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そして春休みも終わり入学式も済み海と空は物凄くご機嫌だった。 その理由は……
「奇跡だね、奇跡! あたし達の絆は伊達じゃないね!」
「誰か1人違うクラスとかならなくてよかった、ちょっとそれは寂しいからね」
「まさか全員同じクラスなんてな」
「りっくん、もうちょっと喜んでよ」
何気に喜んでるけどそんなはしゃぐほどじゃないしな。 いつも一緒にいるのにクラスまで一緒だなぁと。 中学の時は海だけ別のクラスだったしな。
隣に居る海は冷静を装ってるがニコニコ度が普段より高い。 まぁ海がこんなに嬉しそうだからいい事だな。
「ねえりっくん! あたし達可愛い? 高校のブレザー似合ってる?」
「何回聞くんだよ? ああ、2人とも可愛いよ」
「だって! 海ちゃん!」
「可愛い…… うん、陸が言うならいっか」
この2人は早々に入学式で目立っちゃったからな。 そして俺も…… 2人はやっぱり注目されてそんな2人はずっと俺にくっついて離れなかったからな。
小中まではみんなはそんな俺達をよく見てたから次第にそんな事は当たり前みたいに思われてたけど高校では知り合いなんてほとんどいない所だから俺はこいつらのなんなんだ? って思われるからなるべく3人固まらないようにしようと思ったのに海と空は御構い無しだ。
「陸は少し憂鬱そうな顔してるね? どうかした?」
「ん? ああ、お前ら2人やっぱりモテそうだったから俺があんまり2人の前にいると顰蹙買いそうだなって。 だって俺はそんなイケメンってわけでもないし」
「ああ、なんだ。 そんな事か、そんなの私達仲良しなんだからいつも一緒にいるのなんて当たり前じゃない。 それにそんなんで陸に辛く当たる人なんてろくな人じゃないわ」
「そうだよ! りっくんに文句言うならあたしその人の事嫌いになるもん! だからこれからもずっとあたし達一緒だよ!」
ええ? だからって俺が嫌われるような事はよしてくれよ?
「明日から遂に高校生活が始まるんだなぁ…… 俺は上手くやっていけるか少し不安だな」
「あはは、りっくん誰も友達出来なかったらあたしと海ちゃんがずっとついててあげるよ」
「ちゃんと陸の面倒見るから心配しなくていいよ?」
「俺は赤ちゃんかよ? あんまりお前らが俺に構い過ぎるとお前らの事好きな男子からますます俺疎まれるからやめろよな?」
そう言うと空は海に向かって誰かかっこよさそうな男子とかいた? とか聞いていた。
「特に私はこれといって…… かな? そんな事今まで他の人に思った事ないし」
「あたしも! だからあたし達には何も問題なしだね! 中学でもぶっちゃけ迷惑だったから告白されても断ってたし高校でも同じかな。 でも心配なのはりっくんだよねぇ」
2人は頷きながらジト〜ッと俺を睨んだ。 なんで俺が2人に心配されなきゃいけないんだ? 誰と付き合っても自由だろうが。
そうは言っても別に今の所そんな気はないけど。 志穂の時や他の人の時みたいに2人に迷惑かけるからか? まぁ2人にどうしよう? なんて言ってた俺も悪いが……
「りっくん何気にモテちゃうかもしれないしねぇ」
「うん、なんか陸高校の制服着てちょっと…… か、かっこよく見える」
「え? そうか? 俺もまだ捨てたもんじゃないんだな!」
「やっぱ前言撤回! 調子に乗らないで陸」
海は俺から顔をプイッと背けた。
「そうだよ、りっくん! あたしの前だったら少しくらいハメを外しても良いけど他はダメなんだから!」
「空の前でもダメ! 私の前なら良いけど」
「海ちゃん! 聞き捨てらならないよ!」
「別に空にいちいち許可とか取る必要ないでしょ?」
え? ええ!? なんなんだよ? 今度は海と空かよ……
「お前ら落ち着けよ、いつも俺と海と空は一緒なんだから誰かだけなんてないだろ? な?」
「あ…… そうだね…… 流石りっくん。 ごめんね海ちゃん」
「私こそごめん空。 陸のくせに……」
最後海はボソッと言って俺の脇腹を突いた。 俺の事で喧嘩なんかするなよな。 たまにこういう事あるんだよな、しかも俺の事で喧嘩すると少し長引くしその間は挟まれる俺は居心地が悪くなるしで……
今回は酷くなる前に終わったから良かったもののヒヤッとする。 でもちょっと気不味くなった気はした。 そしてそのまま海の家に呼ばれた。