表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/178

26


「待てよ!空!」


「嫌だぁ〜! りっくん絶対意地悪するもん!」



逃げるあたしをりっくんは全力で追い回す。 とうとうりっくんに捕まり顔にカエルをくっ付けられた。



「いやぁ〜ッ!!」



冷んやりとした両生類のお腹にあたしはおでこにくっ付けられたカエルを掴んでりっくんに投げ付けた。 だけどりっくんは全く平気そうな顔をしておでこをゴシゴシしているあたしを意地悪そうな顔で見つめる。



「りっくんのバカ! 意地悪!!」


「へへ〜ッ! 空泣きそうになってやんの!」



そう言って追いかけるあたしからりっくんは一目散に逃げていく。



小さい頃のりっくんはあたしと海ちゃんにいっぱい意地悪したけど家も近くでほぼ毎日顔を合わせていた。 意地悪はしてくるけど時々優しくてあたしがりっくんを追い掛けて転んだりするとすぐに駆け寄って来てくれて絆創膏貼ってくれたりしてくれて憎めなかった。



「空、足から血が出てる。 待ってろ」


「うん」


「よし、これで大丈夫!」


「ありがとう、りっくん」



転ばせたのはりっくんだけどね。 でもあたしの足に絆創膏を貼ってドヤ顔で笑っているりっくんを見るとまぁいっかと思った。



そしてだんだんとあたし達は成長して子供の頃は同じくらいの身長だったけど高校生になる頃にはぐんぐん背が伸びていってあたしや海ちゃんも160㎝以上になったけどりっくんは170㎝を越していてどんどん差が開いていったなぁなんて考えてた。



りっくんを好きって感じ始めたのはいつ頃だったかなぁ。 確か中学2年辺りからかな。



とある日あたしはりっくんを誘って近所の公園で一緒にバスケしようと言った。



「りっくん、バスケの練習付き合って?」


「ええ? もう俺で練習相手になるかよ? もう空の方が上手いんじゃね?」


「えへへ、そうかもね! でもりっくん一応男の子だし女の子とやるより練習に良さそう、あたしが勝ったらなんか奢ってね?」


「わかったわかった」



そう言ってりっくんに練習に付き合ってもらった時、あたしは運動神経もいいらしいしバスケ部だしりっくんなんて目じゃないだろうなって気がしてりっくんと勝負してみた。



ドリブルでりっくんを華麗に躱しシュートすると綺麗にゴールに入った。 ほらね!



「へぇ、やっぱ空って運動神経いいな、あっという間に抜かれて追い付けなかったよ」


「でしょ? あたしだってこれくらい出来るようになったんだよ、もうりっくんに意地悪されてた時とは違うもんねぇ」



あたしは勝ち誇ってりっくんにそう言ってみせた。



「じゃあもう一回やろうぜ?」


「一回だけのつもりだったのに。 まぁいいや、恥かくのはりっくんだもんね!」



そうしてもう一度勝負をすると今度はりっくんも本気なのか先程より手強い。 でも勝てそう、そう思ってりっくんを躱そうとするとりっくんはさっきより早く反応して体がぶつかってあたしは転んでしまった。



「空、大丈夫か?」


「いたた…… りっくんやっぱり男の子だね、あたし吹っ飛ばされちゃった」


「怪我してんじゃん。腕と足転んだ時に擦りむいたろ? ほら」



りっくんがあたしに手を差し伸べた。 何気なくあたしはその手を掴んでりっくんはあたしを引っ張り起こす。 そして水道まで連れて行ってくれてあたしが擦りむいて砂が付いた所を水で流していく。



ふとりっくんの横顔を見る。 いつも見ていたはずのりっくんの顔が急に大人びて見えた。 この前まであたしや海ちゃんに意地悪してたのになぁなんて思っていたらなんだか急に体中が熱くなったような気がした。



あれ? なんでだろう? りっくんに触れられている場所がさらに熱くなる。 傷のせいかな? なんか凄くドキドキする。



「ほら、足出せよ? 洗うから」


「へ? あ、うん……」



間抜けな声が出てしまった。 なんか凄く恥ずかしかった。 りっくんがあたしの足を触ってる。 昔ならこんなのなんて事ないはずなのに。



「よし、終わり」



そう言ってりっくんは最後に絆創膏を貼ってくれた。 よく持ってたね? 持ち歩いてるの?



「用意いいね、りっくん」


「お前いつも転んでる印象あるから」



りっくんはぶっきらぼうにそう言った。いつも転ばすのりっくんのくせに…… でもそんなあたしの為に用意してくれてるのかって考えたらやっぱりまぁいっかと思っちゃった。



ていうかあたしりっくんの事……



りっくんは私に触ってどう思ったんだろう? あの感じだと何も思ってなさそう。 やっぱりあたしはただの幼馴染なのかな?



それからりっくんの事が男の子として気になり始めてりっくんにもあたしを意識して欲しくなった。 だけど今更どうすればいいんだろう?



そうだ! りっくんがあたしに触っても平気なようにあたしも出来るだけ恥ずかしくなるくらいりっくんに触って平気なフリしてればりっくんも少しはあたしの事気にするよね?



ナイスあたし! そうしてあたしがりっくんに接しているとちょっと効果あるかも? なんて思ってると海ちゃんもりっくんに対してなんだか特別な感情を抱いているように感じた。 そしてそれは海ちゃんにとってもあたしがりっくんを意識している事は気が付いていた。



あたし達やっぱり幼馴染だね? 2人でりっくんの事が気になるだなんて。



「海ちゃん、あたしりっくんの事……」


「わかってるよ空、それは私も同じ。 だけど陸、私達の事そういう風に全然見てないような気がする」


「そうだよね…… あたし達結構モテちゃうのにね。あはは、りっくんには効果なしだね。 だったら2人でりっくんを意識させようよ!」


「ええ? 2人で?」



海ちゃんはあたしの言った事に少し困惑していたようだったけど最終的に笑って「やっぱり私達昔から3人一緒だったもんね、わかった」と言ってくれた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ