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目が覚めるとベッドには俺1人…… あいつら帰ったのかななんて思えば俺の部屋のテーブルで静かに海と空が受験の答え合わせをしていた。



「ほら、こことここ、違ってる」


「あー、本当だ……」


「でもまぁ大丈夫じゃない? これくらいなら落ちるって事ないよ。良かったね」



海が優しく空の頭を撫でていた。



「はぁ、海ちゃんにそう言われると凄く安心する」


「もう、そんなに心配するなら遊んでばかりいないで少しは勉強しなさい」


「はぁ〜い」


「ん? 陸起きたの?」



海が俺が起きたのに気付き空も俺を見た。 海と空は何故か俺の頭に目が行っていた。



「あはははッ! りっくん面白〜い! 何その寝癖?」


「え? 寝癖?」



頭を触ると確かに変な方向に寝癖がついていた。



「あー、空といい陸といい……」



海が俺の髪を撫でて寝癖を直す。 だけど跳ねてまた戻る。



「これはしばらく戻らないわね」


「あたしが直してあげるよ!」



空が俺の頭をギュッと手で押さえる。



「で? いつまでこうしてんの?」


「え? しばらく直らないならしばらく押さえてれば直るでしょ?」


「俺動けないんだけど?」


「陸ヘアスプレーとか持ってないものね、化粧品とかはあるけどこれは追加で置いてあげるようね」


「ここは俺の部屋だぞ? てか俺の部屋に自分達の日用品やら服やら下着やらお前ら御構い無しなのな……」


「だってりっくんの家でお風呂入ったりするからあった方が便利だもんねぇ」



羞恥心ないのか? まぁ俺も海と空だし昔からだしあんまり気にしないけど…… てか別に頭は家だから直さなくてもいいし。



あ、寝癖ついたならまた寝て寝癖押し潰せばいいじゃん。 俺は空の手を払って頭を枕に押し付けた。



「え? りっくんまた寝るの?」


「寝癖を直すために寝る」


「え〜! せっかくりっくん起きたのに! ねえ遊ぼう?」


「海と遊んでろよ」



そんなくだらないやり取りをしているとすっかり夕方になった。 ていうかさっきから下が騒がしい、誰か来てるのか?



「下に誰か来てんの?」


「ああ、健斗兄貴のお母さんだよ。 健斗兄貴は来てないけど」


「最近健斗君来ないもんねぇ。 あたしらと前は遊んでくれたのに」



健斗兄さんはうちの母さんの友達の息子だ。 母さんとは同級生で仲良くなって今に至りその母さんの友達の息子はよく小さい頃俺の家に来て俺達と遊んでくれた。



まぁ来ないのはもうあっちは高校生だし俺達みたいなガキとは違うんだろう。最近では本当にたまに来るくらいだ。



「陸ママが呼んでるよ? 健斗兄貴のお母さん来たのって私達が高校受験だから来てくれたんでしょ? ほら、行こう?」


「うん? ああ……」



海が俺の手を取り後ろから空が俺の寝癖を直しながら下へ行く。 やっぱり息が合うなこの2人。



「あ! 久しぶり、陸君、海ちゃん、空ちゃん! 大きくなったねぇ」


「どうもお久しぶりです」


「すっかり陸君大人っぽくなったわねぇ、健斗にも見せたかったわ。 健斗も来なさいって言ったけどあの子今彼女に夢中でね、でもね……」



そう言うと健斗兄さんの母さんの後ろから女の子が出て来た。



「ジャーン! 響紀ちゃんが来てあげたよぉ!」


「あー! 響紀ちゃん久しぶり!」



空が響紀を見た途端抱きついた。 響紀は俺達と同い年だ。 そういやこいつも受験なんだよな。



「よしよし、空は相変わらず可愛いねぇ! 海は前よりも冷めた感じに…… あはは」


「冷めてるんじゃないし。 眠いだけ」


「響紀ちゃん! 健斗君に彼女出来たんだって!? 可愛いの?」


「可愛いというか物凄く美人だよ、お兄にはもったいないなぁ」


「響紀は健斗兄貴の事好きだったもんね」


「海! 余計な事は言わなくていいの!」



やかましいのが来たなぁと俺はボーッとしていると響紀と目が合った。 その瞬間響紀がププッと笑いを堪えていた。俺の頭を見て……



「やだぁ〜、陸のその頭何? あはははッ! ピシッとすれば陸だってかっこいいと思うのに」


「直らないんだから仕方ないだろ?」


「それにしても健斗君にも彼女が出来たかぁ。健斗君優しくてなんか包容力ありそんだもんね、いいなぁ」


「あれれ? 空もそんな年頃かな?」



響紀はそう言ってお姉さんぶってるけどお前俺らと同い年だろ? と思って2人を見てると海がこちらをジ〜ッと見ていた。



なんだよ? そんな睨むなよ……





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