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あー、ようやく春休みだわ。 かったるい学校から一時開放された喜びに俺は満ち溢れていた。 今日はずっと寝てやるぜ! と思って俺は朝食も摂るのも忘れベッドの中に潜って寝ていた。
なんて事言ったけどそろそろ来そうだなあいつら。 でも親の顔ほど見てるから何日か見なくても全然平気だから今日はゆっくり寝かせてくれよ。
そんな事を思っているとガチャリと部屋のドアが開いた。 俺はベッドに隠れているとズシリとした重みが加わる。 これは…… 上に乗られてるな。
毛布を引き剥がそうとしているが俺は芋虫のように毛布を体に巻きつけてるので男と女の力の差が出てきたこの頃にはなかなか引き剥がせない。
諦めたのか毛布を引っ張る手が緩み、諦めたかなと思ったら脇腹の辺りにパンチが飛んできた。
「いてぇッ!」
ガバッと包まっていた毛布から出ると頬を膨らませて機嫌を悪そうにしていた海が居た。
「むぅ〜! いつまでそうしてるの? 」
「休みだからゆっくり寝てていいだろ?」
「陸のゆっくりは夕方まで続くでしょ?」
「そりゃあ春休みだから」
海はダラける俺を無理矢理ベッドから起こすと服を取り出し俺に渡した。
「はい、いつまでもそんな格好しないで着替える!」
「はいはい」
着替えようとするが海はそこから離れようとしない。 こいつらって俺が服脱ぐのもまったく動じないよな。 だけど俺だって少し成長してるからだんだん恥じらいは人並みに持つようになってきた。
「着替えないの?」
「なんでいるの?」
「なんでって? 陸だから」
「俺着替えるんだけど?」
そう言ってるのに海はキョトンとしている? まるでそれが何? みたいな顔をして。
「じゃあ早く着替えなよ」
「お前は男の着替えてる姿みたいのか?」
「嫌よ、セクハラだよそれ」
いや、俺が逆セクハラされてるみたいな状態なんだけど?
「嫌なのに俺はいいの?」
「だって陸だもん。 着替えたくないなら私が着替えさせてあげようか?」
「なんでそうなるんだよ? だったら逆だったらお前俺の前で着替えられるか?」
「え? フ…… ププッ…… あははは、なぁにそれ? 出来るに決まってるじゃない。 陸もしかして恥ずかしがってるの? あははッ」
物静かな海が珍しくテンション高めで笑っている。 この野郎…… 普通だったらキャーッとか言って逃げ出していくのに海と空はやはり俺を男として認識してないような気がする。
なんだかそんな海の反応に気にするのもバカらしくなって来たので俺は海の目の前でササっと着替える。
余計な事言わないでとっとと着替えた方が良かったな、なんか海がまじまじ見てる気がする……
「ねえ陸」
「なんだよ?」
俺が上着に首を通している時に海は話し掛けてきた。
「少し男の子っぽくなったね」
「はぁ? もとから俺男なんだけど?」
「えへへ、そうだったね」
なんだ、やっぱそう見られてたんじゃないか。 スポッと上着から首を出すとにへッと笑った海が居た。 昔の海みたいだな。
「あ、少しお肌カサついてるよ?」
「ん? ああ、化粧水塗っとくか」
海と空が化粧品も置いてるのでひと通りあるような気がする。 てか海と空に毎回そんな事気にされてるから普通の男子より肌が綺麗なような気がする。
「お風呂上がりと朝はちゃんと化粧水しなきゃって言ってるでしょ?」
「それは女の話だろ? 男でそこまでしてるの俺の歳でそんなにいないと思うぞ?」
化粧水を徐ろに手の平に落とし塗っていく。
「やり方が雑だよ、コットンも置いてるんだから化粧水染み込ませてやればいいじゃん? そんなにゴシゴシ塗らないで軽く叩くようにって…… 私がやってあげる!」
見兼ねた海がコットンを手に取り俺の前髪をピンで止め肩に手を置いて丁寧に塗っていく。
俺に化粧水を塗っている海の顔をよく見ると薄く化粧をしていた。 まぁもう15歳だもんなぁと思った。
「ん、これでいいかな。 乳液も塗る?」
「いいよ、顔テカテカになるし」
「そう。それに朝ご飯もまだでしょ? 陸ママに食べさせてあげてって言われてるしね」
海は落ち着いてる分最近は母さんみたく感じる時がよくあるな。 よく気が利くし。
「はいはい。 ところで空は?」
「はぁ〜、呆れた。 今日空は地元のバレーボールの練習に行ってるって空からも言われたでしょ? 忘れてたなんて言ったら空傷付くからそんな素振り見せちゃダメだよ?」
そうだった。 空は運動神経がいいから趣味で地元で男女入り乱れてやっているバレーボールしてる連中に誘われいた。俺はよく海とそんな空の練習とかを見に行っていた。 だから海も化粧してたのか。




