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次の日学校へ行くとさっそく海が髪を切って更に可愛くなったので話題になっていた。 俺の隣に居た井上も「ヤバい、可愛い」と漏らしていた。
これ逆効果だったんじゃね? と思った。 井上を更に惹きつけちゃってるよ。 元から海の外見はレベル高いし。
「夕凪さん前にも増してとっても可愛くなったね。 どうしたのかな?」
そう佐々木が呟いた。 佐々木と被りたくないから切ったなんて本人には言えないしなぁ。
「なんか心境の変化でもあったんじゃないかな?」
「え〜? そうかな? てか神城君が幼馴染なんだから1番知ってるんじゃない?」
う…… そうだなぁ。 と、思っていると懲りずに井上が海の所へ近寄って行った。 井上のチャレンジ精神は凄いな。 新井も空の所へ行ってるし。
海はあまり人を寄せ付けないようにしているから行きやすいが空の周りには女子とか結構集まってるのにその中に割り込んで行く新井もなかなかだ。
佐々木も海と似たような感じで俺が話してない時は他の奴らといるけど。
「でも神城君そんな夕凪さんにドキッとしちゃったんじゃない?」
「え? ドキッとか…… まぁ可愛くなったなぁって思ったけど」
「あはは、夕凪さん元からすごく可愛いじゃない」
「それを言うなら…… !」
危ない…… 佐々木こそ可愛いじゃんとか言う所だった。 ふう〜、こんな事もし言ったの聞かれたら後が怖そうだ。
「それを言うなら…… 何?」
佐々木が俺が逸らした顔を覗き込んでそう言った。
「海も空も佐々木も可愛いなって……」
「ん? なんかちょっと誤魔化された気がするけどありがとう、私の事も可愛いって言ってくれて。 ちょっぴり嬉しい」
そしていつもの如く昼休みになると海と空が俺の所にやって来た。 いつもは海の方で食べてるのに。
「あれ? 夕凪さんに空ちゃん今日は神城君の所で食べるの? 珍しいね」
「違うよ、今日は学食の方に行こうと思ってさ。 あたしお弁当忘れてきちゃって」
「空ったら…… ドジなんだから」
「星野! だったら俺の弁当半分やるよ!」
そう聞いた新井がガタッと立ち上がり空に言った。
「ううん、悪いからいいよ、それにたまには学食も食べてみたいしね」
「あ…… そうか」
華麗に新井を躱す空、そして新井はあからさまに残念そうだ。 ただ新井も井上も学食の方についていくと言って結局いつものメンバーで学食へ行った。
「新井君と井上君は教室で食べてていいのに。 学食まで行くの面倒でしょ?」
「星野、連れない事言うなって。 みんなで食べた方が美味しいじゃないか? な? 井上、神城」
新井がそう言い俺と井上に同意を求める。 もうこうなったらとことんついてくるだろうなと思い諦める。
そして学食へ着くと昼時だけあって混んでいた。 これはなかなか買えそうにないしあんなギュウギュウ詰めの中へ空は入って行けるのだろうか?
「うわぁ…… なんか想像以上だね、りっくん」
「だな、人が居なくなる頃には何も残ってなさそうだ」
「なんか見てるだけで私具合悪くなってきそう……」
「しょうがない、空の分俺が買ってきてやるよ、なんかリクエストとかある?」
「え、ほんと!? 流石りっくん! あたしりっくんが選んだ物ならなんでも食べるよ! ありがとう」
「ちょっと待った!」
俺らがそう話していると新井が突然割り込んできた。
「神城でもあそこに行くのはキツそうだ、だからここは俺が行こう」
「え? なんでお前が?」
「この中で1番ガタイがいいのは俺だ。 だからあんな中でも神城や井上よりも多少はスムーズに行けるはずだ」
「そっか、なら新井君よろしくお願いします」
なんと空は呆気なく新井の申し出を了承してしまった。 そして空にそう頼まれた新井は張り切って混雑の中へと進んで行った。
「おい、新井に頼んだりしてよかったのか?」
俺は空にこそっとそう言うと……
「だってりっくんあんなごちゃごちゃしてる所に行かせたくないからあたし本当は嫌だったんだもん。 りっくんがあたしの代わりに行ってくれるって言ったのは凄く嬉しかったんだけどさ」
なんか新井が可哀想に思えてきたけど空は空なりに俺の事心配してくれたんだな。 まぁそれに新井の言う通り新井はこの中じゃ1番ガタイがいい、空と同じくバレーボール部に入りたいと言ってただけはあり身長190近くある高身長だし。
そうして数分後揉みくちゃになりながら新井は人混みの中からとても疲れたようにパンを握りしめて出て来た。 いやもうなんて言うか凄いなとしか言葉が出てこなかった。
「星野、買って来たぞ」
「あ、ありがとう新井君……」
そんな様子に空も少したじろぐ。 そしてパンを見て少し黙る。 どうしたんだと空の手に置かれたパンを見てみるとデスソースパンと書かれていた。 よりにもよってなぜこんなパンをチョイスしたんだ……




