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「奏、今日は夕飯食べて行かないの?」
「そうしたいけど優も健斗も帰ってくるからね。 また来るからその時にご馳走になっちゃおうかな」
「そう? じゃあまたね。 優君によろしく」
母さん達が話しているのを尻目に海と空は響紀とじゃれ合っている。 昔はよくこんな光景を目にしてたけど今ではたまにだな。 前はここに健斗兄さんも居て……
みんなこうして大人になっていくのかぁ。 なんて達観しながら見ているとそろそろ行くよと健斗兄さんの母さんが響紀に言った。
「じゃあまた今度ね!」
「響紀ちゃん、今度は健斗君も連れて来てね! 出来れば彼女さんも!」
「あんま期待しないで待ってるね」
「じゃあな響紀」
そうして響紀やその母さんは帰っていった。 ふぅ、ようやく静かになったなと言いたいけどまだ海と空も居るんだった。 まぁこいつらは兄妹みたく育ったからなんとも思わないけど。
「あーあ、響紀ちゃん帰っちゃったよ、寂しいなぁ」
「いつまでも居れるわけないでしょ? あ、陸、今日私達陸の家でご飯食べてくからね?」
「そう来ると思ったから別にいいよ」
「じゃあ海ちゃんと空ちゃん、夕飯作るの手伝ってくれるかしら?」
うちの母さんがそう言うと2人ともキッチンへ当たり前のように向かって行った。 本当にこの家の子供みたいだな。
「2人が来ると家事が楽で助かるわ。 うちの子供だったら良かったのにね」
「あはは、なんかもうりっくんママの子供みたいなもんだよ」
「そうね、ここに住んでるみたいなものだし家も隣だから帰る時は自分の部屋に行く感覚ね」
「そうそう、海ちゃんの言う通り!」
まーた勝手な事いってらぁ。 でも俺達はもう少しすれば高校生、それでもこんな関係は続くのかな? ウザい事は多々あるけど何気に今の生活は楽しいんだよな。 それ以前に3人受かればいいんだけど。
小中では俺達よくからかわれたりしたけど上手くやってきた。 中学に入ってしばらくしてから2人はモテ出した。 幼い頃から海と空を見て兄妹のように育ってきた俺にはよくわからないけど2人はとても可愛いって。
海はどこか冷めた感じでボーッとした目をしてるけど基本はぱっちり二重、黒く長い髪で顔も整っていて可愛い。 空みたいに明るかったけど小学生高学年辺りから落ち着き出したのはやっぱり歳を積み重ねていったからだろう。
対する空は星野って苗字の割には青空のように明るく活発で無邪気な空、見た目は肩までかかるくらいの茶色っぽく綺麗な髪でクリッとした大きな目。 こちらは子供の時から変わりなく育ったと言う感じだ。
以上が中学までの海と空の周りからの印象だ。小中の奴らも俺や海と空を見てきたからな。
夕飯が出来た頃父さんも帰ってきた。
「お! 今日も海ちゃんと空ちゃんも来てるのか?」
「あ、りっんくんパパお帰りなさい」
「陸パパお邪魔してます」
「2人がいるお陰で我が家に娘がいる感覚を味わえるから大歓迎だ、ははは!」
ははは…… 良かったな父さん。
「じゃあご飯にしましょう?」
「「はーい」」
俺や海と空の家にはよく3人自由に出入りしているのでどの家にも俺達の茶碗やコップなどがある。 まぁ2人とも俺の家に来る比重が多いのは俺の家の位置が真ん中だからかな?
「でね、りっくんがね、試験の時……」
「海、喋ってばかりいないで食べなさい」
「海ちゃんと空ちゃんは小さい時に比べてすっかり個性が出たなぁ、2人とも仲良しで可愛いのは変わりはないが」
「父さん、そんな事言うと2人とも調子乗るからやめろ」
「あ! りっくん酷いんだぁ!」
「陸だって昔は私達をよくからかってたじゃない。 私と空のお菓子ぶんどったり」
あ、この流れ、俺にヘイトが向いて総攻撃が来そうだわ…… そして話題は昔俺に意地悪されたり泣かされたりと予想通りになった。
「あーはいはい、俺が悪かったですよ。 2人とも可愛い可愛い」
そして夕飯を食べた後は試験の事とかもあったので2人は帰っていった。
「2人とも帰っちゃって寂しい? 陸」
「なんだよ母さんいきなり?」
「フフフッ、昔は帰らないで泊ればいいじゃんとか言ってたじゃない。 陸も少しは男の子になったのかしら?」
「いつまでもガキじゃねぇんだから……」
まぁ高校生になってもあの様子だとしばらくは変わらなそうだな。 そして中学を卒業して春休みになる。




