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「ねぇりっくん、今日海ちゃん居ないね」


「そうだな」


「ならさ! あたしとバレーボールの練習に付き合ってくれない?」


「え? まぁいいけど俺で練習相手になるか? 俺あんまりバレーボール得意じゃないんだよな」




海が井上に誘われた日、俺と空は2人だけだった。 俺の部屋に来て空と一緒にゲームをしてるといきなりそう言われた。



「大丈夫! ならついでにあたしが教えてあげるよ!」


「うーん、空とだしいいか。 ずっと部屋に引きこもっているのもあれだし体でも動かすか」


「やった! じゃあ動きやすい服に着替えなきゃ」




そう言うと空は急に俺の目の前で着替えだす。



「また目の前で脱ぎ出しやがって…… そういう所は羞恥心ないんだなお前らって」


「りっくんはあたしの着替えるシーンに悶えてくれていいよ? あたしが許可します!」


「自分で言うなよ」



そう言われても直接見れるわけもないので俺はいまだプレイしていたゲームに視線を戻した。 後ろで空が着替えているのでなんか集中出来ないけど。



ちょっとしてトントンと肩を叩かれて着替え終わったか? と思って空に振り向くと……



「お前ただ脱いでただけかよ!? 早く服着ろ!」


「いやぁ、りっくんがモヤモヤしてると思ってさ! サービスだよんッ」



またしても下着姿でにししと俺に体を見せ付けてきた。 ていうか空って運動してるせいかもとからか知らんけどスタイルいいな。



色白なんだけど引き締まった体でスラッと伸びた長い脚、こいつが俺にこんな事してるなんてクラスの奴ら誰も知らないだろうな。



「あれれ? りっくんあたしに見惚れちゃった?」


「まぁ…… スタイルいいよな空って」


「え? 本当!?」



空は俺の肩に両手を置いて後ろから俺の顔を覗き込み嬉しそうな顔をしていた。



「本当だから服着ろって、いつまで下着姿でいるんだよ? 母さんとかもし入って来たらヤバいだろ?」


「ヤバいかなぁ? 遂にりっくんとそんな関係になりました! なんてなったらいいね。 あ、そうなったらあたしだけ抜け駆けしてなんて言われて海ちゃんに怒られちゃうか、うーん……」


「考え込んでないで服着ろよ。 俺はゲームに集中するから離れろ」


「あたしよりゲーム見るなんて! りっくんあたしが結構モテる事忘れてるでしょ? こんな事りっくんにしかしないんだからもうちょい喜んでくれたっていいのに」



空が俺の肩を揺すってくるのでゲームオーバーになってしまった。 仕方ないのでゲームの電源を切ると待ってましたとばかりに空が俺の正面に座った。



「なあ、バレーボールの練習は?」


「あ! そうでした、えへへ。 りっくんが構ってくれないから意地になっちゃった。 じゃあ可愛いって言ってくれたら服着るよ」



空はねだるように俺に近付いて耳元でそう言った。



「…… 可愛い」


「はーい! りっくんから可愛い頂いちゃいました! なので言いつけ通り服着まーす!」



そして空は着替え俺と一緒に近所の公園に行く。 まぁここでこんな事するのって中学の時、空とバスケして以来か。 空が思いの外軽くて少し当たったら転ばせちゃったんだよな。



「じゃありっくん、どーんと来て!」


「いや、どーんとってレシーブかトスくらいだろ」


「あはは、そうだね。 じゃありっくんからどうぞ!」



俺はとりあえずサーブをしてみる。 相手が空なので下から打ち上げる方の。 そして見事に空から大分右側へと飛んで行った。



こりゃ取れないだろうなぁなんて思ったら空はボールに追い付きレシーブした。

流石地元のバレーボールやってるだけあるな、凄いぞ空!



なんだかあんなボールも取れる空を見て俺のコーチ魂が燃えてきた(そんなものはない)



俺は意地の悪いコースにボールを放っていく。 意図してやらなくても下手くそなのでそうなってしまう。 だが空は見事に食い付きボールを返す。



「もうりっくん! 意地悪しないでもっとこう普通にやってよ」


「…… 俺普通にやってこれなんだけど」


「え?」


「苦手って言っただろ?」


「本当に苦手だったんだね。むふふ、じゃあ今度はあたしがりっくんにやってあげるよ」



そう言うと空がボールを構え、俺に打ってきた。 空は俺の手元に上手くボールが来るようにコントロールしている。 空のボールは返しやすいな、俺がどれだけ下手くそかわかる。 そんな空の返しやすいボールを俺はレシーブで明後日の方向に返す。



「りっくん、ボールを中心に捉えて返さなきゃ」


「結構難しいわ」


「どっちをやってもあたしが走り回る事になるなんて…… まぁこれはこれで練習になるけど」



そして最後に空がサーブするからボールキャッチしてねと空に頼まれ俺は構えた。 スパイクのような強烈なサーブを空は放つのでキャッチボールしてるみたいで楽しいな。



だがふいに携帯が揺れたのでポケットを弄ると……



「りっくん危ない!」


「え?」



空の言葉に思わず正面を向いた。携帯に意識を取られ空がサーブしていたのに気付かず俺は顔面でボールを受けた。 そして尻餅をつく。



「い、いてぇ…… は、鼻が潰れたかと思った」


「だ、大丈夫!? なんで余所見しちゃったのよ? 立てる?」



空が手を差し伸べて俺を起こす。 ベンチに行き空は俺の様子を伺っている。



「本当に大丈夫? あたし思い切り打っちゃったから……」


「痛いけど大丈夫だよ。 余所見してたのは俺だし」



空がそっと俺の鼻の頭を触る。 触れられるとちょっと痛いが空の手は冷んやりとしていたので少し楽だ。



「鼻が熱くなってる。 今日はもう終わりにしよう?」



そう言って空は俺の体を引っ張り空の膝に頭を置かされた。 え? 膝枕? 公園で?



「おい、空……」


「ご、ご褒美だよ」


「ご褒美?」


「今日練習に付き合ってくれたから。 それにボールぶつけちゃってごめんの意味もあるけど」



そんな空に俺はそれならいいやと思う事にしてしばらく空の膝に頭を預けた。



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