後日談3
「りっくんりっくん! 起きてよぉ!」
「なんだ空かよ。 まだ寝させてくれよ……」
「ダメだよぉ〜! 昨日大人しく帰ったら遊んでくれるって言ったじゃん!」
空がゆさゆさ揺らすのでだんだん意識が覚醒してきた、そういえば昨日そんな事言ったような……
昨日は海と空は元気だったが俺は眠さMAXだったのでそのまま寝て今に至る。
「わかった、起きるって。 空は元気だなぁ」
「えへへ! りっくんと居るから元気なんだよ! それになんか最近のりっくんってかっこよくなったねぇ。 元から素材は良かったけど」
「ちょっと前まで微妙だったみたいに聞こえるなそれ」
「あたし的にはどっちでもいいんだけどね、りっくんが素敵なのは知ってるし変にかっこよくなられると余計な面倒もかかるしさ! あ、今がそうかもね。 りっくんかっこよくなってるし」
「お前ら俺を見る時なんかの補正がかかってるんじゃないか?」
「あー、無自覚が1番タチが悪いんだから! りっくんチラチラ女の子に見られてるの気付かないの?」
「んー、基本興味ないし。 ていうかお前らの事で俺手一杯」
「うっふふ! そうでしょうね! ならやっぱりそうでいてもらわないとって事でりっくんをお暇にさせるわけにいかないのでやっぱり遊ぼう!」
「無茶苦茶だなぁ、ふぁ〜…… 眠い」
「普通こんな可愛い子が起こしに来たら興奮しそうなんだけど…… 大口で欠伸なんかして!」
「もうこんなの10数年見た光景だろ? 何を今更」
「あたしにはブランクが…… って言ってもしょうがないか、じゃありっくん朝ご飯食べて歯磨きしてお着替えしようねぇ? どれからする?」
「どれからって…… 朝ご飯食べるよ」
ハッとして時計を見ると朝8時半。 あれ? そういえばこいつ海より早いな、ていうか海は?
「なあ、海は?」
「うん? 海ちゃんなら下で朝ご飯作ってるよ、りっくんママがりっくんの世話はあたし達にお任せするって事で」
「ああ、そういう事……」
俺の方が今更だったな。
「ふふーん!」
「今度はなんだよ?」
空が俺の胸に顔を埋めてきた。
「りっくんにくっついてるだけ。 何か問題でも?」
「問題っていうかなんで俺の服の中に手を入れてくるの?」
「ああ、そっか、フェアじゃない? そういう事ね」
空が俺の手を取って自分の胸に手を当てさせた。
「え?! 何これ?」
「りっくんも触りたかったらどうぞ? って事! ここまでされるなんて男冥利に尽きるでしょ〜?」
空がニヤッとして俺の顔を覗き込む。 朝っぱらから何しでかすんだよ? 海が見たら更にヒートアップするじゃねぇか……
「ん〜? 海ちゃん来たらなんて考えてるでしょ? いいよ別に、言い訳不可能な所までいっちゃう?」
空が俺の手を服の中に入れた。 え? 当てさせられてから違和感あったけどまさかこいつノーブラ!?
「なんか急に目が覚めてきたわ。 変な意味で……」
「いやん、りっくんのエッチ!」
途端にバタンとドアが開き俺は慌てて空の服の中から手を抜いた。
「なんか変な事してなかった?」
海が目を座らせて怪しむように俺を見る。
「な、何も?」
「ふぅん?」
海が俺の手を取り匂いを嗅ぐ。 そして今度は空を……
「なんか空の匂いがするような気が……」
え!? わかるのかよ? これは俺の動揺を誘ってるな。
「やだなぁ、海ちゃん! りっくんとちょっと抱き合ってただけだよ」
「空に言われなくても私が判断するわ。 とりあえず陸、空の匂いが付いちゃってるから私が消してあげる」
「ひどーい! 人を臭いみたいに言って!」
「私が下に居る間に抱き合ってたんでしょ? なら私が陸を抱いたって文句ないわよね?」
「うぐ…… ま、まぁちょっとだけなら」
「そういう事だから陸、大人しくしててね?」
「いや、俺の意思は無視?」
「うん、無視。 私達と付き合ってるんだから何も言えないよね?」
そうして観念して海は空を背にして俺を目一杯抱きしめた。 そして首筋にカプッと軽く噛み付く。
「いてッ」
「あ! 海ちゃんどさくさに何してるの!?」
「うーん、なんか陸の首筋に口当ててたら跡付けたくなっちゃって……」
「いやいや、歯型付けるなよ」
「えへッ」
海はやっちゃったみたいな顔をして戯ける。
「あ、あたしもする! 海ちゃんだけズルい!」
「お、おい! 噛み付くなよ!? 」
「じゃあキスマークで妥協する……」
「いや、それもちょっと……」
「ダーメッ!」
結局それから海と空にキスマークを数箇所付けられた、姫花に見られたらどうすんだよ?