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「……く…… 陸…… 陸」



んん? 母さん? いや、海か。 今日は日曜だし朝方までゲームしてたから俺は眠いんだ。 まだ寝かせてくれ。 そう思い海を無視して再び深い眠りに就こうとしたら……



唇に何か当てられていた。 ま、まさか!? と思って慌てて目を開けると人差し指と薬指が唇の上に当てられていた。



そう、海の指だ。 俺は海に目をやると海は笑いを堪えた顔をしていた。 俺の反応が面白かったのか肩を震わせて……



「く…… くふッ…… あはははッ! 陸ったらそんなにびっくりして…… プッ、あははッ」



なんだか小学生の頃の海に戻ったみたいに笑っている。 たまに昔の空と同じく明るくて負けず嫌いだった海になる時あるよな。



大きくなるに連れて物腰が大人っぽくなっていった海もたまにこうして昔みたいな一面見せるから少し安心する。 てかからかわれたのはムカつくけど。



「あ、陸の反応が面白くてうっかりしてたけどもう起きてよ? 空のとこ行くよ」


「空?」



また忘れてた。 今日も地元のバレーボールの練習に空は行ったんだっけな。 寝よう寝ようと思ってたけどゲームに夢中になり過ぎて……



「陸、一体何時に寝たの? 目のクマ凄いよ? 大方ゲームでもしてやめ時わからなくなってずっとやってたんでしょ?」


「仰る通り……」


「陸はゲーム没収した方がいいかしら? 前もオンラインでプレイして徹夜でやってた事あったわよねぇ?」



海が俺を睨んでそう言ってきた。 前屈みでそう言ってくる海は気を付けてないのか服の隙間から胸が見えそうになっていた。 海は俺のそんな視線に気付き自分の胸を見てハッとした顔になる。



「今私の胸見てたの?」


「いや、気のせいだって」


「見たいの?」



海は更に俺に近付く。 何考えているのかわからないけど海は今度は手で隙間を隠しながらそう言ってきた。



「陸ならいいよ? …… 全部見せてあげても」


「はぁッ!?」



俺は後退りして海から離れる。 そうすると後退りした分だけ海は俺に近寄り俺を壁に追い詰めた。



「ちょっとは目が覚めた?」


「は?」


「私にそう言われて目が覚めた?」


「へ? …… からかいやがったな?」


「眠そうな顔してる陸が悪い。 でも嘘じゃないよ?」


「心臓に悪いだろ朝から!」


「でもそんなに反応してくれるなんてちょっと嬉しい。 ほら。また空に寝坊したなんて言われるからさっさと支度して。 着替えるの手伝おうか?」


「自分でやるからいいし、また着替えるの見てる気かよ?」


「うん。 だって陸だし」



だって陸だしって…… そんな理由で多感な時期の女の子に着替えるの見られるなんて。 俺も多感な年頃なんですけど。



そして俺がベッドから降りる前にしっかりと俺が着替える服を海は用意していた。 しかもしっかりと海コーデの服が。 これ着てくれって事か……



「やっぱジーッと見られてると着替え辛いんだけど?」


「私は好きな陸をジーッと見れて幸せ。 じゃあやっぱり着替えさせてあげようか? 甘えていいよ?」


「ええ? この歳で甘えてたら気持ち悪いだろ」


「私小さい頃から陸のいいとことかムカつく所とか、いろんな陸をずっと見てきたから別に今更そんな風に思うと思う?」


「ある意味凄いなそれって」


「でしょ?」



褒めているわけじゃないけど海は嬉しそうに微笑んだ。 空もそうなんだろうか?



そして海の視線を感じながら服を着替える。 なんでこういう事にはこいつら恥ずかしがらないんだよ? どこか頭のネジが緩んでいるんだろうかと思ってしまう。



「そんなに早く着替えられるんならいつもそうしなさいよね」


「お前のセクハラ受けてるから早いんだろ!」


「だったら毎回見ててあげようか?」


「冗談キツいぞ? 男の着替えなんて見てても楽しくないだろ?」


「…… 好きな人の着替えだもん」



海が小さくそう呟いた。 なんか言ってる事が危ないような気もするけど……



「好きな人……」


「そう、好きな人」


「俺みたいな手が掛かりそうなのがいいのか?」


「うん…… 陸のお世話なら苦にならないよ? 」


「他の奴みたいにハッキリしない俺でも?」


「だって陸は私と空と一緒に育ってそんな私達の事陸だって見てるからなかなか決断出来ないんでしょ? 私が陸でも…… 陸の気持ちがわかるよ」


「う…… うん」



途端に海に背中をバチンと叩かれた。 かなりの力で叩かれたので思わず背筋がピンとなる。 何すんだよ!? と、海を見ると昔みたいに勝気な顔をした海がそこに居た。



「重い! なんか重いよ陸! 私にこんなに恥ずかしい事言わせて陸は「う…… うん」だけ? バッカみたい! ますます私が恥ずかしくなっちゃうじゃない! あー、本当バカらしッ!」


「え? はぁ?」


「だからッ! 私が言いたいのは…… 私は陸が好きなんだからそれでいいでしょ? それだけ! わかったらさっさと着替えなさいよ」



そう言って海は俺にニコッと笑いかける。



なんかこいつが二重人格に見えてきたけど海の昔みたいな勢いにどうでもよくなってしまった。 そして着替えて家を出て歩いてる頃にはいつもの大人しい海に戻っていた。








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