し体動かさない?」


「え? どこで?」


「体育館だよ、外にコートもあるし」


「ああ、あそこか。 佐々木どうする?」


「うん、私も空ちゃんに賛成!」


「私は見学」



それにしてもいきなりだなおい。 海はスカートだから無理だろうし、空はショーパン、佐々木は普通に動きやすい格好だし。



体育館に着くと海が俺の裾をグイッと引っ張る。



「陸も見学」


「え? 俺も?」


「あれ? 神城君はやらないの?」


「陸は食べたら動きたくなくなるタイプだから空の相手してやって?」



海は佐々木にそう言った。 ぐうたら野郎みたいじゃないか俺…… そして空がバスケットボールを借りてきた。



「運良く誰もいないしコート全部使えるね。姫花、とりあえずバスケしよう? 3本勝負で」


「? うん、いいよ、空ちゃん得意なの?」


「中学の時部活してたくらいで今はやってないからそれ程でもないよ。姫花は?」


「んー、私も大した事ないよ。 お手柔らかにね」



なんなんだろう? もしやバスケで佐々木を叩きのめそうってのか? 空はなんか本気っぽいし……



「空、頑張って。 負けないで」



隣で海が囁くようにそう言った。 今思えばこの勝負から空は佐々木に対しておかしな態度になったんだ。


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